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1日目 ③
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「えーっと、俺の部屋は・・・・・・」
空条に言われた通り、2階の1番右の部屋の前で足を止めた。
綾瀬はきっと部屋の中にいるだろうし、一応ノックをしてから入るか。
「綾瀬さん?いる?」
中から返事はない・・・・・・トイレにでも行っているのだろうか?
俺は部屋のドアを開けた。
ドアを開けてまず目についたのは部屋の左隅に少し大きめの丸テーブルとソファ、そして本棚。
視線を右に向けると頭側を壁につけたベッドが2つ、テーブルを挟んで並んでいる。
そのテーブルの前には体育座りをして泣いている綾瀬がいた。
綾瀬はドアが空いた音に反応し驚いたように顔を上げ、俺に気づくや否や俺へ鋭い視線を飛ばしてきた。
「アンタ・・・・・・見たわね。」
見たって・・・・・・一体何をだ?
素で理解出来ずに首を傾げると、綾瀬は立ち上がり少し怒気を帯びた顔つきで足早にこちらへ近づいて来る。
俺はそれに気圧されるように少し後ずさりをすると同時に、もう既に目の前まで来ている綾瀬が部屋のドアを思いっきり閉めた。
壁ドンされているような体制になり、168センチの俺より少し小さい綾瀬はその体制のまま少し顔を上げ、
「あのさぁ。見た?って聞いてるの。」
と返事をしない俺に語尾を強調して詰め寄った。
「見たって・・・・・・なんのこと?」
「バカにしてるの?!」
綾瀬はそう言うと俺の右頬を掠めるように背後のドアを強く叩く。
耳元で大きな音が鳴り、反射的に体がビクッとした。
「本当になんのことかわからないよ・・・・・・ごめん、理解力がなくて。」
「はぁ・・・・・・そう。男ってほんと分からず屋で腹が立つわ。泣いていたことに決まってるでしょ?それ以外に何があるって言うの?」
ため息混じりにそう話す綾瀬に、あぁなるほど!と納得。
しかし別に恥ずかしいこともないと俺は思うんだが。
そこは女子にしか分からない感情なのだろうか・・・・・・?
「ごめん、泣いてたんだね、わからなかった(笑)。」
もちろん嘘ではあるが、綾瀬のためにもそうした方がいいと俺は判断した。
だがしかし綾瀬は頬を赤く染め、両手を自分の両頬に当てて俺に背を向け座り込んだ。
「何わかりやすい嘘言ってんのよ・・・・・・馬鹿じゃないの。まあいいわ。
あ、そういえばーー」
と綾瀬が何かを言いかけた時、部屋にノックの音が響いた。
空条か?と思いドアを開けると、そこにいたのはリアだった。
「今すごい音がしたけど大丈夫かしら?」
「あ・・・・・・ちょっとソファに足を引っ掛けて倒してしまいまして。」
咄嗟に嘘をつくと、リアは納得したような顔で
「そうなのね、気をつけるのよ。
そういえば空条さんから食事のこととか説明受けてないわよね?」
と俺に本題を切り出してきた。
あぁ・・・・・・そういえばそうだ。
はい、と頷くとリアはにこっと微笑みトーストの乗ったお皿を2つ差し出してきた。
これは?という意味を込めてリアに視線を送ると、リアは
「ここでは食料も限られてるし、無駄には出来ないのよ。いつここから出られるかもわからないから、こんなに貧相な晩御飯になってしまっているけど・・・・・・みんな同じだから我慢して頂戴ね。」
と言った。
そうか、すっかり食事のことが頭から抜けていたが限られた食料をみんなで分け合わなければいけないんだ。
自分が島に閉じ込められていることを改めて痛感した。
「一条くん?大丈夫かしら?」
「あっ・・・・・・はい。わざわざありがとうございます。」
「いつも食事はわたしが用意することになっているから。
あ、お風呂とかトイレのことは綾瀬さんから聞いてね。じゃあ失礼するわね。」
リアはそう言って、部屋のドアを閉めた。
皿を2つ持ち呆然と立ち尽くしている俺の手から綾瀬は皿を1つ取り、
「何青くなってんの?バッカじゃないの。」
と言った。
普段ならばバカにされても笑って許す俺だが、さすがに閉じ込められているこの状況では心の余裕なんてものはなく・・・・・・
「お前はどうして人を馬鹿にしていられるんだよ・・・・・・っ!
