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弐ノ章:魑魅魍魎のモノ達
第二十三話 『先祖の話』-慎吾side-
しおりを挟む神社の一人息子である俺は、家業である神職を受け継ぐために、物心がついた頃から父さんの手伝いをしていた。
『とうさん!しょもつのせいり、おわったよ!』
『おお、ありがとう。凄く助かったよ』
この日俺は、父さんと一緒に書庫の整理をしていた。
とても古い本や紙束が沢山保管されている書庫は、色んなものが置いてあって、幼かった俺は興味津々で保管されていた本を見ながら整理をしていたのを良く覚えている。
『慎吾は“神の使い”という存在を知っているか?』
『かみの、つかい?』
書庫の整理が終わり居間に戻ってきた父さんは、持ってきた1冊の古い本を俺の前に置くと、ページを捲って俺に見せて来た。
『これが神の使いと言われる存在だ』
『うわぁ…!なにこの犬!カッコイイ!!』
見せてもらった古びた本の中には、白い毛並みの大きな2匹の犬が写っていた。
今見れば一発で普通の“犬じゃない”という事は分かるのに、当時まだ幼かった俺は、見た事のないカッコイイ犬!くらいにしか思っていなかった。
『慎吾。この世界にも神の使いは存在するんだ』
『え!そうなの!?じゃあこの犬がどこかにいるって事!?』
『ははは!まぁ、そうだね。――神の使いについて話をする前に、慎吾に話しておかなければいけない事がある』
『なに?』
『もう何百年も前の話だ。ここの神社のご先祖様がな?とっても霊力が強くて優しい神主だったんだ』
『れい、りょく?れいりょくってなに?』
『人知を超えた特別な力の事さ』
『とくべつな、ちから?』
『そうだ。みんなには視えないモノが視えたり、普通の人間は使えない…例えば妖怪を封印する力を持っていたり、この世から消す事が出来る力を使えたり…。その種類は様々だ』
『へぇ…そんなすごいちからがあるんだ』
『うちの黒狛守神社の先祖である一番最初の神主さんはね、強力な霊力を持っていたと言われているんだ。それだけじゃない…強力な霊力を持ちつつ、不思議な力を使う事が出来ていたとも言われていて、その力で沢山の人々を救って下さったんだ』
『そうなの?たくさんの人をすくったなんてすごいね!その神主さんは1人でいろんな人をまもっていたの?』
『――いや。先代には、神社を護ってくれていた2匹の神の使いが憑いていた。正しくは神の使いを2匹従えていたんだけど、その神の使いと共に神社や人々、この街を護ってくれていたんだ』
『すごいね!この本の犬と同じかみのつかいだ!その人と一緒にいたのは、どんなかみのつかいだったの?』
『この本に描かれている神の使いと同じ…“狛犬”と言われる神の使いだよ。白い毛並みに、赤と青の模様が入っていて、頭には角が生えていて、瞳は銀色の瞳をしているそうだ。』
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