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百鬼夜荘の住人達
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(2次元キャラを3次元に呼び出した?馬鹿な!そんな事実現できる筈が……)
呆然としながらただ見つめているしかない。すると、そのキャラ達がどんどん膨張拡大していく。
「な、なんだこりゃ。うわっ」
それは見る見る内に丸いドットの大軍となり押し寄せる。そして彼を取り囲んで押しつぶそうとして迫ってきた。
「ギャー。やめろ、やめてくれ!」
たまらず悲鳴を上げうずくまり数秒。
恐る恐る顔を上げて見回した。すると、何事もなかったかのように戻っていた。
「ほっ。収まったか」
胸をなでおろしながら想う、
(しかしこのボクが簡単に嵌るなんて、信じられない)
「な、なんだよ。今の術」
先ほど彼女に施したあの術は今日初めて使ったものだ。
にも関わらず、このたぬき娘はボクの術を応用して更に上行く仕掛けを返してきたことになる。
そんな事ありえるか?腐っても元稲荷大明神の神使、序列第一だったこともあるのに。
「きつねさん~。楽しんでいただけましたかぁ~。お父様からはまだまだ未熟ものって言われてるんでぇ~。恥ずかしいんですけどぉ~」
あ、あれでまだ完成されてないというのか。本当ならとんでもない妖力だぞ。慄然としながらもどうにか虚勢をはって答える。
「ふ、ふん。げ、幻術か、中々よくできてたじゃないか。認めてやるよ」
「幻術~?幻術とはちょっと違うんですよねぇ~」
「げ、幻術じゃない?そんな馬鹿な。じゃあ、あれはなんだったってんだ」
虚勢をはるのも忘れて半ば取り乱しながらふと彼はこの騒動の元となったスマホ画面に目をやる。すると、そこには何もなかった。
「あ、あああああああああ、な、えっはあ?」
画面そのものが空洞のように消えてしまっている。
(ど、どういうことだ?げ、幻術じゃない?スマホに表示された中身をそのまま実体化させた?)
彼は余りのことに最大限の混乱を表に出した挙句、最後には思考することも忘れフリーズしてしまう。
そこへ真奈美が声をかける、
「きつねさん~。ご飯食べに行かないんですか~?」
「…………。行くよ」
なんとか我に返り残る気力を振り絞って彼は答える。
「じゃあ、一緒にいきましょうぅ~」
「そ、その前に。お願い」
「なんでしょうかぁ~?」
「スマホ、元に戻してくんない?」
ここで第一回百鬼夜荘。狐と狸の化け合戦における勝者は完全に確定したといえよう。
「はえ~? きつねさんは元に戻せないんですか?」
「う……ああ。今すぐには無理そうだ。頼む、元に戻してほしい」
「はい、わかりましたぁ~。その変わり~、私のお願いも聞いてもらえますか」
「いいよ。何でも聞く。謝れっていうなら謝るし」
そもそも気遣いで自分を呼びに来れた彼女にいたずらを仕掛けた自分が悪いのだ。
完全なる自業自得。そう言われても仕方がない。
「謝ってもらうようなことありましたっけ?」
しかし、真奈美は思い当たることがないとでいうように不思議そうな顔をみせる。
「違うのか、じゃあ一体?」
不思議そうに尋ねる守に真奈美は笑顔でいった。
「あの~、私ぃ~盛狸山真奈美っていいますぅ~。真奈美って呼んでください~」
そうだ、数日前。彼女が入居の挨拶に来て以来、彼女の事をたぬき娘としか呼んでいなかった。
なんだか急に罪悪感がもたげてくる。
「ああ、そっか。わかった。お隣の部屋同士だもんな。真奈美ちゃんだったね、お互い仲良くやろう。改めてよろしく」そこでいったん区切った後彼女に向って右手をさしだして言った「狐宮守だ」
「はい~、ありがとうございます。守さん~よろしくお願いしますね」
真奈美は愛嬌のあるその顔に満面の笑みを浮かべたまま、守の手を握る。
手のぬくもりが伝わるのを感じた途端、彼は不覚にも胸の高まりを感じてしまった。そして自分のそんな様子を戸惑いながらも自覚し自然に顔が赤らむのを感じる。
(おいおい、相手は狸だぞ。なのに、なんでこんなに胸の鼓動が早くなるんだよ)
