139 / 165
136.
しおりを挟む
気が付いた時には既に遅く、嬉しそうな顔をしたアヤさんを見た僕は何も言えなくなってしまったのだった。
ああ………
またやらかしてしまった。
諦めて手を繋いだまま、僕はアヤさんに連れられて部屋を出ると、1階のフロントでゼアラさんとレオニードさんと犬耳さんともう一人、レオニードさんと同じくらいのガタイで、歳はもっと上っぽい男の人が並んで僕達を出迎えてくれていた。
ゼアラさんが恭しく頭を下げると、三人も同じように頭を下げた。
「おはようございます。アヤト様、イツキ様」
代表してゼアラさんが口を開いた。
「ああ、おはよう。昨晩は急な事で迷惑を掛けたね、すまなかった。だが部屋も風呂も食事も、とても満足だったよ、ありがとう」
「過分なお言葉を頂きまして恐縮でございます。ご満足頂けたのでしたら何よりの喜びにございます」
「ルヴェリオ、また腕を上げたな。本当に美味しかった」
「勿体無いお言葉、ありがとうございやす。これからも精進致しますので楽しみにしていて下さいやし」
「ああ、期待している。ところでベルティーナ、昨日のトゥーヤ茶だが、在庫はどれくらいある?」
「2kg程でございます」
「そうか。ゼアラ、半分欲しいんだが大丈夫か?」
「はい。すぐにご用意致しますので少々お待ち下さいませ」
そう言うと、ゼアラさんとベルティーナさんが宿の奥へと消えて行った。
「ところでルヴェリオ、シンラの森でグリフィンを仕留めたんだが、解体を頼めるか?」
「はい、お任せを。前回頼まれた大海蛇は預かっておりました魔法鞄に解体して入れてありますが、どうしやすか?」
「コレと替えてくれ」
アヤさんが無限収納からA4ファイルが入りそうな茶色の鞄を取り出すと、ルヴェリオさんに手渡した。
「承知致しやした。暫しお待ちを」
答えて今度はルヴェリオさんが奥へと消えて行く。
……何だか目紛しいな。
って言うか、魔法鞄って!
グリフォンに大海蛇って!!
僕はアヤさんと手を繋いだまま、呆然と目の前の様子を眺めていると、レオニードさんとガッチリ目が合って固まってしまった。
「レオ、そう見詰めてやるな。イツキが怯える」
「もッ申し訳ありません。つい…」
アヤさんが僕の手を引き寄せて頭を撫でながら、威嚇するように低い声を出すと、レオニードさんは耳を伏せ尻尾を足の間に巻き込んだ。
よ、よっぽど怖かったのかな?
これは申し訳ない事をしてしまった……
僕は慌てて頭を下げると、レオニードさんも慌てて頭を下げた。
二人して頭を下げ合っていると、アヤさんが呆れたように嘆息して「いつまでやってる気なの?」って聞くから、そっと顔を上げてみたら、同じタイミングでレオニードさんもそっと顔を上げていて、僕達は顔を見合わせて思わず笑ってしまった。
ああ………
またやらかしてしまった。
諦めて手を繋いだまま、僕はアヤさんに連れられて部屋を出ると、1階のフロントでゼアラさんとレオニードさんと犬耳さんともう一人、レオニードさんと同じくらいのガタイで、歳はもっと上っぽい男の人が並んで僕達を出迎えてくれていた。
ゼアラさんが恭しく頭を下げると、三人も同じように頭を下げた。
「おはようございます。アヤト様、イツキ様」
代表してゼアラさんが口を開いた。
「ああ、おはよう。昨晩は急な事で迷惑を掛けたね、すまなかった。だが部屋も風呂も食事も、とても満足だったよ、ありがとう」
「過分なお言葉を頂きまして恐縮でございます。ご満足頂けたのでしたら何よりの喜びにございます」
「ルヴェリオ、また腕を上げたな。本当に美味しかった」
「勿体無いお言葉、ありがとうございやす。これからも精進致しますので楽しみにしていて下さいやし」
「ああ、期待している。ところでベルティーナ、昨日のトゥーヤ茶だが、在庫はどれくらいある?」
「2kg程でございます」
「そうか。ゼアラ、半分欲しいんだが大丈夫か?」
「はい。すぐにご用意致しますので少々お待ち下さいませ」
そう言うと、ゼアラさんとベルティーナさんが宿の奥へと消えて行った。
「ところでルヴェリオ、シンラの森でグリフィンを仕留めたんだが、解体を頼めるか?」
「はい、お任せを。前回頼まれた大海蛇は預かっておりました魔法鞄に解体して入れてありますが、どうしやすか?」
「コレと替えてくれ」
アヤさんが無限収納からA4ファイルが入りそうな茶色の鞄を取り出すと、ルヴェリオさんに手渡した。
「承知致しやした。暫しお待ちを」
答えて今度はルヴェリオさんが奥へと消えて行く。
……何だか目紛しいな。
って言うか、魔法鞄って!
