異世界転生した攻略キャラから提案ですが姫様隠しキャラ落としませんか?

かぎのえみずる

文字の大きさ
12 / 83
第一章 リーチェ編

第十話 面白き主殿

しおりを挟む
「ヴァスティ、一つ聞きたい」
『何だ?』
「お前さ、キャロライン姫を好きか?」
『――この世界で、一番大事で可愛らしい方だよ、あの方さえ幸せになるのなら、何もかも惜しくない』

 そうだな、それが聞きたかった。
 お前が自己犠牲する姿、嫌いじゃなかったんだ、ゲームの中では。
 最初、どうしてこいつ必死にサポートしてくるんだろうとか、永遠の二番手野郎とか、ゲームしてるときは笑ってた。
 けど、実際接して見て成る程、これは腹立つものだ――と、納得した。


「ヴァスティ、こっちのことはきちんとするが、四六時中となると最初から牢獄で監視されてる気分だ。なァ、定期連絡じゃァ駄目か? 定期連絡のときだけ、連絡したり会話聞いたりしてくれ」
『水晶が、不穏な動きをしている。読めない動きだ――また未来が変わった、お前が何かを決意した結果でな。何を考えていた、リーチェ』
「今は俺が何を言っても信じないだろ、良い物だっていっても」
『確かに。それでは、定期連絡というものに期待しよう。二日に一回。一晩だけ連絡を寄越すように。悪いが連絡に使うから、鈴はつけたままだ、それではまた会おう』
「何だと!? こら、待て、この神もどきが!」
 黒龍が手を伸ばし、転びかけたので、俺が咄嗟に支え、抱き寄せた。
 黒龍は途端に大人しくなり、顔を真っ赤にしてから、ばっと俺を突き放した。

「お前様、何を考えている? 主従に隠し事は良くないものだ」
「……ヴァスティに絶対にばれないように、オレの心を読めるものなら読んでくれ。そういう術があるなら、今だけは読解していい」
「……――ばれたくないのであれば、あいつの近づけない邪悪な結界でも張れば良い、清廉な魔力を持つ者は聴けないだろう」
「そんな技あるのか?」
「私をあなどるなよ、見てろ」
 ふわんと風もないのに揺れる黒髪、ふよふよと揺れたかと思えば、イミテの指先に集う水色の淡い光は一気に赤みを帯び、ぶわっと床から半円形状の形となり、オレとイミテと包み込んだ。空気はどこか、澄んでいるが、鼻ですんと嗅ごうとすると錆びた匂いがする。
ぺたりと透明だけれど色の付いた包んでいる壁に触れれば、ガラスみたいに冷たい温度だった。
 イミテに向き直ると、イミテは胸を大きく揺らし、威張った。
「さぁさぁ、話してみせよ」
「……このままヴァスティの言う通りに、他の王子とキャロライン姫様をくっつけると、キャロライン姫様は幸せかもしれねーけど、ヴァスティは幸せになれないんだ。下手したら死ぬ」
 ヴァスティルートは、一度他の王子のルートに入ってからが本番だった気がする。
 オレはクリアしてないから、何とも言えないが、このまま本当に他の王子に一本線であるならばヴァスティルートはないが、確かヴァスティって行方不明になるんじゃなかったっけか……。
 あまり、好ましくない。ヴァスティルートだけは特殊だったんだ。
 ヴァスティを攻略するために、一度時間をループする必要がある。
 死んだヴァスティを見つけるなり、対処が早めに出来ていないと、タイムアップでヴァスティがホントに死んだままになるんだよな。
 オレがプレイしたルートは、バッドエンドだったから、死んだままになりキャロライン姫様も国外追放となっていた。

 それをどうやって説明したものかと悩んでいると、イミテは、じ、とオレを見つめてから、ふぅと息をつく。

「お前様はなぜだか未来を知っている、そうだな? あの清廉な魔力とは違う、力の在り方である、未来の知り方をしている、相違ないな?」
「うん、それに抗おうとしている」
「ふっふっふ、私は良き主人と巡り会えたようだな、退屈のない時間となりそうだ! あの者は死に神の気配がする、されどそれを追っ払おうというのか?」
「もう既に死に神の気配とやらが、イミテには見えるんだな? できれば、そいつにはお帰り願って、ヴァスティにはキャロライン姫様と結ばれて欲しい。その為に何ができるかを、考えているんだ」
「まぁ待て、キャロライン姫とやらの気持ちがおざなりだ、あの姫様にとって問題はヴァスティがどういう存在であるかというのも大事だ。それを見てから、というのも良いのでは?」
「でも、今のままだと、キャロライン姫は俺に惚れてるんだよ、ヴァスティ曰く」
「――改めて聞くが、お前様はキャロライン姫へ想いはないのだな?」
「うん、妹みたいにしか思えん」
「宜しい、そうであれば手伝おう。まずは、……お前様は他の王子を知っているか? その婿候補とやらを」
「アルデバラン王子以外は知らないなあ、友達作りがてらに仲良くなるか」
「うむうむ、小さきことからまずはやっていこう、いきなり大きな目標を立てるのは良いが、いきなり大きい物事は起きぬ。小さき石を起き続けてからこそ、人は躓く。躓いた後に、立ち上がらせよう、キャロライン姫も、あの苛つくヴァスティも」

