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第二章
【十四話】正義と闘争。(1)
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人間は、常に闘争の中で生きている。
俺の生きる時代では、魔物との戦いが起きている。
ユーリの時代もそうだ。
その前は?
歴史資料はほとんどないらしいが、
人類が争いと無縁だったとは、到底考えられない。
その根拠に、過去五百年間の歴史がある。
魔物が居なくなった後、人間はすぐに同士討ちを始めた。
混乱した世界を治めるのがどちらか、王の息子二人が争ったらしい。
それが済んだ後も、領地や食料をめぐった戦争が乱発していたようだ。
復興が進み、人々の生活が安定した近年では、
これと言った大規模な争いは無かった。
魔物が再び姿を見せるまでは。
ここで問題なのは、人間同士の戦争では絶対的な「悪」が無いことだ。
領地を奪いたいのは、自分の活動を広げたいからだ。
食料を奪いたいのは、自分が生きたいからだ。
王位を奪いたいのは、自分の信念をもって政治を行いたいからだ。
誰も、快楽のために争いを起こしはしない。
誰しもが「正義」なのだ。
皆が皆、己の心に従い、正しいと思ったことをした結果だ。
誰が悪いわけでもない。致し方なく起きる。
それ故に、終わらない。
繰り返す。
何度も、何度も。
人類と言う種族が生きている限り。
それが、魔物との戦いとの最大の差異と言える。
人魔大戦が一度中断されたのは、魔物が居なくなったからだ。
敵が姿を消し、戦う目的を達成したから終わった。
魔物と言う敵——人間同士の戦いには無い
倒すべき「悪」を倒したが故に幕を閉じることができた。
今回の戦争はどうだろう。知っての通り、戦う相手は魔物だ。
魔王からも接触があったわけだし。
つまり、魔王と残党を殺してしまえば、終わる戦いだ。
魔物は滅するべき「悪」であるという、人類の総意を実現すれば、勝ちなのだから。
俺もアイシャも、そのために騎士になった。
幼いながら、魔物を滅ぼすのだと誓った。
幼馴染の少女、サラが居なくなったのは
魔物という「悪」がもたらした災いだと決めつけて。
戦争に勝ちたいとか、世界に平和をもたらしたいとか。
そんな大それた理由は無い。
俺たちはただ、魔物を滅ぼしたいだけなんだ。
それが結果的に、この戦争に勝つことと同義だなんてことは、どうだっていい。
俺たちは俺たちの、復讐という「正義」が執行できればいいだけなんだ。
絵に描いたような綺麗な緑。鏡のような水面。
だがそこを歩く者の顔は、決して明るくなかった。
百人近い騎士たちが、ためらいの表情を見せながら、草花の大地を踏み均して進む。
その先頭を歩く騎士団長もまた、例外ではなかった。
「団長」
「なんだ?」
「……本当に、やるんですか?」
「……」
部下の質問に、困った表情を浮かべる団長。
「疲弊した魔物たちを、背後から叩くなんて」
「分かっている。こんな作戦は本来、行われるべきではない」
感情が溢れないよう、必死に抑え込んでいるようだ。
「だが、後ろを見てみよ」
部下に、付いてくる多くの騎士たちを見せる。
「これだけの者が、かの愚王の破滅を望んだのだ。君とてそうだろう?」
「ええ」
愛する者や家族を人質に取られ、苦しめられ。騎士団は、仕方なく奴の命に従ってきた
「悪に打ち勝つため、と言う事ですか?」
「……どうだろうな。」
団長は少し迷っていた。王が「悪」なのかどうかだ。
妻と子を天秤にかけられた一人の人間としては、彼を恨み「悪」とする動機は十二分にある。
だが、客観的に観察するとそれがぶれてしまう。
問題は、王を決める制度なのではないか。
よほどのことがない限り、次の王は現王の子息が担う。
かの王の父は、彼が産まれる前に崩御したという。
彼が誕生して間もなく母も他界。
侍女たちに育てられ、王だからと言う理由で
満足に友人関係を築くことが許されていなかったようだ。
要するに彼は、人と人の信頼と言うものを知らないのだ。
だから、我々騎士団を動かすにも、脅すという方法しか取れないのではないか。
そんな二つの考えが交錯していた。
「王も王とて、運命の被害者と言える。一概に悪とは決めつけられない。私はそう思う」
「しかし団長は、王と戦う道を選ばれたのですよね?」
「ああ。奴に従うのは今回が最後だ」
「それは、奥様やお子様を救うためでしょうか?」
