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家族
誕生
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「母様大丈夫かしら?」
「きっと大丈夫だよ。」
暖炉の炎で暖かな部屋。
窓から覗く一面の銀世界を見つめながら二人の幼子が会話する。
二人とも揃って端正な顔立ちとキラキラ輝く銀髪をしており、兄妹であることが容易に予想できる。
兄の方は10歳ほどで、緩やかなカーブを描く髪を持っており、少女と言っても差支えがないほどの女顔である。
妹の方は7歳ほどで、癖のないストレートの髪をポニーテールにしており、勝気そうな顔をしている。
「兄様早く会いたいわ。」
「うん。僕もだよ。」
しばらく二人で雪を眺めていると部屋にノックの音が響き、子守のサナが入ってきた。
「レティー様、メティー様、妹君がお産まれなさいましたよ。」
「ほんとに!!」
「母様は大丈夫ですか?」
嬉しそうな二人の様子にサナは目尻を下げた。
「ええ。お二人共お元気です。妹君にお会いになりますか?」
「うん!」
「もちろん!」
二人はサナの手を取り、母の寝室にかけていった。
コンコンコン
親しいものを示す3回のノックに、二人の父であるレメルが戸を開ける。
部屋は何故か悲しげな雰囲気であった。
「父様!赤ちゃんは?見たいわ!!」
「父様、母様と赤ちゃんは大丈夫ですか?」
レメルは微笑ましい二人の様子に少し笑みをこぼし、妻と娘の元に案内する。
「うぁー!可愛いねぇ赤ちゃん。」
「可愛いね!あ、えっ、この子………。」
ベットですやすやと眠る可愛らしい妹を見て、はしゃぐ二人。
そしてすぐにレティーの表情が曇った。
ベビーベットで寝かされた赤子はこの世界では神使に表れるとされている髪色をしていた。
幼いながらも頭が良く、神使について詳しく知っているレティーは、この先のこの赤子の運命を思ったのだ。
「目の方は確認出来ていないんだが、多分この子は神使だろう。カティー、私はどうすべきなんだ?」
3人の母であるカティーは目に涙を浮かべながら赤子を撫でる。
「わたくしはこの子と離れたくありません。十月十日このお腹の中で大切にしてきたこの子を手放せるとでも!?………嫌よ。絶対嫌!」
絶対に離さないと言わんばかりに赤子を抱き上げ強く抱きしめる。
「どうして?赤ちゃん取られちゃうの?神使って何?」
尋常ではない両親の様子にメティーが不安げに尋ねる。
「この子は神使だ。神使は産まれると教会に引き渡さなければならないんだ。そうなってしまえば、家族である私たちでさえ2度と会うことが出来なくなるんだ。」
神使とは、この世界で神の子と信じられている存在だ。
数百年に1人現れ、神使が現れた国は豊かになる。
そして神使は産まれたと同時に国家の教会に引き渡すよう言われており、それから神として崇められ、国の為に教会から出ることなく祈りを捧げ一生を終えるのだ。
そして国に災いが起こった際生贄として神に捧げられる。
要は体の良い人柱だ。
「いや!絶対連れてっちゃだめ!!赤ちゃん取っちゃやだ!」
状況を理解したメティーは赤子を抱きしめるカティーの腕にすがりつく。
「父様、僕からもお願いします。赤ちゃんを連れてかないで!僕らで赤ちゃんをちゃんと守るから!お願い!」
「絶対に隠し通せるか?」
しばらく考えたあとレメルは切り出した。
「ええ。何があってもこの子を守るわ。」
「うん!僕らの大切な妹だもん。」
「私だって秘密守れるわ!!」
「……分かった。」
3人の決意にレメルも腹を括ることにした。
国を裏切ってでも我が子を守ろうと。
「何があってもこの子を、ルイティアを私たちで守るんだ。絶対に。いいな。」
「ええ。」
「はい。」
「うん。」
