病的なまでに爬虫類に好かれている俺が異世界に行って竜の王になった

江ノ崎 那智

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第一章

少しの優しさ

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 部屋の前に来て、やっと今日がここに来て二日目だと思い出した。


 昨日今日と俺にはまだこの世界に存在している、という実感はわいてこないため日数の感覚が変になっていた。


 二日しか経っていないのに、もう一週間をここで過ごしたかのような気になっていた。


 まるで夢を見ているような心地だ。


 夢の中のように、何が起こってもおかしくないと思っている。


「明日に他国の王たちがやってくる。


 何かへまして、グラヴィス様に恥かかせるようなことにならないようにしろよ。


 そのためだったら、オレも…多少のことは手伝ってやる」


 最後の方は声が小さくなっており、その上オレから顔を背けて言っていた。


 これまで、つっけんどんな対応ばかりされていたせいか、ダリウス君が少しの優しさを示しただけで、嬉しい気持ちがあふれてくる。


 厳しい警察官と優しい警察官の尋問を交互にされて手懐けられた容疑者の気分だ。


「竜王様、ダリウス、丁度いい所に会いましたね。


 先ほど、服が完成したので、オエンダに服を届けろと言われて運んでいるところだったんです」


 イルーナちゃんは腕で抱えるようにして服を持っていた。


 積み重なった服によって上半身は隠れていて、下半身が人で上半身が衣服の化け物が話しかけてきたように見える。


 服で手が塞がれているので、ドアを開けることは出来ないと思い、代わりに開けた。


 俺に礼を言ったイルーナちゃんは、部屋のクローゼットに服を整理して入れていた。


 イルーナちゃんは服を入れて終わると、ダリウス君に近づいた。


 「ダリウス、私が運ばないといけない服はまだまだあるから、手伝ってもらえません?


 一人だと後何回か往復しなければならないので」


 俺の部屋と仕立て部屋の距離はそう近くない。


 その距離を何十着もの衣類を持ち、往復するとなるとかなり疲れることだろう。


「えー。 そんな面倒なことしたくない。


 グラヴィス様の命令でもないのに」


「面倒なことでもしなければならないのが仕事なんですから、割り切ってください」


 手伝う気が欠片もなさそうなダリウス君を説得するのはグラヴィスさんでもない限り不可能に近いことだろう。


 人に何でもかんでもしてもらうことに居心地の悪さを感じていたので、一つの案が不意に思い浮かんだ。


「俺が手伝おうか?


 自分が着る服だから、人に全部用意してもらうのはなんだか違和感があるんだ」


 俺が言うと、二人は鳩が豆鉄砲を食らったかのような顔をして見た。


 そこまで驚くことを言ったつもりはなく、こちらが逆に驚いてしまった。


 目を見開き、口を大きく開いたままの表情をいち早く直したイルーナちゃんはダリウス君の腕を引っ張り部屋の隅に移動し、内緒話を始めた。


 たまにこちらを気にしながら、途切れることなく会話をしていた。


 数分経ち、意見がまとまったのか二人が俺の元にやって来た。


「竜王様から手伝うと言われて、驚きと共に嬉しくもあったんですが、申し訳のなさが勝ちました。


 貴方様は明日に会議がありますし、どうぞ部屋でゆっくりなさってください。


 服の運搬はダリウスが手伝うと言ってくれましたから、心配してくださらなくとも大丈夫です」


「まあ、これも仕事だからな」


 面倒くさそうではあるが、割り切っている様子だった。


 二人は部屋を出て、仕立て部屋へと服を取りに行った。






 明日は会議がある。


 どのような性格で、気が合うかも分からない他国の王と合うことを考えると少し気が重くなってきた。
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