「それもあるが、私は騎士団の団長だ。私個人だけでなく、団員みなを救う義務がある。そのためにはやはり、王を討ち、人質を解放する他なかろう」
「……」
「だから、この作戦を行うと決意した。団員と家族を救うという正義のためにな」
「正義……」
美しい世界に入ってから十数時間。
休息を取りながらゆっくりと退いていた魔物勢力に、追い付くことに成功した。
「作戦開始だ」
赤色の信号を出し、後方の騎士たちに合図を送った。
手はず通り、騎士たちが横に広がって進撃を開始。
最後尾の魔物から順に攻撃していく。
「くっ……‼」
溢れる罪悪感を必死に払いながら、団長も次から次へと魔物を斬り捨てる。
さきの戦で消耗している魔物の抵抗は、取るに足らなかった。
多少の犠牲はあったものの、あっという間に先頭集団にまで到達した。
「怯むな‼ 魔物勢力の壊滅は、アレはもう目の前だ‼」
『うおおお‼』
団長に鼓舞された騎士たちが、さらに進軍速度を高め
先頭の魔王とその妻に追い付いた。
《ニンゲン……? いったい何を……⁈》
「悪いが、アレは我々人間が頂く!」
《君たちは、興味がなかったのではなくて?》
《……奪おうというのか》
目的のモノは、妻の手に持たれている。何度見ても綺麗だ。
漆黒の真逆と表現できるほどの白。
それでいて、見かたによっては青や赤、黄なんて色にも見える。
形は分からない。輝きが強く、形状を判断するのが難しい。
「事情が変わったのだ。心苦しいが、力ずくでも奪わせていただく」
《なるほど、狡猾な作戦も厭わないわけか》
「左様。皆、行くぞ! 我々の正義のために‼」
《これは決して、渡さない!》
互いに臨戦態勢をとる。
正直、アレがどれ程の力を持っているのかが分からない。
「遵守」という効果は如何ほどか。それは未知数だ。
出発前に団長が伝えた作戦通り、魔王と妻を円の陣形で取り囲み、
どこからでも攻撃できるように散開。
消耗している彼らには、これに対応する集中力が残っていないだろうという算段だ。
《本当に、やる気なのね。それなら、私たちも容赦はしません》
掌に載せたアレをこちらに向け、言った。
《吹き飛べ‼》
「……⁈」
その叫び声と共に、強烈な衝撃が放たれた。
立っていられないほどで、大半の団員がしりもちをついたり、地面に転がされたりしている。
団長もまた、その一人である。
「なんという事だ。本当に従わされるのか」
噂通りの強力さに、驚くことしかできない。
《ふんっ、後悔するがいい!》
体勢が崩れた騎士を、魔王が次々と殺していく。
「や、やめ——」
「た、助けて、団ちょ——」
仲間が死んでいく光景を、いっさい想像しなかったわけではない。
ここまでの道中もそうだが、犠牲が出ることは覚悟していた。
それでも、到底見ていられる光景ではない。
反射的に目を背ける。
《癒えろ!》
「なっ!」
戦いで消耗していた魔王の動きが、どんどん良くなっていく。
そんなこともできるのかと、目を見開いた。
《さあ、次に死にたいのは誰だ?》
「団長」
「うん?」
歩きながら団長に質問をした、彼の一番の部下だ。
「団長には、アレを奪う作戦があるのですよね?」
「ああ。一応考えてある」
付き合いが長いため、考えていることは大体わかるようである。
「だが、魔王が回復したのは想定外だ。考え直す必要があるな」
「団長。魔王は僕に任せてください」
「……どうする気だ?」
次々と殺されていく騎士たち。
ゆっくり話している時間はない。
「僕が魔王を止めます。その隙に」
「……死ぬかもしれないぞ」
「僕の命で正義がなされるなら、本望です。行きますよっ‼」
団長の返事を聞かないまま、部下は飛び出していった。
ここでまごついていても、彼の覚悟を無駄にするだけだと悟った団長は作戦実行の準備にかかった。
剣を握り、じりじりと魔王から離れ、動きを警戒しながらも、妻の状態をしっかりと観察する。
「魔王!僕が相手してやる!」
《ふん、命知らずめ。いいだろう。次は貴様にしてやる》
彼の実力は、団長も信頼している。
故に、団長は自分の策に集中することにした。
妻を観察すると、魔王の方を気にしているように見える。
《倒れろ‼》
「ぐあぁっ⁈」
辺りの騎士たちは、上から押されたように倒れた。
《死ぬがいい》
「まだ‼」
見事な身体能力で退きながら立ち上がり、勢いに任せて魔王へ攻撃を仕掛けた。
激しいつばぜり合いになる。
「負けられない!」
《ニンゲンよ、一体何が目的だ? なぜ唐突にアレを⁈》