 少し驚いて、澄んだ瞳のイミテを見つめる。
 イミテは小首を傾げる、傾げる姿は年頃の儚い美少女らしいが、どうにも勇ましいなこの龍の気心は。
「……なんというか、素の自分を偽らないでいい時間て、大事だなっと。……有難う、イミテ。偶に相談に乗って貰ってもいいか?」
「違う、誠に違うぞ、主殿。こういうときは、有難うも正しいが、こう言うのだ」

 イミテは大きく腕を広げ、俺をそっと抱き寄せ、大きな胸に埋もれさせる。
 息できねぇほどに力強いので背中をばしばし叩くが、何処か暖かい気持ちになる。


「助けてくれ、友よ。とな」

しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

【本編完結】美女と魔獣〜筋肉大好き令嬢がマッチョ騎士と婚約? ついでに国も救ってみます〜

松浦どれみ
恋愛
【読んで笑って! 詰め込みまくりのラブコメディ!】 (ああ、なんて素敵なのかしら! まさかリアム様があんなに逞しくなっているだなんて、反則だわ! そりゃ触るわよ。モロ好みなんだから!)『本編より抜粋』 ※カクヨムでも公開中ですが、若干お直しして移植しています! 【あらすじ】 架空の国、ジュエリトス王国。 人々は大なり小なり魔力を持つものが多く、魔法が身近な存在だった。 国内の辺境に領地を持つ伯爵家令嬢のオリビアはカフェの経営などで手腕を発揮していた。 そして、貴族の令息令嬢の大規模お見合い会場となっている「貴族学院」入学を二ヶ月後に控えていたある日、彼女の元に公爵家の次男リアムとの婚約話が舞い込む。 数年ぶりに再会したリアムは、王子様系イケメンとして令嬢たちに大人気だった頃とは別人で、オリビア好みの筋肉ムキムキのゴリマッチョになっていた! 仮の婚約者としてスタートしたオリビアとリアム。 さまざまなトラブルを乗り越えて、ふたりは正式な婚約を目指す! まさかの国にもトラブル発生!? だったらついでに救います! 恋愛偏差値底辺の変態令嬢と初恋拗らせマッチョ騎士のジョブ&ラブストーリー!(コメディありあり) 応援よろしくお願いします😊 2023.8.28 カテゴリー迷子になりファンタジーから恋愛に変更しました。 本作は恋愛をメインとした異世界ファンタジーです✨

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

【完結】公爵令嬢は勇者への恩返しを試みる〜サブヒロインとして頑張ります〜

マロン株式
恋愛
 公爵令嬢ユウフェには、ひとつだけ秘密がある。  ――この世界が“小説の中”だと知っていること。  ユウフェはただの“サブヒロイン”で、物語の結末では魔王のもとへ嫁ぐ運命にある……はずだった。 けれどーー  勇者の仲間、聖女、そして魔王が現れ、〝物語どおり〟には進まない恋の三角関係(いや、四角関係?)が動き出す。  サブヒロインの恩返しから始まる、ほのぼの甘くて、少し切ない恋愛ファンタジー。 ◇◇◇ ※注意事項※ ・序盤ほのぼのめ ・勇者 ✖ サブヒロイン ✖ 魔王 ✖ 巫女(?)の恋愛模様 ・基本はザマァなし ・過去作のため、気になる部分あればすみません ・他サイトと並行改稿中のため、内容に差異が出る可能性があります ・設定ゆるめ ・恋愛 × ファンタジー

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

【完結】うっかり異世界召喚されましたが騎士様が過保護すぎます!

雨宮羽那
恋愛
 いきなり神子様と呼ばれるようになってしまった女子高生×過保護気味な騎士のラブストーリー。 ◇◇◇◇  私、立花葵(たちばなあおい)は普通の高校二年生。  元気よく始業式に向かっていたはずなのに、うっかり神様とぶつかってしまったらしく、異世界へ飛ばされてしまいました!  気がつくと神殿にいた私を『神子様』と呼んで出迎えてくれたのは、爽やかなイケメン騎士様!?  元の世界に戻れるまで騎士様が守ってくれることになったけど……。この騎士様、過保護すぎます!  だけどこの騎士様、何やら秘密があるようで――。 ◇◇◇◇ ※過去に同名タイトルで途中まで連載していましたが、連載再開にあたり設定に大幅変更があったため、加筆どころか書き直してます。 ※アルファポリス先行公開。 ※表紙はAIにより作成したものです。

ウッカリ死んだズボラ大魔導士は転生したので、遺した弟子に謝りたい

藤谷 要
恋愛
十六歳の庶民の女の子ミーナ。年頃にもかかわらず家事スキルが壊滅的で浮いた話が全くなかったが、突然大魔導士だった前世の記憶が突然よみがえった。  現世でも資質があったから、同じ道を目指すことにした。前世での弟子——マルクも探したかったから。師匠として最低だったから、彼に会って謝りたかった。死んでから三十年経っていたけど、同じ魔導士ならばきっと探しやすいだろうと考えていた。  魔導士になるために魔導学校の入学試験を受け、無事に合格できた。ところが、校長室に呼び出されて試験結果について問い質され、そこで弟子と再会したけど、彼はミーナが師匠だと信じてくれなかった。 「私のところに彼女の生まれ変わりが来たのは、君で二十五人目です」  なんですってー!?  魔導士最強だけどズボラで不器用なミーナと、彼女に対して恋愛的な期待感ゼロだけど絶対逃す気がないから外堀をひたすら埋めていく弟子マルクのラブコメです。 ※全12万字くらいの作品です。 ※誤字脱字報告ありがとうございます!

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました

iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

処理中です...