僕、勇者サマの養い子になりました

髙城

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気が付いた時には既に遅く、嬉しそうな顔をしたアヤさんを見た僕は何も言えなくなってしまったのだった。

ああ………
またやらかしてしまった。

諦めて手を繋いだまま、僕はアヤさんに連れられて部屋を出ると、1階のフロントでゼアラさんとレオニードさんと犬耳さんともう一人、レオニードさんと同じくらいのガタイで、歳はもっと上っぽい男の人が並んで僕達を出迎えてくれていた。

ゼアラさんが恭しく頭を下げると、三人も同じように頭を下げた。

「おはようございます。アヤト様、イツキ様」

代表してゼアラさんが口を開いた。

「ああ、おはよう。昨晩は急な事で迷惑を掛けたね、すまなかった。だが部屋も風呂も食事も、とても満足だったよ、ありがとう」
「過分なお言葉を頂きまして恐縮でございます。ご満足頂けたのでしたら何よりの喜びにございます」
「ルヴェリオ、また腕を上げたな。本当に美味しかった」
「勿体無いお言葉、ありがとうございやす。これからも精進致しますので楽しみにしていて下さいやし」
「ああ、期待している。ところでベルティーナ、昨日のトゥーヤ茶だが、在庫はどれくらいある?」
「2kg程でございます」
「そうか。ゼアラ、半分欲しいんだが大丈夫か?」
「はい。すぐにご用意致しますので少々お待ち下さいませ」

そう言うと、ゼアラさんとベルティーナさんが宿の奥へと消えて行った。

「ところでルヴェリオ、シンラの森でグリフィンを仕留めたんだが、解体を頼めるか?」
「はい、お任せを。前回頼まれた大海蛇シーサーペントは預かっておりました魔法鞄マジックバッグに解体して入れてありますが、どうしやすか?」
「コレと替えてくれ」

アヤさんが無限収納アイテムボックスからA4ファイルが入りそうな茶色の鞄を取り出すと、ルヴェリオさんに手渡した。

「承知致しやした。暫しお待ちを」

答えて今度はルヴェリオさんが奥へと消えて行く。

……何だか目紛めまぐるしいな。
って言うか、魔法鞄マジックバッグって!
グリフォンに大海蛇シーサーペントって!!

僕はアヤさんと手を繋いだまま、呆然と目の前の様子を眺めていると、レオニードさんとガッチリ目が合って固まってしまった。

「レオ、そう見詰めてやるな。イツキが怯える」
「もッ申し訳ありません。つい…」

アヤさんが僕の手を引き寄せて頭を撫でながら、威嚇するように低い声を出すと、レオニードさんは耳を伏せ尻尾を足の間に巻き込んだ。

よ、よっぽど怖かったのかな?
これは申し訳ない事をしてしまった……

僕は慌てて頭を下げると、レオニードさんも慌てて頭を下げた。
二人して頭を下げ合っていると、アヤさんが呆れたように嘆息して「いつまでやってる気なの?」って聞くから、そっと顔を上げてみたら、同じタイミングでレオニードさんもそっと顔を上げていて、僕達は顔を見合わせて思わず笑ってしまった。
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