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壱ノ章:最強の守護霊
第六話 『廃ホテルで起きた事件』
しおりを挟む夏休みに入って翌日の夜、俺は昌と裕貴で心霊スポットへと向かっていた。
今回行く予定の心霊スポットは、“行くと必ず連れて帰る”と言われている、地元では有名な廃ホテルらしい。
電車とタクシーを乗り継ぎ、人里離れた山奥へたどり着くと、ライトを照らしながら獣道となってしまった山の中を歩いていく。
「ここか…」
数十分ほど進むと、目の前に大きな建物が見えて来た。
恐らくだがここが噂の心霊スポットに違いない。
俺達は初めての心霊スポットに緊張しながら廃ホテルを見上げる。
いかにもという感じの古びた外観と薄気味悪さの廃ホテルからは異様な雰囲気が漂っていた。
ひんやりとしているのに冷や汗が止まらない。ここだけ空気が違う感じがしたのだ。
「おお~!結構雰囲気あるな~!」
「昌!裕也!早く中入ろうぜ!」
「おうよ!」
意気揚々と歩き始める2人を一瞥して、俺は再び廃ホテルを見上げた。
「…」
なんかいやな予感がする…。
「ん?おーい、裕也!何ぼーっとしてんだよ~!行くぞー!」
俺が付いてきていない事に気付いた昌が遠くで俺を呼ぶ。
「あ、あぁ!今行く!」
昌から聞いた話によると、この廃ホテルは何人もの女の人が男達に乱暴をされ風呂場で殺害されたという悲惨な事件が立て続けに起こった場所だと言う。
そんな事件が起こればもちろん連日ニュースで取り上げられ、瞬く間に世間に広まってしまう。
営業中はホテルから見る景色も良く、内装も豪華で利用しているカップルは多かったそうだが、殺人事件が起きてしまってからは次第に客足が減ってしまったらしい。
それでも泊りに来る人はいたようだが、幽霊を目撃したり体調不良を起こす人が増え、やむを得ず営業停止にしたという曰く付きの場所だそうだ。
その後、取り壊しをしようとしたようだが工事関係者が事故にあったり、不可解な死を遂げる人も出てきてしまい、何も出来ないまま残っているという。
そして話はこれだけじゃなかった。
この場所で亡くなってしまった女の人達の怨念なのか、ここの廃ホテルに訪れた…特に男は必ず霊に取り憑かれ、連れて帰ってきてしまうと言われていた。
男が狙われる可能性が高いのは、恐らくここで亡くなった女の人達を辱め、殺した犯人が男だからという噂が一番可能性としてはあるのだろう。
外観を見た時から感じていたただならぬ異様な雰囲気は、廃ホテルの中へ入っても尚続いていた。
いや、むしろ外にいた時よりも、中に入ってからの方が強くなっている気がする。
空気は全然違うし、真夏で気温もそれなりに高いはずなのに、肌に伝わる空気感が違った。
ひんやりとして、常に鳥肌が止まらないし、冷や汗も止まらない。
まるで別次元に来たような感覚だ。
なんか胸騒ぎがする…なんだ、この感覚…
俺たち以外には誰もいないはずなのに、誰かが常に近くにいる感覚がしていた。
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