タッタラ子爵家の奇妙な結婚事情

れん

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子爵令嬢と公爵の政略結婚

結婚前夜と二十数年後

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「キャメル伯爵家とノモス公爵家が怒り心頭だったぞ」
「それは、まぁ、ノモス公爵にとっては王家と寄り子両方にコケにされたようなものだ。当然だろう」

 大人たちがそんな会話をする。あぁいけませんわ、今日から私も大人の一員でしたわ。それにしても、どうするのでしょうかねぇ。学園長が言ったとおりに劇で押し通すのでしょうか。まぁ間違いなく茶番劇でしたが。
 
 間違いなくカルディ男爵家は御取り潰しでしょう。そうでもしないとキャメル伯爵家の面目が立ちませんもの。貴族の除籍は王家の許可が必要ですが、明らかな越権行為があった以上は王家も拒否もできないでしょうね。
 
 その夜、家族との最後の夕食をいただき、静かに夜が更けました。翌日は何かとあわただしい中――何しろ王都は滞在するだけで何かとお金がかかるので、用事がすんだら下位貴族はとっとと領地に戻ります――表に豪奢な馬車が止まる。
 
 中から出てきたのは、これまた正装の公爵本人。昨日の盛装も見事なものでしたが、正装はまた……独自の迫力がありますわね。公爵は口が裂けても美男子と言うわけではないのですが、不思議と人目を引く雰囲気と魅力がある方です。

「それではお父様、お母様、お世話になりました」
「幸せにね、リーベ」
「いやになったら戻ってきていいからな」

 両親とそれぞれ抱き合い、弟には一つお互いに頷くと、私は馬車へ入る。最後に婚約者が両親たちと何かを話した後、乗り込んできた。
 
  これから婚約者の屋敷で使用人との顔合わせと、婚礼準備。まぁ私は後妻なのと子爵令嬢なのでシンプルなものでしょう。そして初夜もありますわね。
 これからが忙しいのですわ――。



 そうして公爵家に嫁入りして、早二十数年が経ちました。
 もちろん、卒業パーティーの時以上に注目を浴びるようなことは、全くない。実につつましやかな二十年でしたわ。

 どこにでもいる子爵令嬢であった私が公爵夫人をどうにかこうにか今日までやってこれたのは、優秀な旦那様と長男。そして使用人たちのおかげですわね。
 何しろ子爵家と公爵家では家の規模が違いますからねぇ。

 それを下手に自分家ルールを振りかざさないだけ教育のし甲斐がある。と言ってビシバシ鍛えてくれた家令にはいまだに頭が上がりませんわ。
 …………よほど、先妻の方がいろいろやらかしたんでしょうね。えぇ。まぁ、最初の奥方は本当に高貴な身の上でしたので仕方がない部分はあるんですが。

 そして私は七人の子持ちです。いえ、言いたいことはわかります。多くないか? でしょう。わかります。私もそう思います。
 ですが少しばかり言い訳と言うか、説明をさせてください。
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