僕、勇者サマの養い子になりました

髙城

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「これが秘薬ポーションで、こっちが万能の秘薬エリクサー、そしてこれが神々の秘薬ネクタル。あ、因みに秘薬ポーションには下級、中級、上級、最上級のランクがあって、この秘薬ポーションは最上級ランクのだからね」

神々の秘薬ネクタル……?
それってまさか、不老不死と神性を与えるっていうギリシャ神話の、神様の飲み物とかって呼ばれてる感じの奴じゃないですよね!?

アヤさんが無造作に三本をテーブルに並べ、指さして説明してくれるのを聞きながら、僕は鮮やかな青色、血のような赤色、そして艶やかな蜂蜜色の秘薬を呆けたように見詰めていた。

「あっ、あやとさま、おねがいですから、ソレをはやくしまってくださいぃ」

すると、ナージャさんが辿々たどたどしい口調で震えながら懇願し始めたのだった。

そうだよね。
ソレが僕の思ってる通りの秘薬なら、物騒過ぎて恐ろしいもんね。

人間を辞めちゃうような薬がポンと目の前に置いてあるなんて状況、有り得なさ過ぎてイヤだよね。

でも実際にこっちではどんな効果がある薬なんだろう?
ナージャさん涙目だから、何となく想像通りな気がしてならないんだけど。

アヤさんがようや無限収納アイテムボックスに薬瓶を仕舞うと、ナージャさんが脱力したように肩を落として溜め息を吐いた。

「すまないね。一応私達が店内に入った時に結界でこの店を閉じておいたから、防犯対策としては問題ない筈なんだけど、余り怖がらせても悪いから仕舞っておくよ」
「えッ!?」

アヤさんの言葉を聞いて、ナージャさんが驚きの声を上げた。

何?何?どうしたの??

僕とアヤさんが不思議そうに小首を傾げると、ナージャさんは慌てて口を開いた。

「今、この店って結界で閉じられてるんですか?」
「そうだよ」
「実は弟がお客様の忘れ物を届けに、外まで追い掛けて行ったまま戻って来てなくて、それって…」
「ッ!」
「日も沈んで弟が心配だから、店に入れてあげて欲しいんですけど、いいですか?」
「あぁ、すまなかった。すぐにやるよ」

次の瞬間、ドアのノブが回り、ナージャさんに良く似た面差しの少年が店内に飛び込んで来ると、入口近くの椅子にドカッと座り込んでテーブルに突っ伏した。

「ただいま~~。もう僕クタクタに疲れたよぉ」
「おかえりルーニン、ご苦労様」
「あれ?まだお客様が?って…アヤト様!?」

ルーニンと呼ばれた少年は驚いて顔を上げると、椅子から転げ落ちそうな勢いで立ち上がってお辞儀をした。

「いらっしゃいませ、アヤト様」
「さっきはすまなかったね」
「?」
「店に帰って来れなかったろう?」
「ああ!だからどれだけ歩いても目の前に見えてる店に辿り着けなかったのか!」
「君と入れ違いで店に入ったみたいでね、結界で閉じてしまっていたから慌てて解いた所なんだよ」
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