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13話 出陣
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お兄様達が予定していたパーティーはすぐに訪れた。私の中では楽しみと緊張で夜も眠れなかったけれど……でも、人間というのは不思議なもので、72時間起きておくことは出来ないようになっている。眠れていないというのは、完全に私の勘違いだったのだ。
「おはようございます、シグレ様」
「おはよう、レミーラ嬢。おやおや、しっかりと眠れているようで何よりだ。緊張が解れているように感じられるぞ?」
「いえ、本当はとても緊張してしまい眠れなかったのですが……気付いたら朝になっていたのです。不思議な体験を致しました」
「それはただ、眠っていただけだと思うのだが……眠っている自分が記憶にあったら幽体離脱をしているぞ?」
「た、確かにそうですね……申し訳ありませんでした」
「いやいや、そんなことは気にしなくていいさ」
私としてもギャグみたいなことを真剣に言ってしまっていた。どうやら緊張しているのは事実なようだ。
「しかし、とうとうパーティー当日になってしまったな……果たしてどんなイベントが待ち構えているのか」
「シグレ様は何も知らないのですか……?」
ルック兄さまもドレーク兄さまも、この3日間、パーティーについては口を閉ざしたままだった。だったら、シグレ様はどうなのかしら? 一応、聞いてみることにする。
「いや、私も何も聞かされてはいない。無暗に聞くのも彼らに失礼だと思ったのでな」
「ああ、なるほど……」
「ふふ、知らない方が楽しめることもあるだろう?」
すごい……流石はシグレ・クエイルン第五王子殿下だ。肝の据わり方がその辺の貴族とは比べ物にならない。調べたところによると、このパーティー自体はデルトイ・ハンバーグ公爵が主催しているみたいだけど。デルトイ様は騎士団長を務めるお方でドレーク兄さまとは旧知の仲だ。
もしかして副団長の権限と旧知の仲という関係性を使って、ドレーク兄さまはそのパーティーを私物化したのでは……そこに賢人と称えられているルック兄さまが加われば鬼に金棒かもしれない。これ以上、深く考えるのはやめておこう……どのみち、もうすぐ分かることなのだから。
敢えて、楽しみにしておくのも良いかもしれない。
「マグロ・フォルクス公爵とシエナ・ウィンドミル公爵令嬢が出席する予定か……また、随分と位の高い者達と関係を持ったのだなレミーラ嬢。少しだけ嫉妬してしまうよ」
「シグレ様からまさか、そのようなお言葉が出て来るとは思いませんでした……とても、光栄です」
「なに……君との関係も徐々に深くなっているのだ。嫉妬くらいするさ、マグロ殿からは大きな求愛を受けているとも聞いているしな」
「独りよがりな求愛だと思われますが……婚約解消をしたはずなのに、まだ婚約関係が続いていると勘違いしていると言えば良いのでしょうか」
「それは素晴らしい愛情だ、と言ってやりたいところではあるが……傍から見ると、見るに堪えないな……」
「はい、仰せの通りでござます……」
そう……マグロ様の態度は本当に見るに堪えなかった。今のシグレ様の態度とは大違いだ。彼は嫉妬に駆られているという様子も実に爽やかにやってのけたのだから。心の余裕が違うのかもしれない。
「さて、レミーラ嬢。パーティーへ向かうとしようか?」
「はい、シグレ様。何が起きるか分かりませんが……シグレ様に付いて行きます」
「ああ、頼ってくれて構わないぞ」
私は彼の右腕に自らの手を回して、パーティー会場へと入って行った。騎士団で言えばまさに「出陣」と言える光景なのかもしれない。果たして私達には何が待ち受けているのだろうか?
「おはようございます、シグレ様」
「おはよう、レミーラ嬢。おやおや、しっかりと眠れているようで何よりだ。緊張が解れているように感じられるぞ?」
「いえ、本当はとても緊張してしまい眠れなかったのですが……気付いたら朝になっていたのです。不思議な体験を致しました」
「それはただ、眠っていただけだと思うのだが……眠っている自分が記憶にあったら幽体離脱をしているぞ?」
「た、確かにそうですね……申し訳ありませんでした」
「いやいや、そんなことは気にしなくていいさ」
私としてもギャグみたいなことを真剣に言ってしまっていた。どうやら緊張しているのは事実なようだ。
「しかし、とうとうパーティー当日になってしまったな……果たしてどんなイベントが待ち構えているのか」
「シグレ様は何も知らないのですか……?」
ルック兄さまもドレーク兄さまも、この3日間、パーティーについては口を閉ざしたままだった。だったら、シグレ様はどうなのかしら? 一応、聞いてみることにする。
「いや、私も何も聞かされてはいない。無暗に聞くのも彼らに失礼だと思ったのでな」
「ああ、なるほど……」
「ふふ、知らない方が楽しめることもあるだろう?」
すごい……流石はシグレ・クエイルン第五王子殿下だ。肝の据わり方がその辺の貴族とは比べ物にならない。調べたところによると、このパーティー自体はデルトイ・ハンバーグ公爵が主催しているみたいだけど。デルトイ様は騎士団長を務めるお方でドレーク兄さまとは旧知の仲だ。
もしかして副団長の権限と旧知の仲という関係性を使って、ドレーク兄さまはそのパーティーを私物化したのでは……そこに賢人と称えられているルック兄さまが加われば鬼に金棒かもしれない。これ以上、深く考えるのはやめておこう……どのみち、もうすぐ分かることなのだから。
敢えて、楽しみにしておくのも良いかもしれない。
「マグロ・フォルクス公爵とシエナ・ウィンドミル公爵令嬢が出席する予定か……また、随分と位の高い者達と関係を持ったのだなレミーラ嬢。少しだけ嫉妬してしまうよ」
「シグレ様からまさか、そのようなお言葉が出て来るとは思いませんでした……とても、光栄です」
「なに……君との関係も徐々に深くなっているのだ。嫉妬くらいするさ、マグロ殿からは大きな求愛を受けているとも聞いているしな」
「独りよがりな求愛だと思われますが……婚約解消をしたはずなのに、まだ婚約関係が続いていると勘違いしていると言えば良いのでしょうか」
「それは素晴らしい愛情だ、と言ってやりたいところではあるが……傍から見ると、見るに堪えないな……」
「はい、仰せの通りでござます……」
そう……マグロ様の態度は本当に見るに堪えなかった。今のシグレ様の態度とは大違いだ。彼は嫉妬に駆られているという様子も実に爽やかにやってのけたのだから。心の余裕が違うのかもしれない。
「さて、レミーラ嬢。パーティーへ向かうとしようか?」
「はい、シグレ様。何が起きるか分かりませんが……シグレ様に付いて行きます」
「ああ、頼ってくれて構わないぞ」
私は彼の右腕に自らの手を回して、パーティー会場へと入って行った。騎士団で言えばまさに「出陣」と言える光景なのかもしれない。果たして私達には何が待ち受けているのだろうか?
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