「正義をなすためだ!」
《正義だと?》
「そうだ……っ‼」
話しながら、なおも激しくぶつかり合い、いったん距離を取った。
《狡猾な作戦の遂行が、貴様らの正義だと?》
「違う。その結果手に入るアレによって、我々は正義を執行するのだ!」
《マモノはその踏み台に過ぎないと?》
「済まないが、そういう事だ‼」
《そうか。ならば貴様らはマモノにとっての悪だ。心おきなく殺せる‼》
《動くな‼》
「な、なに⁈」
《くたばれ‼》
アレの力によって動きを封じられた彼。
しかし、彼の顔に恐怖は無かった。
むしろ、人類の勝機を感じているように見えた。
「ふん、僕たちの勝利だ」
《世迷言を》
部下が横目で団長の方を見る。準備は出来たようだ。
魔王の妻は、魔王の戦いをアレの力で援護する。
魔王の支援に徹している妻は、周囲への警戒が薄れる。
そこを団長が突く。
相手が魔王の妻と言う強力な個体である以上、他の騎士ではダメ。
超速という能力を持つ団長でなくては、出来ないことだ。
《はあああっ‼》
「ぐわああああっ‼」
左肩から刃が入り、胸まで裂ける。
死を間近にしてなお、彼は笑った。
《……何がおかしい?》
「言った、だ、ろ……? 僕、たちの、勝ち、と……」
それだけ言って、彼は倒れて動かなくなった。
《最期まで訳の分からないことを。さて、次は——》
「動くな‼」
《なっ⁈》
魔王の後ろに立っていたのは、団長であった。
その横には、首の落とされた妻の遺体が転がっている。
団長と部下の作戦は、結果だけ見れば成功した。
《き、貴様……っ‼》
「伏せろ‼」
《ぐうっ⁈》
「魔王よ」
《貴様……っ‼ よくも、よくも! 卑怯者のクズ共がっ‼》
「……謝ったところで許されないことは分かっている」
《殺してやる‼ 滅ぼしてくれる‼》
「……恨むなとは言わない。だが、どうしてもコレが必要なんだ」
《この恨み……何百年、何千年経とうと晴らしてくれるわ! 絶対にな!》
「……」
部下の遺体を見、静かに拳を震わせる。
冷静を装っているが、団長の心は、やり場のない怒りに支配されていた。
それに加えて、魔王の顔を見ることができなかった。
涙を流していたからだ。
妻を殺され、怒っていたからだ。
騎士団は、愛する者たちを救い出すために、コレを奪いに来た。
そのさなか、魔王の愛する者を殺したのだ。
その矛盾と罪悪感と、一番の部下を失った虚無感と。
感情を爆発させる魔王を見ながら、団長もまた、激しい感情の波に押しつぶされていた。
そのせいか、彼はついに、魔王を殺しはしなかった。
やるせない気持ちのまま、騎士団はアレを持って撤退した。
約百人で出発し、帰ったのは半分程度。
それでも、やると決めた正義は執行する。
ここで諦めれば、礎となった騎士や魔物の命をないがしろにすることになる。
それだけは許されない。
帰還した団長は、真っすぐに王城へ。
彼の戦いは、むしろここからだ。
魔物を倒して手に入れたアレを使い、ふんぞり返る王を引きずり下ろす。
奴は「悪」だと勝手に決めつけ、己を「正義」と信じて戦う。
「王‼」
「これは何事だ、騎士団長。その手に持っているのは……そうか、勝ったようだな」
大人数で王の間に乗り込むと、奴は不満そうな声と表情で言った。
「はい。魔物の軍団に攻撃し、魔王の妻を撃破しました。戦利品はこれだけです」
「いや、構わん。それだけが目当てだからな。では、それを私に——」
「それは出来ません」
「……なに?」
「これを渡すことは出来ません。今ここで、貴方の王位を剥奪します」
「ふん。団長。君はもっと賢い人間だと思っていたのだがな。残念だ。謀反者を拘束しろ‼」
王が近衛兵たちに指示を出す。
しかし、その叫びは虚空へと消えた。
「警備は既に無力化しています。もう、貴方に勝ち目はないのです」
「き、貴様ら! よくも!」
「……」
魔王と同じ恨み言を放つ王。
そんな敵を見て、団長は不思議な気分になった。
先ほど、「王を悪とは決めつけられない」と言っていた彼。
しかし、この王を見ても、魔王に感じたような申し訳なさや、罪悪感は全くなかった。
「私も人の子か」と。
所詮は個人に過ぎず、敵の運命などは知った事ではない。
自分にとって害であれば「悪」である。そう結論付けた。
「今すぐに人質を解放しろ。何も殺そうとは言わない。」
「こんなことをして、ただで済むと思うか? 人質は全員処刑だ! 今すぐにな!」
「……クズめっ」
怒りと言う感情をむき出しにし、一言の雑言を放った後、自身の掌で輝くアレを突き出した。
「動くな‼」
「——⁈」
団長の言葉によって動けなくなった王は
つい先ほどまで威張っていたとは思えない、情けない表情をした。
それを見てもなお、団長の心情は変わらなかった。
「奴を拘束しろ」
『了解っ』
数人の騎士たちが、縄を持って王——否、敵のもとへ。
動けない相手を縛り付けるのは容易だ。
「た、頼む! やめてくれ! い、命だけはっ‼」
「貴様っ‼」
「ぶぐぁ⁈」
命乞いをする敵に、団長は思わず拳をぶつけた。
「貴様は、そう言った人を何人処刑した⁉ ええ? 答えてみろ! 何人だ⁉」
「うぅ……」
「何人が、お前のためにっ‼」
あまりの怒りに、団長は剣の柄に手をかけた。
「団長」
「……ああ、すまない」
仲間に止められ、少し冷静に。
「安心しろ。さっきも言ったが、殺しはしない」
「……」
「貴様は、死ぬに値しない。だが、自由は奪わせてもらう。死ぬまで、己の行為を自省するんだな」
敵に罪の意識を持つよう促し、ため息を一つついた。
それと同時、数人の騎士が王の間に飛び込んできた。
「団長!人質を全員解放しました!」
「そうか、よくやってくれた」
「それと、国民への掲示も完了しました。噂はすぐにでも広まるでしょう」
「分かった。人質の帰宅を支援してくれ」
『了解!』
騎士団は、拘束した敵を人質と同じ環境に置いた。
狭く、暗く、寒い牢獄に入れ、食事や水は死なないように最小限与えるのみ。
団長は、本当は今すぐにでも斬り殺してやりたいと思っていた。
だが、散々人を苦しめた憎き「悪」を殺して、苦痛から解放するのは違うと言う
騎士団と国民の総意によって踏ん張っていた。
しかし、問題は山積みだ。
前王は、子供がいない。
次の王になるものが居ないのだ。
そこで、前王の叔父の子を王に採用。
といっても、その存在はあくまで象徴で、実権はほとんど騎士団が握った。
その王に子供ができると、政治はもちろんの事、人と人の繋がりや信頼、倫理道徳を学ばせ
二度とあのような王が現れないよう、細心の注意を払って育て上げた。
こうして、騎士団は「悪」を討ち、己の「正義」を成し遂げた。
アレについての研究も進み、人々の生活をよくするために活用。
それによって生活水準は向上し、富豪と言う存在がいたるところに現れるようになった。
皮肉なことに、この事態が、悪が消えて十数年の安寧を、破壊することになってしまう。
「だ、団長!」
「どうした」
「改革派の連中が、城に迫っています」
「思ったよりも早いな。仕方ない、治安部隊を出せ。」
「了解」
政権は、この改革派に頭を悩ませていた。
騎士団が持ち帰ったアレは、使うたび、徐々に小さくなっていることが分かった。
このペースだと、数年後には無くなっているだろうと言われている。
その情報が出回ったとたんに出現したのが、改革派だ。
つまり、改革と謳いながら、実際はアレ目当ての者たちだ。
私利私欲のためであることは、目に見えている。
無論、いたってまじめな理由で反感を持つ者もいるが。
「力を独占する騎士団を許すな!」
『許すな!』
部下の言った通り、改革派がすぐそこまで迫っていた。
換気のために開けた窓から、抗議の声が聞こえ始める。
ぶるっと身震いした団長は、その窓を閉めた。
「今日は冷えるな」
椅子に戻り、机に積まれた報告書の山を見て頭を抱える。
改革派の反乱を鎮圧したというものが、その大半を占める。
他に、各自治体で起きた小さな内乱がある。
これらは、富豪が多く出現した地域で見られる。
貧しいものの不満が爆発した結果だ。
「……いったい、何がいけなかったんだろうな」
世界の「悪」は下した。
しかし、その先に平和は無かった。
敵を討っても、人はすぐに新しい敵を見つける。
「正義」をなしたはずの騎士団は、今度は「悪」と認識され、攻撃の対象になってしまった。
近頃では、団員の中にも、不満を感じている者が現れている。
人間の同士討ちは加速するだろう。
このままでは滅びてしまう。
まるで、死に至る病だ。
「はあ」
ため息をついて、背もたれに体重を預ける。
目を瞑ると、妻や愛しい我が子の顔が浮かぶ。
しかしその奥には、あの時の魔王の顔が見える。
見えてしまう。
それを払うように頭を横に振り、指で目頭を数秒押さえる。
もう一つため息をつき、上着を羽織って、悪の親玉は部屋を後にした。
俺の生きる時代では、魔物との戦いが起きている。
ユーリの時代もそうだ。
その前は?