グリフォンに大海蛇って!!
僕はアヤさんと手を繋いだまま、呆然と目の前の様子を眺めていると、レオニードさんとガッチリ目が合って固まってしまった。
「レオ、そう見詰めてやるな。イツキが怯える」
「もッ申し訳ありません。つい…」
アヤさんが僕の手を引き寄せて頭を撫でながら、威嚇するように低い声を出すと、レオニードさんは耳を伏せ尻尾を足の間に巻き込んだ。
よ、よっぽど怖かったのかな?
これは申し訳ない事をしてしまった……
僕は慌てて頭を下げると、レオニードさんも慌てて頭を下げた。
二人して頭を下げ合っていると、アヤさんが呆れたように嘆息して「いつまでやってる気なの?」って聞くから、そっと顔を上げてみたら、同じタイミングでレオニードさんもそっと顔を上げていて、僕達は顔を見合わせて思わず笑ってしまった。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
事務仕事しかできない無能?いいえ、空間支配スキルです。~勇者パーティの事務員として整理整頓していたら、いつの間にか銅像が立っていました~
水月
恋愛
「在庫整理しかできない無能は不要だ」
第一王子から、晩餐会の場で婚約破棄と国外追放を告げられた公爵令嬢ユズハ。
彼女のギフト【在庫整理】は、荷物の整理しかできないハズレスキルだと蔑まれていた。
だが、彼女は知っていた。
その真価は、指定空間内のあらゆる物質の最適化であることを。
追放先で出会った要領の悪い勇者パーティに対し、ユズハは事務的に、かつ冷徹に最適化を開始する。
「勇者様、右腕の筋肉配置を効率化しました」
「魔王の心臓、少し左にずらしておきましたね」
戦場を、兵站を、さらには魔王の命までをも在庫として処理し続けた結果、彼女はいつしか魔王討伐勇者パーティの一人として、威圧感溢れる銅像にまでなってしまう。
効率を愛する事務屋令嬢は、自分を捨てた国を不良債権として切り捨て、再出発する。
【 完 結 】スキル無しで婚約破棄されたけれど、実は特殊スキル持ちですから!
しずもり
ファンタジー
この国オーガスタの国民は6歳になると女神様からスキルを授かる。
けれど、第一王子レオンハルト殿下の婚約者であるマリエッタ・ルーデンブルグ公爵令嬢は『スキル無し』判定を受けたと言われ、第一王子の婚約者という妬みや僻みもあり嘲笑されている。
そしてある理由で第一王子から蔑ろにされている事も令嬢たちから見下される原因にもなっていた。
そして王家主催の夜会で事は起こった。
第一王子が『スキル無し』を理由に婚約破棄を婚約者に言い渡したのだ。
そして彼は8歳の頃に出会い、学園で再会したという初恋の人ルナティアと婚約するのだと宣言した。
しかし『スキル無し』の筈のマリエッタは本当はスキル持ちであり、実は彼女のスキルは、、、、。
全12話
ご都合主義のゆるゆる設定です。
言葉遣いや言葉は現代風の部分もあります。
登場人物へのざまぁはほぼ無いです。
魔法、スキルの内容については独自設定になっています。
誤字脱字、言葉間違いなどあると思います。見つかり次第、修正していますがご容赦下さいませ。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる