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大蛇の石を追え
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あくる日、あゆみとひみかは沼のほとりへやってきていた。
時刻は午前9:00過ぎ頃。
天気はいわゆる花曇りだ。
一日雨の予想はなく、湿度も低い。
外を動くには都合が良い気候と言えるだろう。
既に現地には約束していたイノリに加え、
「やっほ~。あゆみちゃ~ん。ひみかさ~ん」
隣にはにっこにこ笑顔であさかが待っていた。
「やあ、あさかちゃん。待ったかな? ごめんね」
笑顔近づく彼女にあさかも身を使づけていく。
「いえいえ、私こそなんだか勝手について来ちゃってごめんなさい」
「まあ構わないよ。当事者と言えば当事者だしね」
あゆみは二人の様をみて微妙な顔をしそうになるのを堪えながら笑顔を作った。
「でも、昨日は随分危ない目にあってるんだ。十分気を付けて欲しいな、心配だよ」
言ってひみかは近くに迫ったあさかを見つめる。
「きゃー、心配してくれるんですか? ありがとうございます。私も心配になってきちゃいました。だからー、今日は傍にいてもいいですか?」
「う、うん。いいよ、さあ、おいで」
言って、ひみかは手を伸ばす。後ろには満開の桜が咲いていた。思わず見惚れてしまいそうになる光景だった。
「は、はあい」
あさかも遠慮会釈なく伸ばした腕を絡み取った。
「そういえば、昨日と髪型変えたんだね。とても似合ってるよ」
昨日は前髪ぱっつんの姫カットだったが、髪をあげてサイドに編み込んでいた。
「あ、気づいてくれたんですか。何だか早く起きちゃったので、ちょっといじってみたんんです。普段あまりやってないんで、ちゃんとできてるか心配なんですけど」
「大丈夫大丈夫、うん。とっても上手に出来てると思うな。今日の服装にも良く似合ってて可愛いよ」
彼女の今日の服装は真ん中にフレアボウタイ付きのブラウスに黒のショートパンツといういで立ちだった。
「ええっ。そ、それって。ど、どっちの意味だろ。ファ、ファッション。髪型。それとっも……」
「勿論全部さ。今日のあさかちゃんはパーフェクトに可愛いよ」
「きゃー、きゃー。嬉しい~」
他の男が言ったら空々しいお世辞にしか聞こえないかもしれない。同性同士、ひみかだからこそ通じるのかもしれない。
そんな盛り上がる女子二人を遠目から見ながら、男子二人の間には微妙な空気が流れていた。
あゆみは相変わらずの女装姿だ。が、あちこちで歩く可能性のあるので巫女装束目立ち過ぎるので控えた。今日は白のブラウスとダブルボタンのジャンパースカートという出で立ち。
「あ、あゆみ兄ちゃんも、似合ってるっすよ」
「あ、ははははは。そ、そう? 変じゃないかな? 」
あゆみはスカートのすそを翻して回って見せる。
「全然大丈夫っす。か、可愛いっす」
「ほ、本当? イッくんに言われるのならお世辞でも嬉しいかも」
女子二人のきらびやかなやり取りとは別に男子二人のやり取りは慎ましやかで微笑ましい。
「と、兎に角。始めよっか。ちょっと待っててくれる? 」
「はいっす」
尚もいちゃつく女子二人はとりあえず放っておき、祠の扉を開けるとあゆみは中に剛霊杖を横に置く。
「剛霊杖。大蛇の石の所在を教え給え」
力を込めるとピカッと光を放ちそれが沼へと届いて反射した。
「あ、なにあれ? 」
あさかが驚きの声を上げるのでそちらに目をやると沼に何かの映像が浮かび上がったのが見える。
「あれは、海だな」
それはどこかの海岸沿い。よくよく見ると大きな建物が一緒にうつっておりその横腹にイルカの絵が描かれているのが分かる。
「水族館が見えるってことは」