歴史資料はほとんどないらしいが、
人類が争いと無縁だったとは、到底考えられない。
その根拠に、過去五百年間の歴史がある。
魔物が居なくなった後、人間はすぐに同士討ちを始めた。
混乱した世界を治めるのがどちらか、王の息子二人が争ったらしい。
それが済んだ後も、領地や食料をめぐった戦争が乱発していたようだ。
復興が進み、人々の生活が安定した近年では、
これと言った大規模な争いは無かった。
魔物が再び姿を見せるまでは。
ここで問題なのは、人間同士の戦争では絶対的な「悪」が無いことだ。
領地を奪いたいのは、自分の活動を広げたいからだ。
食料を奪いたいのは、自分が生きたいからだ。
王位を奪いたいのは、自分の信念をもって政治を行いたいからだ。
誰も、快楽のために争いを起こしはしない。
誰しもが「正義」なのだ。
皆が皆、己の心に従い、正しいと思ったことをした結果だ。
誰が悪いわけでもない。致し方なく起きる。
それ故に、終わらない。
繰り返す。
何度も、何度も。
人類と言う種族が生きている限り。
それが、魔物との戦いとの最大の差異と言える。
人魔大戦が一度中断されたのは、魔物が居なくなったからだ。
敵が姿を消し、戦う目的を達成したから終わった。
魔物と言う敵——人間同士の戦いには無い
倒すべき「悪」を倒したが故に幕を閉じることができた。
今回の戦争はどうだろう。知っての通り、戦う相手は魔物だ。
魔王からも接触があったわけだし。
つまり、魔王と残党を殺してしまえば、終わる戦いだ。
魔物は滅するべき「悪」であるという、人類の総意を実現すれば、勝ちなのだから。
俺もアイシャも、そのために騎士になった。
幼いながら、魔物を滅ぼすのだと誓った。
幼馴染の少女、サラが居なくなったのは
魔物という「悪」がもたらした災いだと決めつけて。
戦争に勝ちたいとか、世界に平和をもたらしたいとか。
そんな大それた理由は無い。
俺たちはただ、魔物を滅ぼしたいだけなんだ。
それが結果的に、この戦争に勝つことと同義だなんてことは、どうだっていい。
俺たちは俺たちの、復讐という「正義」が執行できればいいだけなんだ。
絵に描いたような綺麗な緑。鏡のような水面。
だがそこを歩く者の顔は、決して明るくなかった。
百人近い騎士たちが、ためらいの表情を見せながら、草花の大地を踏み均して進む。
その先頭を歩く騎士団長もまた、例外ではなかった。
「団長」
「なんだ?」
「……本当に、やるんですか?」
「……」
部下の質問に、困った表情を浮かべる団長。
「疲弊した魔物たちを、背後から叩くなんて」
「分かっている。こんな作戦は本来、行われるべきではない」
感情が溢れないよう、必死に抑え込んでいるようだ。
「だが、後ろを見てみよ」
部下に、付いてくる多くの騎士たちを見せる。
「これだけの者が、かの愚王の破滅を望んだのだ。君とてそうだろう?」
「ええ」
愛する者や家族を人質に取られ、苦しめられ。騎士団は、仕方なく奴の命に従ってきた
「悪に打ち勝つため、と言う事ですか?」
「……どうだろうな。」
団長は少し迷っていた。王が「悪」なのかどうかだ。
妻と子を天秤にかけられた一人の人間としては、彼を恨み「悪」とする動機は十二分にある。
だが、客観的に観察するとそれがぶれてしまう。
問題は、王を決める制度なのではないか。
よほどのことがない限り、次の王は現王の子息が担う。
かの王の父は、彼が産まれる前に崩御したという。
彼が誕生して間もなく母も他界。
侍女たちに育てられ、王だからと言う理由で
満足に友人関係を築くことが許されていなかったようだ。
要するに彼は、人と人の信頼と言うものを知らないのだ。
だから、我々騎士団を動かすにも、脅すという方法しか取れないのではないか。
そんな二つの考えが交錯していた。
「王も王とて、運命の被害者と言える。一概に悪とは決めつけられない。私はそう思う」
「しかし団長は、王と戦う道を選ばれたのですよね?」
「ああ。奴に従うのは今回が最後だ」
「それは、奥様やお子様を救うためでしょうか?」
「それもあるが、私は騎士団の団長だ。私個人だけでなく、団員みなを救う義務がある。そのためにはやはり、王を討ち、人質を解放する他なかろう」
「……」
「だから、この作戦を行うと決意した。団員と家族を救うという正義のためにな」
「正義……」
美しい世界に入ってから十数時間。