というかみんな可笑しい!なんでそんなに悠長でいられるんだ?何が食料も限られている、だ!何故脱出のことを考えない?!」
思わず怒鳴ってしまった。
八つ当たり、混乱、恐怖・・・・・・様々な感情が入り交じる。
こんな風に初対面の相手に怒鳴ってしまった自分にも腹が立った。
家に帰りたい。退屈な毎日だなんて思うんじゃなかった、平和な毎日の間違いだろう、俺。
どうしてこんなことに・・・・・・
「ごめん・・・・・・綾瀬。」
床にへたり込みながら独り言のように呟くと、綾瀬はふーっと息を吐いてから喋り出した。
「・・・・・・あたしも悪かったわ。部屋のことでいきなり怒ったり、バカにしたりして。
あたしもね、何もわからなくて・・・・・・どうしたらいいかわからなくて。みんな同じように思っていることなんてわかってる。けど・・・・・・辛いのよ。家族と友達に会いたい・・・・・・っ。」
思っていることはきっとみんな同じ。
けど我慢するしかないんだ、今は。
「どうなってしまうんだろうな、俺たち・・・・・・」
俺1人ではどうすることも出来ないこの現状にとてつもない無力感に襲われ絶望しそうになるが、先程の綾瀬の言葉を思い出し俺1人じゃないんだと思うとほんの少しだけ気が楽になった。
とにかく生きていくためには食べるしかない・・・・・・限られた食料を無駄にしない為にも目の前のトーストを腹に詰め込んだ。
空条に言われた通り、2階の1番右の部屋の前で足を止めた。
綾瀬はきっと部屋の中にいるだろうし、一応ノックをしてから入るか。
「綾瀬さん?いる?」
中から返事はない・・・・・・トイレにでも行っているのだろうか?
俺は部屋のドアを開けた。
ドアを開けてまず目についたのは部屋の左隅に少し大きめの丸テーブルとソファ、そして本棚。
視線を右に向けると頭側を壁につけたベッドが2つ、テーブルを挟んで並んでいる。
そのテーブルの前には体育座りをして泣いている綾瀬がいた。
綾瀬はドアが空いた音に反応し驚いたように顔を上げ、俺に気づくや否や俺へ鋭い視線を飛ばしてきた。
「アンタ・・・・・・見たわね。」
見たって・・・・・・一体何をだ?
素で理解出来ずに首を傾げると、綾瀬は立ち上がり少し怒気を帯びた顔つきで足早にこちらへ近づいて来る。
俺はそれに気圧されるように少し後ずさりをすると同時に、もう既に目の前まで来ている綾瀬が部屋のドアを思いっきり閉めた。
壁ドンされているような体制になり、168センチの俺より少し小さい綾瀬はその体制のまま少し顔を上げ、
「あのさぁ。見た?って聞いてるの。」
と返事をしない俺に語尾を強調して詰め寄った。
「見たって・・・・・・なんのこと?」
「バカにしてるの?!」
綾瀬はそう言うと俺の右頬を掠めるように背後のドアを強く叩く。
耳元で大きな音が鳴り、反射的に体がビクッとした。
「本当になんのことかわからないよ・・・・・・ごめん、理解力がなくて。」
「はぁ・・・・・・そう。男ってほんと分からず屋で腹が立つわ。泣いていたことに決まってるでしょ?それ以外に何があるって言うの?」
ため息混じりにそう話す綾瀬に、あぁなるほど!と納得。
しかし別に恥ずかしいこともないと俺は思うんだが。
そこは女子にしか分からない感情なのだろうか・・・・・・?
