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#初めての〇〇〇
Ep.29 不穏な新学期
しおりを挟む新学期、静かな校舎に生徒たちの活気が戻ってきた。
休み中部活漬けの社畜学生たちは白い制服との対比も相まって日焼けで肌が真っ黒になっている。
そうでない人たちは久しぶりの登校にダルそうにしていたり。
友達との久々の再会にはしゃいでいたり……休み前とはちょっと様子が違っている。
そんな中で、唯一変わらないのがこの私。
残暑のむさ苦しさも感じさせないゆったりと優雅な足取りで校門をくぐる。
汗?そんなもの美少女には関係ない。
サラサラの髪は歩くたびに軽やかに靡くし、今まで雪国にいました?ってレベルの透き通る白い肌はそれだけで涼やかな印象を持たせる。
私との久しぶりの再会に、男という名のジャガイモ共は惚けた顔で遠巻きに私を眺めたり、いそいそと挨拶をしに来たり。
私はそれを神から人間への施しとばかりに、天使の笑顔で受け入れてあげるの。
夏休みは家に篭りっぱなしだったし、その前はなんか失礼なことばかり言う奴らとばかり絡んでいたから忘れそうだったけど――そう。
私は自他共に認める類稀なる美少女なのだ。
「…………。」
校舎の前まで来てふと足を止めて振り返る。
(よし、奴らはいないわね。)
奴らとはもちろん私の友達、ことH2Oのことだ。
奴ら気づくと私の思考を読み取って、失礼なツッコミ入れてくるから油断ならない。
今だって、もしいたら――……
「自己評価たか~ぁい⭐︎」とか、
「自分で類稀なるとか言うな。」とか、
「騙されてんぞ、男達。」とか、
ヘラヘラビシバシギャーギャー言われていたところだ。
…………。
いなくても私の脳内のアイツらがツッコんでくるのか。しんどっ。
脳内の3人に気分を害されたから、ジャガイモたちは全スルーで颯爽と校舎に入っていく。
久しぶりの自分の下駄箱と再会して、そこに詰め込まれた手紙が雪崩を起こすのを見越してそっと下駄箱の戸を開ける。
それなのに、中にあるのは私の上履きだけだった。
「……あれ?」
珍しい。もうファンだろってレベルで毎日のように果し状だの呪いの手紙だのが届いていたのに。
まぁ手間がなくていいかと上履きを手にした時、靴の下に何かハガキのようなものが置いてあるのに気づいた。
「げ、なにこれ。」
覗き込んで、差し入れようとした手が一瞬止まる。
ハガキじゃない。写真だ。
――しかも私が映っている。
おそらくどこかの窓から外にいる撮ったのであろう隠し撮り。
(何これ気持ち悪っ……最悪。)
恐る恐る写真を取り出すと、カッターか何かで切り付けられている、私の顔が。
一旦深呼吸してから写真を鞄に仕舞い込んで、不敵に笑う。
「……写真とは言え私の顔に傷つけるなんて、いい度胸じゃない?」
こんなもんで私が怖がると思った?浅はかな。
こちとら植木鉢頭上に落とされたことだってあんのよ!
バゴンと勢いよく下駄箱の戸を閉めると、力強く教室に向かって歩き出す。
私の顔を傷つけた奴、見つけたらただじゃおかないんだから!
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