「海浜公園のようっすね」
それはここから歩いて15分くらいのところにある市の海浜公園だった。
時刻は午前9:00過ぎ頃。
天気はいわゆる花曇りだ。
一日雨の予想はなく、湿度も低い。
外を動くには都合が良い気候と言えるだろう。
既に現地には約束していたイノリに加え、
「やっほ~。あゆみちゃ~ん。ひみかさ~ん」
隣にはにっこにこ笑顔であさかが待っていた。
「やあ、あさかちゃん。待ったかな? ごめんね」
笑顔近づく彼女にあさかも身を使づけていく。
「いえいえ、私こそなんだか勝手について来ちゃってごめんなさい」
「まあ構わないよ。当事者と言えば当事者だしね」
あゆみは二人の様をみて微妙な顔をしそうになるのを堪えながら笑顔を作った。
「でも、昨日は随分危ない目にあってるんだ。十分気を付けて欲しいな、心配だよ」
言ってひみかは近くに迫ったあさかを見つめる。
「きゃー、心配してくれるんですか? ありがとうございます。私も心配になってきちゃいました。だからー、今日は傍にいてもいいですか?」
「う、うん。いいよ、さあ、おいで」
言って、ひみかは手を伸ばす。後ろには満開の桜が咲いていた。思わず見惚れてしまいそうになる光景だった。
「は、はあい」
あさかも遠慮会釈なく伸ばした腕を絡み取った。
「そういえば、昨日と髪型変えたんだね。とても似合ってるよ」
昨日は前髪ぱっつんの姫カットだったが、髪をあげてサイドに編み込んでいた。
「あ、気づいてくれたんですか。何だか早く起きちゃったので、ちょっといじってみたんんです。普段あまりやってないんで、ちゃんとできてるか心配なんですけど」
「大丈夫大丈夫、うん。とっても上手に出来てると思うな。今日の服装にも良く似合ってて可愛いよ」
彼女の今日の服装は真ん中にフレアボウタイ付きのブラウスに黒のショートパンツといういで立ちだった。
「ええっ。そ、それって。ど、どっちの意味だろ。ファ、ファッション。髪型。それとっも……」
「勿論全部さ。今日のあさかちゃんはパーフェクトに可愛いよ」
「きゃー、きゃー。嬉しい~」
他の男が言ったら空々しいお世辞にしか聞こえないかもしれない。同性同士、ひみかだからこそ通じるのかもしれない。
そんな盛り上がる女子二人を遠目から見ながら、男子二人の間には微妙な空気が流れていた。
あゆみは相変わらずの女装姿だ。が、あちこちで歩く可能性のあるので巫女装束目立ち過ぎるので控えた。今日は白のブラウスとダブルボタンのジャンパースカートという出で立ち。
「あ、あゆみ兄ちゃんも、似合ってるっすよ」
「あ、ははははは。そ、そう? 変じゃないかな? 」
あゆみはスカートのすそを翻して回って見せる。
「全然大丈夫っす。か、可愛いっす」
「ほ、本当? イッくんに言われるのならお世辞でも嬉しいかも」
女子二人のきらびやかなやり取りとは別に男子二人のやり取りは慎ましやかで微笑ましい。
「と、兎に角。始めよっか。ちょっと待っててくれる? 」
「はいっす」
尚もいちゃつく女子二人はとりあえず放っておき、祠の扉を開けるとあゆみは中に剛霊杖を横に置く。
「剛霊杖。大蛇の石の所在を教え給え」
力を込めるとピカッと光を放ちそれが沼へと届いて反射した。
「あ、なにあれ? 」
あさかが驚きの声を上げるのでそちらに目をやると沼に何かの映像が浮かび上がったのが見える。
「あれは、海だな」
それはどこかの海岸沿い。よくよく見ると大きな建物が一緒にうつっておりその横腹にイルカの絵が描かれているのが分かる。
「水族館が見えるってことは」
「海浜公園のようっすね」
それはここから歩いて15分くらいのところにある市の海浜公園だった。
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