ツインデッド・オルド・オール 20XX年

赤沼 夜

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第1話 20XX年 長い夢からの目覚め

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 目の前には黒い天井が見えるが、天井に到達する前に、ガラスのような透明なものがある事を、俺の目は捉えた。この浮遊感、どうやら俺は液体の中に入っているみたいだ。目の前の視界がクリアになり、黒い天井がそのまま見える。

「松永さん起きてください。松永さん? おい、松永!! 起きろ!!」
「……?」

 紫色のボブカリーヘアーをした女性がなんか言っている。服装はナース服のようだ。
 周りを見渡すと、カプセルのようなものが何個も並んでおり、その中に人が入っていたり、入らなかったりしている。

「んああ、聞いのか、聞こえてないなら、手を上げろ」
 
 どうやらまだ意識が朦朧としているらしい。
 松永……俺の名前か、

「なんか長い夢を見ていたきがする」
「は? まぁ、実際に身体は長い間カプセルに入っていましたからね」
「え? どれくらい入っていたんだ?」
「安心してください。確かにカプセル内では数ヶ月経っていたかもしれませが、実際の現実の時間経った8日ほどです」
「あー、確かにそんな感じだったきがする」

 だんだん記憶を思い出てきた。俺は事故にあって治療していたんだな。
 しかし、肝心のどんな事故だったのかが、思い出せなかった。
 このナース服の人も思い出した。普段は丁寧語なのに、イライラすると急変して口が悪くなる人だったきがする。

 だるい身体を動かした。
 昔ならナースの人の話が本当で身体は数ヶ月経っている状態なら、起き上がる事もできないだろう。だが、現代の医療技術なら、身体がだるいと感じるだけで、明日からでも仕事に行ける、いや、行かされる。

 部屋を出た後、俺が目覚めた事を病院の人が、知り合いに連絡してくれていたみたいで、既に服など用意されていた。帰る身支度をして、受付場所で手続きをする。
 受付の場所には後ろに責任者の女性が座っており、キーボードでカチカチと何かをしている。
 受付にはロボットが立っていた。
 
「本日のご利用理由を選択してください」

 画面に選択肢が出てきた。
 いつもの手順通り選択していると、医療費が出てきた。

「高いな、まぁ、会社負担だから、俺には関係ない」

 退院手続きを完了して、ソファに座った。
 外を見るとそこは、見慣れた夜景だった。黒く大きな建物のが並ぶなか、ネオンの光が輝いている。上空では黒い物体が空を飛んでいる。

「こーくん」

 後ろから俺の名前が呼ばれた。この呼び方をするのはあいつぐらいしかいないな。
 森咲優奈、赤い髪にポニーテール。小さい頃から一緒に生きてきた幼なじみ。

「森咲に会うのも久しぶりに感じるな」
「まだ、7日しか経ってないんだけどね」
「長い夢を見ていた感じだった」
「今回はどんなものを見たの?」
「異世界だったきがする」
「異世界? どんな感じの?」
「剣と魔法の世界で確か、俺はトラックに轢かれて、女神に会って、それから……強い能力を貰ったんだ」
「なにそれ? よくわかんない」
「昔は異世界に転生とか転移とかする小説が流行った時があったらしい」
「ふーん」
「それでさ、近くにラーメン屋はあったか?」
「何がそれでなの? まぁいいけど、ラーメンね」

 森咲が左腕の手の甲辺りを触ると、透明なウィンドウが開いた。
 見た感じ、周囲のお気に入りのお店からラーメン屋を探しているみたいだ。

「ここから車で30分ぐらいのところにあるよ」
「車は?」

 森咲は手で外を示した。

 外に出ると、駐車場には黒い色のZaと書かれたスイスのブランドの車が停まっていた。この車は車輪がなく、空飛ぶ専用の車だ。

「まだZaの車使ってたんだ」
「まだまだ使えるからね」
「でも流石に古くないか?」
「動けるなら大丈夫なの」

 車の中に乗り込むと、中はふたつの席があり、真ん中にテーブルがある。テーブルの上にはタッチパネルが置いてある。

「まさか、この車違法改造してないよな?」
「さぁ、どうだろうね」

 車は基本自動運転での使用が多い、高速道路以外は自分で運転することは可能だが、速度に制限がかかる、その為、あまりスピードを出すことは出来ない。
 しかし例外がある。警備隊の車とかライセンスを持っている人達はスピード出し放題だ。その他の方法は違法改造を行うことで制限スピードを誤認させたりすることが可能だ。

