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弐ノ章:魑魅魍魎のモノ達
三十五話『不穏な気配』【雪女編5】
しおりを挟む「う、それは…」
「うう~…でもぉ…」
俺と慎吾の説教に、2人共言い返せずに言葉を詰まらせる。
俺達4人のスキーレベルは、学校で習って滑られるようになった程度。他にも家族で何度か来たりしているから初心者ではないが、上級者でもない。
問題なく滑られる程度の普通レベル。標準がどのくらいかは分からないが、恐らく中の下と言った所だろう。
よくこんなレベルで上級者コースに行こうと思えたな…。裕貴なんて怖がりのビビりのくせに。
初心者コースで雪だるまになるようじゃ、上級者コースなんて無理だ。
「だ、大丈夫だっつーの!俺、家族でもよくスキー行っていたし!結構上手い方だと思うぜ!?だから、余裕余裕!!さっき転んじまったのは、あんな所に凹凸があるから悪いんだよ!あんなの気付かねえじゃん!」
…こいつ、懲りてねぇな。
「そうそう!あんな所にあるなんて分かんねぇ―もん!それに、上級者コースに挑戦している人も結構いるらしいし、遭難なんてしねーって!」
ここにも凝りていないバカがいる…。
呆れすぎて何も言えない…というより、言う気も失せて来た。
「どうしても行きたいのなら、お前らだけで行ってこい。俺と裕也は行かない」
慎吾が冷たく言い放った。
慎吾のヤツめちゃくちゃ怒ってんじゃん…。
まぁなんかの気配を感じていたみたいだし、余計になのかもしれないけど。
「ちぇー!分かったよぉ~…んじゃあ俺と昌で行ってくるから、お前らはコテージで休んでていいぜ!」
「よし!それじゃあパパ―っと行って滑ってくるか!」
「おう!」
意気揚々と上級者コースに行くリフトの方へ滑り出した2人に、大きくため息をつく。
「全くアイツら…本当に大丈夫かよ。どうなっても知らねぇからな…」
「じゃあ行ってくる――!!」
「じゃあな――!!」
「昌ぁー!裕貴ぃー!暗くなる前に戻って来いよ――!!あと、何かあったらすぐに電話しろよ――!!」
俺は、振り返って手を振って来る2人に向かって叫んだ。
なにかあっても知らないとは言ったが、本心はかなり心配だ。
2人の姿が消え、スキー場に設置された時計を見れば、時刻はもう少しで4時をまわろうとしていた。
「さて、と…もう少しで4時か…」
ほんの少し前まで明るかったスキー場の景色が暗くなってきているのを感じながら、山を見渡す。
日が沈んだことで冷えたからなのか、しとしとと雪も降り始めて来ていて、スキーウエアに当たった雪が解けて消える。
「慎吾、俺達はどうする?昼飯食ってなかったし、コテージのレストランでなにか食って待ってるか―――」
「……。」
「…って、ん?慎吾、どうした?」
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