守は食卓に向かう真奈美の後に付き従いながら、自分の気持ちの変化に戸惑いを隠せなかった。
呆然としながらただ見つめているしかない。すると、そのキャラ達がどんどん膨張拡大していく。
「な、なんだこりゃ。うわっ」
それは見る見る内に丸いドットの大軍となり押し寄せる。そして彼を取り囲んで押しつぶそうとして迫ってきた。
「ギャー。やめろ、やめてくれ!」
たまらず悲鳴を上げうずくまり数秒。
恐る恐る顔を上げて見回した。すると、何事もなかったかのように戻っていた。
「ほっ。収まったか」
胸をなでおろしながら想う、
(しかしこのボクが簡単に嵌るなんて、信じられない)
「な、なんだよ。今の術」
先ほど彼女に施したあの術は今日初めて使ったものだ。
にも関わらず、このたぬき娘はボクの術を応用して更に上行く仕掛けを返してきたことになる。
そんな事ありえるか?腐っても元稲荷大明神の神使、序列第一だったこともあるのに。
「きつねさん~。楽しんでいただけましたかぁ~。お父様からはまだまだ未熟ものって言われてるんでぇ~。恥ずかしいんですけどぉ~」
あ、あれでまだ完成されてないというのか。本当ならとんでもない妖力だぞ。慄然としながらもどうにか虚勢をはって答える。
「ふ、ふん。げ、幻術か、中々よくできてたじゃないか。認めてやるよ」
「幻術~?幻術とはちょっと違うんですよねぇ~」
「げ、幻術じゃない?そんな馬鹿な。じゃあ、あれはなんだったってんだ」
虚勢をはるのも忘れて半ば取り乱しながらふと彼はこの騒動の元となったスマホ画面に目をやる。すると、そこには何もなかった。
「あ、あああああああああ、な、えっはあ?」
画面そのものが空洞のように消えてしまっている。
(ど、どういうことだ?げ、幻術じゃない?スマホに表示された中身をそのまま実体化させた?)
彼は余りのことに最大限の混乱を表に出した挙句、最後には思考することも忘れフリーズしてしまう。
そこへ真奈美が声をかける、
「きつねさん~。ご飯食べに行かないんですか~?」
「…………。行くよ」
なんとか我に返り残る気力を振り絞って彼は答える。
「じゃあ、一緒にいきましょうぅ~」
「そ、その前に。お願い」
「なんでしょうかぁ~?」
「スマホ、元に戻してくんない?」
ここで第一回百鬼夜荘。狐と狸の化け合戦における勝者は完全に確定したといえよう。
「はえ~? きつねさんは元に戻せないんですか?」
「う……ああ。今すぐには無理そうだ。頼む、元に戻してほしい」
「はい、わかりましたぁ~。その変わり~、私のお願いも聞いてもらえますか」
「いいよ。何でも聞く。謝れっていうなら謝るし」
そもそも気遣いで自分を呼びに来れた彼女にいたずらを仕掛けた自分が悪いのだ。
完全なる自業自得。そう言われても仕方がない。
「謝ってもらうようなことありましたっけ?」
しかし、真奈美は思い当たることがないとでいうように不思議そうな顔をみせる。
「違うのか、じゃあ一体?」
不思議そうに尋ねる守に真奈美は笑顔でいった。
「あの~、私ぃ~盛狸山真奈美っていいますぅ~。真奈美って呼んでください~」
そうだ、数日前。彼女が入居の挨拶に来て以来、彼女の事をたぬき娘としか呼んでいなかった。
なんだか急に罪悪感がもたげてくる。
「ああ、そっか。わかった。お隣の部屋同士だもんな。真奈美ちゃんだったね、お互い仲良くやろう。改めてよろしく」そこでいったん区切った後彼女に向って右手をさしだして言った「狐宮守だ」
「はい~、ありがとうございます。守さん~よろしくお願いしますね」
真奈美は愛嬌のあるその顔に満面の笑みを浮かべたまま、守の手を握る。
手のぬくもりが伝わるのを感じた途端、彼は不覚にも胸の高まりを感じてしまった。そして自分のそんな様子を戸惑いながらも自覚し自然に顔が赤らむのを感じる。
(おいおい、相手は狸だぞ。なのに、なんでこんなに胸の鼓動が早くなるんだよ)
守は食卓に向かう真奈美の後に付き従いながら、自分の気持ちの変化に戸惑いを隠せなかった。
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