こうして涙は、ルイティア・ユーン・スピリチュアルとして生を受けることになった。
「きっと大丈夫だよ。」
暖炉の炎で暖かな部屋。
窓から覗く一面の銀世界を見つめながら二人の幼子が会話する。
二人とも揃って端正な顔立ちとキラキラ輝く銀髪をしており、兄妹であることが容易に予想できる。
兄の方は10歳ほどで、緩やかなカーブを描く髪を持っており、少女と言っても差支えがないほどの女顔である。
妹の方は7歳ほどで、癖のないストレートの髪をポニーテールにしており、勝気そうな顔をしている。
「兄様早く会いたいわ。」
「うん。僕もだよ。」
しばらく二人で雪を眺めていると部屋にノックの音が響き、子守のサナが入ってきた。
「レティー様、メティー様、妹君がお産まれなさいましたよ。」
「ほんとに!!」
「母様は大丈夫ですか?」
嬉しそうな二人の様子にサナは目尻を下げた。
「ええ。お二人共お元気です。妹君にお会いになりますか?」
「うん!」
「もちろん!」
二人はサナの手を取り、母の寝室にかけていった。
コンコンコン
親しいものを示す3回のノックに、二人の父であるレメルが戸を開ける。
部屋は何故か悲しげな雰囲気であった。
「父様!赤ちゃんは?見たいわ!!」
「父様、母様と赤ちゃんは大丈夫ですか?」
レメルは微笑ましい二人の様子に少し笑みをこぼし、妻と娘の元に案内する。
「うぁー!可愛いねぇ赤ちゃん。」
「可愛いね!あ、えっ、この子………。」
ベットですやすやと眠る可愛らしい妹を見て、はしゃぐ二人。
そしてすぐにレティーの表情が曇った。
ベビーベットで寝かされた赤子はこの世界では神使に表れるとされている髪色をしていた。
幼いながらも頭が良く、神使について詳しく知っているレティーは、この先のこの赤子の運命を思ったのだ。
「目の方は確認出来ていないんだが、多分この子は神使だろう。カティー、私はどうすべきなんだ?」
3人の母であるカティーは目に涙を浮かべながら赤子を撫でる。
「わたくしはこの子と離れたくありません。十月十日このお腹の中で大切にしてきたこの子を手放せるとでも!?………嫌よ。絶対嫌!」
絶対に離さないと言わんばかりに赤子を抱き上げ強く抱きしめる。
「どうして?赤ちゃん取られちゃうの?神使って何?」
尋常ではない両親の様子にメティーが不安げに尋ねる。
「この子は神使だ。神使は産まれると教会に引き渡さなければならないんだ。そうなってしまえば、家族である私たちでさえ2度と会うことが出来なくなるんだ。」
神使とは、この世界で神の子と信じられている存在だ。
数百年に1人現れ、神使が現れた国は豊かになる。
そして神使は産まれたと同時に国家の教会に引き渡すよう言われており、それから神として崇められ、国の為に教会から出ることなく祈りを捧げ一生を終えるのだ。
そして国に災いが起こった際生贄として神に捧げられる。
要は体の良い人柱だ。
「いや!絶対連れてっちゃだめ!!赤ちゃん取っちゃやだ!」
状況を理解したメティーは赤子を抱きしめるカティーの腕にすがりつく。
「父様、僕からもお願いします。赤ちゃんを連れてかないで!僕らで赤ちゃんをちゃんと守るから!お願い!」
「絶対に隠し通せるか?」
しばらく考えたあとレメルは切り出した。
「ええ。何があってもこの子を守るわ。」
「うん!僕らの大切な妹だもん。」
「私だって秘密守れるわ!!」
「……分かった。」
3人の決意にレメルも腹を括ることにした。
国を裏切ってでも我が子を守ろうと。
「何があってもこの子を、ルイティアを私たちで守るんだ。絶対に。いいな。」
「ええ。」
「はい。」
「うん。」
こうして涙は、ルイティア・ユーン・スピリチュアルとして生を受けることになった。
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