 街に到着した。
 大通りを歩いていると、色んな人種の人達が歩いていた。その中にアンドロイドも歩いている。
 今のアンドロイドは見た目が四角だったり丸だったり、ごつい形をしている。人間と言うよりもマスコットをイメージした見た目をしている。
 昔は人間みたいな見た目をしたアンドロイドが多かったが、多くの問題が発生して、見た目からして、アンドロイドとわかるような見た目がメジャーになった。俺は詳しく知らないが、大人用のおもちゃはリアルな見た目やアニメキャラの見た目をしたアンドロイドが多いらしい、なんでだろうな。
 
 予定通り30分で到着したラーメン屋は裏道を少し歩いたところにあった。そのお店は周りのお店とは明らかに雰囲気が違う、昔ながらの屋台みたいな感じのお店だった。

「こんなお店あったんだな」
「日本人でラーメン好きだったら誰でも知ってるとこだよここ、逆に知らなかったんだ。普段何食べてんの?」
「最近はなんだっけ、それより入ろう、お腹空いた」

 のれんをかいくぐってお店に入ると、おじさんが1人座っていた。

「おじさん、まだやってるよね」
「やってなきゃ、お店を入れるよにしてないさ」
「はい、これメニュー」
「紙?」
「そうだよ?」

 メニューを見てみると、ラーメンの種類が書いてある。麺の硬さとかスープの濃さとか色々カスタマイズできるようだ。

「なんだか、ラーメンなのに細かいな。これは昔のシステムなのか?」
「そうだよ。ってなんも知らないんだね」

 実はラーメンは人生で一度くらいしか食べたことがなかった。とりあえず、醤油ラーメンにして、カスタマイズは全部普通にしておくか。
 目の前にラーメンが置かれた、森咲が白い変な形のスプーンを片手に持っている。もう片方で箸を持って、二刀流みたにしていたので、俺も真似することにした。スープを飲んで、麺を啜った。

「美味しい」

 あの世界でラーメンという名前にされた理由が美味しいという理由だったからな、変な女神だったな。
 
「それは良かった」
「このスプーンなんて言うんだっけ?」
「レンゲ」
「レンゲか……」

 車で俺の家付近まで送ってもらった。

「ありがとう」
「うん、じゃあ明日仕事あるからね。装備とかちゃんと確認するんだよ」
「わかってるよ」
「そういえば聞き忘れてたんだけど、こーくんが怪我した理由とか覚えてる?」
「うーん、なんだっけ?」
「まぁ、いいや。さよなら」
「あ、ああ?」

 森咲が乗っている車が遠ざかっていく、便利な世界だな。異世界とは全然違う。
 森咲の言葉は確かに、俺は事故が起きたことはなんとなく覚えてるんだけど、どんな事故だったか上手く思い出せない。
 狭い路地を歩きながら、自宅に向かった。
 家のドアの横にある端末に手をかざして、家に入ると、なんかおかしいな。

「真っ暗だ」

 普段は家に入ると、電気が自動でつくはずなんだけど、真っ暗なままだった。
 俺は真っ先に寝室まで走った。
 そこで俺が見たものは、

「思い出した」

 俺の寝室があるところは半分以上が何かで潰されたような跡ができていた。それもベッドがある所を中心に、俺は寝ている時に襲撃されたんだ。そもそも、今の医療技術なら1日2日で治る怪我が多いなか、8日もかかったんだ。相当怪我が酷かったのだろう。そんでついでに電気系統の部品も破壊したのだろう。

「くそ、誰だこんなことをやったやつは……直すのめんどくさ……とりあえず寝るか」
 
 これをやった犯人を探したいところだが、難しいだろう。警察は高いお金じゃないと動かない、何より日本人の俺の助けに応じてくれるのかすら不明だ。まだ、知り合いのつてを借りた方が合理的だろう。

 俺が現在住むここプロット4は黒い高層ビルが並び、夜はネオンの光が光り輝いている。ここは元は福島県があった場所だった。
 
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