遺書

只ノ人 -ただのひと-

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遺書

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「これを読んでいる貴方へ。」

「見つけてくれてありがとう。これは、僕の遺書です。」



「ずっと前から、自分の命は自分で終わらせようと思っていました。」
ーずっと前から、手を引いてくれる誰かを探していたのかもしれない。


「したいことはまだ残ってたけど、なんだか満足したしもう終わってもいいのかなって。」
ーしたいこと、しなきゃいけないこと、全部分からなくなって考えるのをやめた。


「色んな人に出会えてたくさんの幸せをもらえて、すごく嬉しかった。」
ー本当に欲しいものは結局、どうやっても手に入れることは出来なかった。
周りへの罪悪感がただ、募るばかりだった。


「だから、生きるのが嫌になったからいなくなった、とかじゃないんだよ。」
ー逃げただけ。なんの価値もない自分、報われない頑張りに疲れた自分から。


「誰か1人でも、僕のこと覚えててくれたら嬉しいな。」
ーどうだっていい。忘れられようが関係ない。もう消えるんだから。


「置いていってごめんね。」
ーついてこないで。その声がその言葉が、僕を惨めにするんだ。


「皆の声とか、あったかい心にいつも元気をもらってた。」
ーその全部が僕に向かう凶器で、劣等感罪悪感に殺されそうだった。
僕はそんなに出来た人間じゃない。
化けの皮、幻、妄想。偽物で誰かの出涸らしなんだよ。


「皆のおかげでここまでこれた。」
ー自分の弱さのせいでここで終わったんだ。報われないのも僕のせい。魅力がないのも僕のせい。傷つくのも心が折れるのも、全部僕のせい。


「ありがとう。」
ーごめん。


「今日まで生きててよかった。」
ー今日まで生きててごめん。
こんな奴が生きて何か出来るとか何者かになれるとか、誰かに何かをしてあげられるなんて思い込んでは醜く足掻いて。


「急にいなくなる僕を許して欲しい。」
ー許さないで。きっと僕は卑屈になって、そんな自分がまた嫌いになるから。


「皆と過ごせて、幸せでした。」
ー幸せを願う権利なんて何処にもないのに。


「そろそろ行くよ。今まで本当にありがとう。」
ー。


「それじゃあ」
ー。


ー「ばいばい。」



少年は何かを待っていた。
綺麗な言葉ばかりが綴られた遺書はぐしゃぐしゃで。

インクの滲みはきっと、その「何か」を訴えていた。
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