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壱ノ章:最強の守護霊

第四話 『夏休みの心霊スポット①』

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そんなある日の夏の事。

俺達の高校は、明日から夏休みが始まろうとしていた。
1年間の中で一番長い休みである夏休みは、高校生になってもワクワクするし、始まる前から楽しみで仕方がない。
クラス中が、夏休みの予定の話をしたり、どこに出かけるかなどの話で盛り上がる中、俺も親友の慎吾とクラスで良くつるんで仲の良い瀬崎 昌せざき あきら真壁 裕貴まかべ ゆうきの4人で夏休みの予定について話をしていた。


「なぁなぁ!裕也!慎吾!夏休みに4人で心霊スポットに行こうぜ!」

「霊感がある慎吾が一緒に行けば、絶対楽しいって!もしかしたら実際に幽霊見られるかも!」

心霊スポット雑誌を見ながらはしゃぐ昌と裕貴に、慎吾が分かりやすく眉を顰めた。

「悪いが、俺はそう言う場所には行きたくないからパス」

…まぁそりゃそうだろうな。慎吾には普通に視えるんだから。

「どうしても行きたいのなら、行きたいって言っているお前らだけで行って来ればいいだろう」

「え~~~!!なんでだよぉ!せっかくの心霊スポットじゃん!俺と昌だけで行ってもつまんねーしぃ!」

「そうだよ!夏と言ったらやっぱり肝試しだろ!?皆で行った方が絶対楽しいって!」

慎吾に詰め寄りながら説得を試みる2人だが、どうやら慎吾の気持ちは揺るがないらしい。
興味がなさそうに自分の席に戻って帰り支度を始めてしまった。

「なぁ慎吾!頼む!高校生活の楽しい思い出作りとしてさ!みんなで行こうぜ?なっ!?」

「嫌だ」

「慎吾ぉ~!頼むよぉ~!絶対皆で行けば楽しいからさ!!お願い!」

慎吾の席に群がって必死に懇願する2人に、どんだけ行きたいんだよ…と内心ツッコんでしまった。

2人がどうしてそこまで心霊スポットに行きたがっているかは分からないが、霊感があって普通に暮らしていても霊の存在を見る事が出来る慎吾が、わざわざそんな所に行かない事くらい俺にでも分かる。


「しつこい。いくらお願いされても、俺は絶対に行かない。…お前らも興味本位でそう言う所に行くのは止めろ。どんな霊がそこにいるのか分からないんだ。下手したら取り憑かれたり、連れて帰って来る事だってあるかもしれないんだぞ?場所によっては妖魔がいる所だってあると聞く。…仮に危ない目に遭ったら、裕貴も昌もどうするつもりなんだ?」

「う…。し、心配しなくても、そんなの出やしないし、危ない目にも遭わないって!」

「そうそう!大丈夫だって!」

「何がいるか分からないのに、大丈夫だと言う保証はあるのか?俺は仮に、危ない目に遭ったらどうするつもりなんだと聞いているんだ」

「いや、それは………考えてません…」


言葉を詰まらせた昌と裕貴に、慎吾がため息をつく。

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