休息を取りながらゆっくりと退いていた魔物勢力に、追い付くことに成功した。
「作戦開始だ」
赤色の信号を出し、後方の騎士たちに合図を送った。
手はず通り、騎士たちが横に広がって進撃を開始。
最後尾の魔物から順に攻撃していく。
「くっ……‼」
溢れる罪悪感を必死に払いながら、団長も次から次へと魔物を斬り捨てる。
さきの戦で消耗している魔物の抵抗は、取るに足らなかった。
多少の犠牲はあったものの、あっという間に先頭集団にまで到達した。
「怯むな‼ 魔物勢力の壊滅は、アレはもう目の前だ‼」
『うおおお‼』
団長に鼓舞された騎士たちが、さらに進軍速度を高め
先頭の魔王とその妻に追い付いた。
《ニンゲン……? いったい何を……⁈》
「悪いが、アレは我々人間が頂く!」
《君たちは、興味がなかったのではなくて?》
《……奪おうというのか》
目的のモノは、妻の手に持たれている。何度見ても綺麗だ。
漆黒の真逆と表現できるほどの白。
それでいて、見かたによっては青や赤、黄なんて色にも見える。
形は分からない。輝きが強く、形状を判断するのが難しい。
「事情が変わったのだ。心苦しいが、力ずくでも奪わせていただく」
《なるほど、狡猾な作戦も厭わないわけか》
「左様。皆、行くぞ! 我々の正義のために‼」
《これは決して、渡さない!》
互いに臨戦態勢をとる。
正直、アレがどれ程の力を持っているのかが分からない。
「遵守」という効果は如何ほどか。それは未知数だ。
出発前に団長が伝えた作戦通り、魔王と妻を円の陣形で取り囲み、
どこからでも攻撃できるように散開。
消耗している彼らには、これに対応する集中力が残っていないだろうという算段だ。
《本当に、やる気なのね。それなら、私たちも容赦はしません》
掌に載せたアレをこちらに向け、言った。
《吹き飛べ‼》
「……⁈」
その叫び声と共に、強烈な衝撃が放たれた。
立っていられないほどで、大半の団員がしりもちをついたり、地面に転がされたりしている。
団長もまた、その一人である。
「なんという事だ。本当に従わされるのか」
噂通りの強力さに、驚くことしかできない。
《ふんっ、後悔するがいい!》
体勢が崩れた騎士を、魔王が次々と殺していく。
「や、やめ——」
「た、助けて、団ちょ——」
仲間が死んでいく光景を、いっさい想像しなかったわけではない。
ここまでの道中もそうだが、犠牲が出ることは覚悟していた。
それでも、到底見ていられる光景ではない。
反射的に目を背ける。
《癒えろ!》
「なっ!」
戦いで消耗していた魔王の動きが、どんどん良くなっていく。
そんなこともできるのかと、目を見開いた。
《さあ、次に死にたいのは誰だ?》
「団長」
「うん?」
歩きながら団長に質問をした、彼の一番の部下だ。
「団長には、アレを奪う作戦があるのですよね?」
「ああ。一応考えてある」
付き合いが長いため、考えていることは大体わかるようである。
「だが、魔王が回復したのは想定外だ。考え直す必要があるな」
「団長。魔王は僕に任せてください」
「……どうする気だ?」
次々と殺されていく騎士たち。
ゆっくり話している時間はない。
「僕が魔王を止めます。その隙に」
「……死ぬかもしれないぞ」
「僕の命で正義がなされるなら、本望です。行きますよっ‼」
団長の返事を聞かないまま、部下は飛び出していった。
ここでまごついていても、彼の覚悟を無駄にするだけだと悟った団長は作戦実行の準備にかかった。
剣を握り、じりじりと魔王から離れ、動きを警戒しながらも、妻の状態をしっかりと観察する。
「魔王!僕が相手してやる!」
《ふん、命知らずめ。いいだろう。次は貴様にしてやる》
彼の実力は、団長も信頼している。
故に、団長は自分の策に集中することにした。
妻を観察すると、魔王の方を気にしているように見える。
《倒れろ‼》
「ぐあぁっ⁈」
辺りの騎士たちは、上から押されたように倒れた。
《死ぬがいい》
「まだ‼」
見事な身体能力で退きながら立ち上がり、勢いに任せて魔王へ攻撃を仕掛けた。
激しいつばぜり合いになる。
「負けられない!」
《ニンゲンよ、一体何が目的だ? なぜ唐突にアレを⁈》
「正義をなすためだ!」
《正義だと?》
「そうだ……っ‼」
話しながら、なおも激しくぶつかり合い、いったん距離を取った。
《狡猾な作戦の遂行が、貴様らの正義だと?》