「ごめん、泣いてたんだね、わからなかった(笑)。」
もちろん嘘ではあるが、綾瀬のためにもそうした方がいいと俺は判断した。
だがしかし綾瀬は頬を赤く染め、両手を自分の両頬に当てて俺に背を向け座り込んだ。
「何わかりやすい嘘言ってんのよ・・・・・・馬鹿じゃないの。まあいいわ。
あ、そういえばーー」
と綾瀬が何かを言いかけた時、部屋にノックの音が響いた。
空条か?と思いドアを開けると、そこにいたのはリアだった。
「今すごい音がしたけど大丈夫かしら?」
「あ・・・・・・ちょっとソファに足を引っ掛けて倒してしまいまして。」
咄嗟に嘘をつくと、リアは納得したような顔で
「そうなのね、気をつけるのよ。
そういえば空条さんから食事のこととか説明受けてないわよね?」
と俺に本題を切り出してきた。
あぁ・・・・・・そういえばそうだ。
はい、と頷くとリアはにこっと微笑みトーストの乗ったお皿を2つ差し出してきた。
これは?という意味を込めてリアに視線を送ると、リアは
「ここでは食料も限られてるし、無駄には出来ないのよ。いつここから出られるかもわからないから、こんなに貧相な晩御飯になってしまっているけど・・・・・・みんな同じだから我慢して頂戴ね。」
と言った。
そうか、すっかり食事のことが頭から抜けていたが限られた食料をみんなで分け合わなければいけないんだ。
自分が島に閉じ込められていることを改めて痛感した。
「一条くん?大丈夫かしら?」
「あっ・・・・・・はい。わざわざありがとうございます。」
「いつも食事はわたしが用意することになっているから。
あ、お風呂とかトイレのことは綾瀬さんから聞いてね。じゃあ失礼するわね。」
リアはそう言って、部屋のドアを閉めた。
皿を2つ持ち呆然と立ち尽くしている俺の手から綾瀬は皿を1つ取り、
「何青くなってんの?バッカじゃないの。」
と言った。
普段ならばバカにされても笑って許す俺だが、さすがに閉じ込められているこの状況では心の余裕なんてものはなく・・・・・・
「お前はどうして人を馬鹿にしていられるんだよ・・・・・・っ!
というかみんな可笑しい!なんでそんなに悠長でいられるんだ?何が食料も限られている、だ!何故脱出のことを考えない?!」
思わず怒鳴ってしまった。
八つ当たり、混乱、恐怖・・・・・・様々な感情が入り交じる。
こんな風に初対面の相手に怒鳴ってしまった自分にも腹が立った。
家に帰りたい。退屈な毎日だなんて思うんじゃなかった、平和な毎日の間違いだろう、俺。
どうしてこんなことに・・・・・・
「ごめん・・・・・・綾瀬。」
床にへたり込みながら独り言のように呟くと、綾瀬はふーっと息を吐いてから喋り出した。
「・・・・・・あたしも悪かったわ。部屋のことでいきなり怒ったり、バカにしたりして。
あたしもね、何もわからなくて・・・・・・どうしたらいいかわからなくて。みんな同じように思っていることなんてわかってる。けど・・・・・・辛いのよ。家族と友達に会いたい・・・・・・っ。」
思っていることはきっとみんな同じ。
けど我慢するしかないんだ、今は。
「どうなってしまうんだろうな、俺たち・・・・・・」
俺1人ではどうすることも出来ないこの現状にとてつもない無力感に襲われ絶望しそうになるが、先程の綾瀬の言葉を思い出し俺1人じゃないんだと思うとほんの少しだけ気が楽になった。
とにかく生きていくためには食べるしかない・・・・・・限られた食料を無駄にしない為にも目の前のトーストを腹に詰め込んだ。
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