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公爵令嬢と第三王子の恋人ごっこ
エピローグ
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「そういえば、ロン様、恋人ごっこの知識はどこから?」
二人のお気に入りの紅茶を共に、今日も恋人同士の語らいは始まる。
不意に尋ねたリーナに、ロンは苦笑いをしながら答えた。
「母上だ」
「王妃様が?」
リーナが驚いた。というように目を見開くのは訳がある。
王子であるロンの母親、つまり王妃は公爵家出身だ。
リーナとはもちろん別の家の出身だが、それでもそれなりに歴史のある家の令嬢で、いつも穏やかな笑みを浮かべている女性だった。
「あぁ、母上はお婆様の鶴の一声で父上の婚約者に決まったそうなんだが」
「私もそのことは存じております。たしか陛下は当時第二王子だったとか」
「あぁ、第一王子と第三王子が才にあふれる人物で、パッとしない第二王子とか言われていたらしい」
「はぁ」
国王自らが自分をそう表現しているらしい。
リーナはどう答えていいかわからず曖昧な声を出す。
身内間のジョークと言えども、国王を貶める内容に公爵令嬢がそれを笑っていいものかは悩むところだ。
そんなリーナの前で、ロンがため息をつく。
「ところがどっこい、第一王子が学園時代に隣国の姫君に強引に迫って危うく国際問題に発展しかけたことで廃嫡。そこで台頭したはずの第三王子は、怪しげな魔術の生贄に庶民どころか貴族の関係者を巻き込んだという理由で廃嫡。
気が付いたら父しか残っていなかったらしい」
「そうですわね」
数代前の悲劇再びか、と、親世代が頭を抱えたことはリーナも知っている。
しかも今回も引き続いて三兄弟であるから、何かやらかさないかと王子たちは何かと窮屈な生活を送っていたらしい。
「まぁそれについては母上が〝だったら四兄弟にすればいいわぁ〟と言って弟妹を作ったんだが」
「…………そうでしたわね」
ロンの二つ下の妹姫と四つ下の弟王子を思い出してリーナはあいまいにうなずく。
それでいいのか王族よ。などいう不敬なことは思ってはいけない。
それで三兄弟のジンクスなどと言い出した面々が、自分たちの言っていることのバカらしさに気がついて意見を撤回したらしい。
そもそも、前回の時は男、女、男と言う並びだったので、兄弟の数は関係ないだろう。
ともかく、優秀であった上と下の兄弟が見事に潰れてしまって、残ったのが今の国王だったわけだ。
「母上は公爵令嬢だったので後ろ盾に問題はなかったんだが、即位する前はどうしてこうなったと二人してぼやいていたらしい」
割と今でも言っているんだけど。と言う王子の言葉は国民の一人として聞き流すことにした令嬢である。
ともかく、そんな風にもともと王位を継ぐ予定はなかった二人なのでかなり自由に過ごしていたというのだ。
そのため、婚約者ともっと親密になりたいと悩む息子に授けた秘策が「恋人ごっこ」だったと言うわけである。
「母上と父上は表立ってはできなかったようだけれど私たちなら大丈夫だろうとね」
母の頃は他にもいろいろあったみたいだから。と言うロンに、リーナは「そうでしたの」と頷いた。
「それでは……今度は何をしましょうか」
「天気のいい日に、膝枕をしてほしい」
「……まぁいいでしょう」
せっかくですから、ランチボックスを用意しましょうか。と言うリーナに、ロンは嬉しそうに微笑む。
それはともかく、リーナとロンの恋人ごっこの時間は、まだまだ続くのだ。
----
ちなみにこの後、卒業して「恋人同士」ごっこは終わりましたが、結婚して仲のいい夫婦になるでしょう。
王子が前作のタラッタ子爵令嬢の孫にあたります。
王子は祖父にあった時ギャン泣きした。今も会う前には深呼吸必須。
二人のお気に入りの紅茶を共に、今日も恋人同士の語らいは始まる。
不意に尋ねたリーナに、ロンは苦笑いをしながら答えた。
「母上だ」
「王妃様が?」
リーナが驚いた。というように目を見開くのは訳がある。
王子であるロンの母親、つまり王妃は公爵家出身だ。
リーナとはもちろん別の家の出身だが、それでもそれなりに歴史のある家の令嬢で、いつも穏やかな笑みを浮かべている女性だった。
「あぁ、母上はお婆様の鶴の一声で父上の婚約者に決まったそうなんだが」
「私もそのことは存じております。たしか陛下は当時第二王子だったとか」
「あぁ、第一王子と第三王子が才にあふれる人物で、パッとしない第二王子とか言われていたらしい」
「はぁ」
国王自らが自分をそう表現しているらしい。
リーナはどう答えていいかわからず曖昧な声を出す。
身内間のジョークと言えども、国王を貶める内容に公爵令嬢がそれを笑っていいものかは悩むところだ。
そんなリーナの前で、ロンがため息をつく。
「ところがどっこい、第一王子が学園時代に隣国の姫君に強引に迫って危うく国際問題に発展しかけたことで廃嫡。そこで台頭したはずの第三王子は、怪しげな魔術の生贄に庶民どころか貴族の関係者を巻き込んだという理由で廃嫡。
気が付いたら父しか残っていなかったらしい」
「そうですわね」
数代前の悲劇再びか、と、親世代が頭を抱えたことはリーナも知っている。
しかも今回も引き続いて三兄弟であるから、何かやらかさないかと王子たちは何かと窮屈な生活を送っていたらしい。
「まぁそれについては母上が〝だったら四兄弟にすればいいわぁ〟と言って弟妹を作ったんだが」
「…………そうでしたわね」
ロンの二つ下の妹姫と四つ下の弟王子を思い出してリーナはあいまいにうなずく。
それでいいのか王族よ。などいう不敬なことは思ってはいけない。
それで三兄弟のジンクスなどと言い出した面々が、自分たちの言っていることのバカらしさに気がついて意見を撤回したらしい。
そもそも、前回の時は男、女、男と言う並びだったので、兄弟の数は関係ないだろう。
ともかく、優秀であった上と下の兄弟が見事に潰れてしまって、残ったのが今の国王だったわけだ。
「母上は公爵令嬢だったので後ろ盾に問題はなかったんだが、即位する前はどうしてこうなったと二人してぼやいていたらしい」
割と今でも言っているんだけど。と言う王子の言葉は国民の一人として聞き流すことにした令嬢である。
ともかく、そんな風にもともと王位を継ぐ予定はなかった二人なのでかなり自由に過ごしていたというのだ。
そのため、婚約者ともっと親密になりたいと悩む息子に授けた秘策が「恋人ごっこ」だったと言うわけである。
「母上と父上は表立ってはできなかったようだけれど私たちなら大丈夫だろうとね」
母の頃は他にもいろいろあったみたいだから。と言うロンに、リーナは「そうでしたの」と頷いた。
「それでは……今度は何をしましょうか」
「天気のいい日に、膝枕をしてほしい」
「……まぁいいでしょう」
せっかくですから、ランチボックスを用意しましょうか。と言うリーナに、ロンは嬉しそうに微笑む。
それはともかく、リーナとロンの恋人ごっこの時間は、まだまだ続くのだ。
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ちなみにこの後、卒業して「恋人同士」ごっこは終わりましたが、結婚して仲のいい夫婦になるでしょう。
王子が前作のタラッタ子爵令嬢の孫にあたります。
王子は祖父にあった時ギャン泣きした。今も会う前には深呼吸必須。
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