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壱ノ章:最強の守護霊
第十一話 『ナニかいる』
しおりを挟む「なぁ裕貴。浴室ってどこら辺にあるんだ?」
「た、多分もう少し奥だと思う。今いる広い部屋を抜けた先の廊下の奥の方にあるって書いてあった…」
「この奥だな…了解」
先を歩く俺の後ろを、昌と裕貴がビクビクしながら着いてくる。
頼むから、周りで変な音が鳴るたびにギャーギャー騒ぎ立てるのは本当に止めてくれ。うるさすぎる。
「なぁ裕也~?本当に浴室に行くのか?噂だと風呂場で女の人が何人も殺されたって言われているんだぞ!?」
ここまで来て、まだそれを言ってんのか。
浴室に近づいて行くたびに、何とか引き返そうと話しかけてくる2人に、俺は完全スルーを決め込む事にした。
2人の相手をしていたら、いつまで経っても浴室に辿り着けない。
物が散乱している広い部屋を抜け、廊下を進んでいくとようやく浴室に着いた。
「ここか…」
聞こえていた水音はやっぱりこの中から聞こえる。
ただならぬ雰囲気を感じながらも、俺は扉を開けた。
「うッ…!!」
扉を開けた瞬間、鼻につく生臭いような…何かが腐食したような強烈な臭いがして、咄嗟に口元を手で覆う。
――すげぇ臭いだ…ッ
嗅いだ事もない強烈な腐食臭。
一瞬にして吐き気が襲ってきた。
「うッ…!なにっ…この臭い…ッ!!」
「ゲホッ!ゲホッ!ゲホッ!!ぐ…ッ!なんだよこれ…ッ!」
強烈すぎる臭いに、昌と裕貴も顔をしかめて口元を覆っていた。
全身から汗が噴き出てくるような感じと、異様な空気。
体が一気に重くなったような気がした。
「なんだ…?」
浴室の中から誰かの気配を感じる。
見て見ると、浴室の方で何か…黒いモヤモヤした塊のようなものが動いているように見えて、目が離せなくなった。
懐中電灯で照らしていないのに、まるでそこの部分だけ浮き出ているようにはっきりと見える。
「…ちょっと待て…奥になにかいる…ッ」
「えっ」
「嘘だろ…まさか…っ」
懐中電灯を握っていた手が震える。
浴室の奥にいる黒い塊は、モゾモゾと不自然に動いていて何かを探しているように蠢いている。
もしかすると、俺達の存在にまだ気づいていないのかもしれない。
逃げるなら確実に今のタイミングだ。
今だ。今逃げないと、とんでもなく恐ろしい経験をするかもしれない…っ
でも…っ
ここまで来ておいて、目の前のモノの存在を確認しないで逃げる事なんて出来る訳ねぇだろ!
俺は恐る恐る、浴室を懐中電灯で照らした。
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