「違う。その結果手に入るアレによって、我々は正義を執行するのだ!」
《マモノはその踏み台に過ぎないと?》
「済まないが、そういう事だ‼」
《そうか。ならば貴様らはマモノにとっての悪だ。心おきなく殺せる‼》
《動くな‼》
「な、なに⁈」
《くたばれ‼》
アレの力によって動きを封じられた彼。
しかし、彼の顔に恐怖は無かった。
むしろ、人類の勝機を感じているように見えた。
「ふん、僕たちの勝利だ」
《世迷言を》
部下が横目で団長の方を見る。準備は出来たようだ。
魔王の妻は、魔王の戦いをアレの力で援護する。
魔王の支援に徹している妻は、周囲への警戒が薄れる。
そこを団長が突く。
相手が魔王の妻と言う強力な個体である以上、他の騎士ではダメ。
超速という能力を持つ団長でなくては、出来ないことだ。
《はあああっ‼》
「ぐわああああっ‼」
左肩から刃が入り、胸まで裂ける。
死を間近にしてなお、彼は笑った。
《……何がおかしい?》
「言った、だ、ろ……? 僕、たちの、勝ち、と……」
それだけ言って、彼は倒れて動かなくなった。
《最期まで訳の分からないことを。さて、次は——》
「動くな‼」
《なっ⁈》
魔王の後ろに立っていたのは、団長であった。
その横には、首の落とされた妻の遺体が転がっている。
団長と部下の作戦は、結果だけ見れば成功した。
《き、貴様……っ‼》
「伏せろ‼」
《ぐうっ⁈》
「魔王よ」
《貴様……っ‼ よくも、よくも! 卑怯者のクズ共がっ‼》
「……謝ったところで許されないことは分かっている」
《殺してやる‼ 滅ぼしてくれる‼》
「……恨むなとは言わない。だが、どうしてもコレが必要なんだ」
《この恨み……何百年、何千年経とうと晴らしてくれるわ! 絶対にな!》
「……」
部下の遺体を見、静かに拳を震わせる。
冷静を装っているが、団長の心は、やり場のない怒りに支配されていた。
それに加えて、魔王の顔を見ることができなかった。
涙を流していたからだ。
妻を殺され、怒っていたからだ。
騎士団は、愛する者たちを救い出すために、コレを奪いに来た。
そのさなか、魔王の愛する者を殺したのだ。
その矛盾と罪悪感と、一番の部下を失った虚無感と。
感情を爆発させる魔王を見ながら、団長もまた、激しい感情の波に押しつぶされていた。
そのせいか、彼はついに、魔王を殺しはしなかった。
やるせない気持ちのまま、騎士団はアレを持って撤退した。
約百人で出発し、帰ったのは半分程度。
それでも、やると決めた正義は執行する。
ここで諦めれば、礎となった騎士や魔物の命をないがしろにすることになる。
それだけは許されない。
帰還した団長は、真っすぐに王城へ。
彼の戦いは、むしろここからだ。
魔物を倒して手に入れたアレを使い、ふんぞり返る王を引きずり下ろす。
奴は「悪」だと勝手に決めつけ、己を「正義」と信じて戦う。
「王‼」
「これは何事だ、騎士団長。その手に持っているのは……そうか、勝ったようだな」
大人数で王の間に乗り込むと、奴は不満そうな声と表情で言った。
「はい。魔物の軍団に攻撃し、魔王の妻を撃破しました。戦利品はこれだけです」
「いや、構わん。それだけが目当てだからな。では、それを私に——」
「それは出来ません」
「……なに?」
「これを渡すことは出来ません。今ここで、貴方の王位を剥奪します」
「ふん。団長。君はもっと賢い人間だと思っていたのだがな。残念だ。謀反者を拘束しろ‼」
王が近衛兵たちに指示を出す。
しかし、その叫びは虚空へと消えた。
「警備は既に無力化しています。もう、貴方に勝ち目はないのです」
「き、貴様ら! よくも!」
「……」
魔王と同じ恨み言を放つ王。
そんな敵を見て、団長は不思議な気分になった。
先ほど、「王を悪とは決めつけられない」と言っていた彼。
しかし、この王を見ても、魔王に感じたような申し訳なさや、罪悪感は全くなかった。
「私も人の子か」と。
所詮は個人に過ぎず、敵の運命などは知った事ではない。
自分にとって害であれば「悪」である。そう結論付けた。
「今すぐに人質を解放しろ。何も殺そうとは言わない。」
「こんなことをして、ただで済むと思うか? 人質は全員処刑だ! 今すぐにな!」
「……クズめっ」
怒りと言う感情をむき出しにし、一言の雑言を放った後、自身の掌で輝くアレを突き出した。
「動くな‼」
「——⁈」
団長の言葉によって動けなくなった王は
