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弐ノ章:魑魅魍魎のモノ達
三十一話『雪女が出没する山』【雪女編1】
しおりを挟む東北某所。
市街地から遠く外れた山の、更に奥まった場所に、決して入ってはいけないと言われている場所があった。
近くに人気のスキー場施設があるこの山は、毎年冬になると県外から多くの観光客が訪れる事で有名な場所だ。
しかし、それと同時に妙な噂がある場所でも有名だった。
毎年、この山に訪れた観光客数人が謎の神隠しに遭うと言われているのだ。
山には、スキーやスノーボード目当てではない観光客が訪れる事も多々ある。
その目的は、
人間を攫い、神隠しにする元凶である“雪女”を探す為だ。
この山には、昔から雪女が出ると言われてきた。
人間の男だけを狙い、氷漬けにして精気を奪うと言われている最強の双子雪女達が…――
“雪女”
雪国に出没するとされている見目麗しい女性の姿をした妖怪。
その起源は室町時代からと古く、“死”を表す白装束を身に纏い、男を氷漬けにすると言われている雪の妖怪である。
山の最奥にある氷で出来た洞窟に、噂されている美しい双子の雪女はいた。
『フフフフ…』
『フフフフ…』
雪女達は、雪のように白い肌を露出させ、氷のソファーに座りながら妖艶に微笑んだ。
その宝石のような瞳に映るのは、氷漬けにしたまま息絶えた男達の亡骸。
『フフ…次に私達の糧となる人間の男は誰にしようかしら?』
『最近は中年の男ばかりだったから、次の餌は若い男がいいわ』
『そうね。久しぶりに若い男を餌にでもしようかしら』
『フフフ…』
『フフフ…』
真っ暗な住処に灯されたシャンデリアの灯りが、妖しく微笑む双子の雪女を優しく照らした――。
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