腐女子がオフ会で知り合ったのは腐男子でした

和泉 花奈

文字の大きさ
2 / 92
episode1.それはSNSから始まった…

1話-②

待ち合わせの時間よりも、五分前に着いてしまった。
辺りを見渡してみたが、美咲さんらしき人は見当たらなかった。
もしかして、ドタキャン?やっぱり無理ですとか有り得るかも…。
心配になり、一応、美咲さんに連絡してみた。

《先に着いたけど、美咲さんは今、どこにいるの?》

まだ電車の中かな?そうだと思いたい。来ないとかいうパターンではありませんように…。
ピロリン~♪…と、メッセージが届いた音が鳴った。指でタップし、開いてメッセージの内容を見た。

《もう着いた。今、目の前を見て?》

目の前…?恐る恐る顔を上げて周りを見渡して見たが、美咲らしき人なんていなかった。
だって今、私の目の前に居るのは男性だ。美咲さんは女性だもん。この男性なわけがない。

もしかして美咲さん、私をからかってるのかな?
着いたと見せかけて、本当はまだ電車の中とか…。
まさかこの男性のわけがないよね。
もしかして、美咲さんの代わりにこの男性がやって来たとか?
美咲さん、やっぱり美人さんだったのか。こんなにイケメンな彼氏と付き合ってるなんて、羨ましい。
彼氏がいるなら、早く教えてほしかったなぁ…。

…って、呑気なことを言ってる場合ではない。まず、この状況を把握するところから始めないと。
えっと、まず私は美咲さんの秘密を知るためにここへやって来た。
まだ来ていないと思い、メッセージを送ってみたら、本人から直接、今、目の前に居るというメッセージが着た。
そして、私の目の前には今、男性がいる…。
ってことはやっぱり、もしかして……。

「茜ちゃん…だよね?俺、美咲」

気のせいなんかじゃなかった。紛れもない本人であった。

「あれ?間違えた?すみません、人違いでした」

私の脳は思考停止した。いや、何も考えたくないといった方が正解である。
ピロリン~♪…またメッセージが届いた。停止された頭を、無理矢理叩き起こしながら、メッセージを開いた。

《茜ちゃん~、どこ?先に着いてるんじゃなかったの?》

もう現実逃避をしている場合ではないと悟った。
目の前の彼が、私とずっとメッセージのやり取りを交わしてきた相手だと受け入れるしかなかった。

「あの、さっきは無視してごめんなさい。私が茜です…」

無視したことを美咲さん、いや、美咲くんに謝罪した。
美咲くん、怒ってないといいな。どうか怒っていませんように。

「茜ちゃんに会えて嬉しい。初めまして、美咲です。改めてよろしくね」

まだどこか認められない自分がいた。受け入れようとすればするほど、現実が辛く思えた。

「俺のこと、ずっと女の子だと思ってたよね?」

そりゃもう名前からして、どう考えても女の子にしか思えなかった。

「騙していたわけじゃないけど、結果的に騙してたみたいな形になっちゃって、ごめんね。
もし宜しければ、お茶しながらでもいいので、俺の話を聞いてくれませんか?」

彼の言う通り、結果的には騙していたことに変わりないが、どこか悪い人には思えなかった。
それに今までよくしてもらってきた恩がある。その恩を無駄にはしたくなかった。
美咲さんが男性だったからというだけで、ここで私が帰ってしまえば、美咲さん元い美咲くんを傷つけてしまうことになる。
彼を傷つけてしまいたくはなかったので、彼の話を聞くことにした。

「分かりました。とりあえず話を聞きます。
ですが、嘘偽りなく全てお話して頂くことが条件になりますが、それでも宜しいですか?」

これが私なりの最大限の譲歩であった。この条件を受け入れて貰えなかった場合は、全てなかったことにして帰ることにする。
私だってそこまでお人好しではない。時間が有り余っているわけではないのだから、いつまでも彼の我儘には付き合ってはいられない。
冷たい人間だと思われるかもしれないが、人間関係なんてこんなものだと思う。

もしかしたら、私は今日、これまで積み上げてきたものを全て失うことになるかもしれない。
そうなってしまった場合は、アカウントを削除し、新しく作り直せばいいだけのことである…。

「茜ちゃんに嫌われたくないから、全てお話します。
もちろん、最初からそのつもりでここに来てるので…」

どうやら、全てを失う道は閉ざされたみたいで、少し安心した。

「よかったです。その覚悟があるみたいで」

「じゃなきゃ、ここに来てませんよ。
俺に付いてきてください。近くに良いお店があるので」

彼の話を聞くために、彼のおすすめのカフェへと移動することになった。


         *


「お待たせ致しました、カプチーノのです。
ご注文の品は全て揃っておりますでしょうか?ごゆっくりどうぞ」

運ばれてきたコーヒーを一口飲み、互いに心を落ち着かせた。
今から美咲くんの秘密を聞くため、心の準備が必要だからである。
まぁ、どう考えても男であることが秘密だと思うが…。

「今日はありがとうございます。俺のためにわざわざここまで足を運んで頂いて…」

基本的には礼儀正しい人だということが分かった。
バツの悪そうな顔をしていたので、どうやら自分が悪いことをしたという自覚はあるみたいだ。
自覚がないよりかは、まだマシではあるが…。

「それでその、あなたの秘密ってやっぱり…」

「ごめんなさい。騙すつもりはなかったんです。名前が名前だけあって、性別を聞かれる前にいつも勝手に女性だと勘違いされることが多くて…」

確かに名前だけを見たら、女性としか思えない。
もしこれで偽名だったら、確信犯に違いなかったが、どうやら偽名ではないみたいで安心した。
まさか美咲という名前で男性だとは思わない。
これからは、名前だけで勝手に性別を決めつけてしまうのは気をつけようと心に誓った。

「性別を聞かなかった私にも落ち度があると思います。
ですが、最近では男性でもBLや乙女系ジャンルを好きな方も増えてきたので、プロフィールに性別を明記されてる方もいらっしゃるかと思うのですが…」
感想 0

あなたにおすすめの小説

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

幼馴染みのメッセージに打ち間違い返信したらとんでもないことに

家紋武範
恋愛
 となりに住む、幼馴染みの夕夏のことが好きだが、その思いを伝えられずにいた。  ある日、夕夏のメッセージに返信しようとしたら、間違ってとんでもない言葉を送ってしまったのだった。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041