つい先ほどまで威張っていたとは思えない、情けない表情をした。
それを見てもなお、団長の心情は変わらなかった。
「奴を拘束しろ」
『了解っ』
数人の騎士たちが、縄を持って王——否、敵のもとへ。
動けない相手を縛り付けるのは容易だ。
「た、頼む! やめてくれ! い、命だけはっ‼」
「貴様っ‼」
「ぶぐぁ⁈」
命乞いをする敵に、団長は思わず拳をぶつけた。
「貴様は、そう言った人を何人処刑した⁉ ええ? 答えてみろ! 何人だ⁉」
「うぅ……」
「何人が、お前のためにっ‼」
あまりの怒りに、団長は剣の柄に手をかけた。
「団長」
「……ああ、すまない」
仲間に止められ、少し冷静に。
「安心しろ。さっきも言ったが、殺しはしない」
「……」
「貴様は、死ぬに値しない。だが、自由は奪わせてもらう。死ぬまで、己の行為を自省するんだな」
敵に罪の意識を持つよう促し、ため息を一つついた。
それと同時、数人の騎士が王の間に飛び込んできた。
「団長!人質を全員解放しました!」
「そうか、よくやってくれた」
「それと、国民への掲示も完了しました。噂はすぐにでも広まるでしょう」
「分かった。人質の帰宅を支援してくれ」
『了解!』
騎士団は、拘束した敵を人質と同じ環境に置いた。
狭く、暗く、寒い牢獄に入れ、食事や水は死なないように最小限与えるのみ。
団長は、本当は今すぐにでも斬り殺してやりたいと思っていた。
だが、散々人を苦しめた憎き「悪」を殺して、苦痛から解放するのは違うと言う
騎士団と国民の総意によって踏ん張っていた。
しかし、問題は山積みだ。
前王は、子供がいない。
次の王になるものが居ないのだ。
そこで、前王の叔父の子を王に採用。
といっても、その存在はあくまで象徴で、実権はほとんど騎士団が握った。
その王に子供ができると、政治はもちろんの事、人と人の繋がりや信頼、倫理道徳を学ばせ
二度とあのような王が現れないよう、細心の注意を払って育て上げた。
こうして、騎士団は「悪」を討ち、己の「正義」を成し遂げた。
アレについての研究も進み、人々の生活をよくするために活用。
それによって生活水準は向上し、富豪と言う存在がいたるところに現れるようになった。
皮肉なことに、この事態が、悪が消えて十数年の安寧を、破壊することになってしまう。
「だ、団長!」
「どうした」
「改革派の連中が、城に迫っています」
「思ったよりも早いな。仕方ない、治安部隊を出せ。」
「了解」
政権は、この改革派に頭を悩ませていた。
騎士団が持ち帰ったアレは、使うたび、徐々に小さくなっていることが分かった。
このペースだと、数年後には無くなっているだろうと言われている。
その情報が出回ったとたんに出現したのが、改革派だ。
つまり、改革と謳いながら、実際はアレ目当ての者たちだ。
私利私欲のためであることは、目に見えている。
無論、いたってまじめな理由で反感を持つ者もいるが。
「力を独占する騎士団を許すな!」
『許すな!』
部下の言った通り、改革派がすぐそこまで迫っていた。
換気のために開けた窓から、抗議の声が聞こえ始める。
ぶるっと身震いした団長は、その窓を閉めた。
「今日は冷えるな」
椅子に戻り、机に積まれた報告書の山を見て頭を抱える。
改革派の反乱を鎮圧したというものが、その大半を占める。
他に、各自治体で起きた小さな内乱がある。
これらは、富豪が多く出現した地域で見られる。
貧しいものの不満が爆発した結果だ。
「……いったい、何がいけなかったんだろうな」
世界の「悪」は下した。
しかし、その先に平和は無かった。
敵を討っても、人はすぐに新しい敵を見つける。
「正義」をなしたはずの騎士団は、今度は「悪」と認識され、攻撃の対象になってしまった。
近頃では、団員の中にも、不満を感じている者が現れている。
人間の同士討ちは加速するだろう。
このままでは滅びてしまう。
まるで、死に至る病だ。
「はあ」
ため息をついて、背もたれに体重を預ける。
目を瞑ると、妻や愛しい我が子の顔が浮かぶ。
しかしその奥には、あの時の魔王の顔が見える。
見えてしまう。
それを払うように頭を横に振り、指で目頭を数秒押さえる。
もう一つため息をつき、上着を羽織って、悪の親玉は部屋を後にした。
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