16 / 92
episode3.過去の話
3話-③
「それじゃ、まずはまんがだらけに行く?」
前回行ってみようとしていたお店だ。
ちなみにまんがだらけは、主に新品の同人誌から中古の同人誌や漫画、ドラマCD、グッズなどを取り扱っている。
また最近では三次元のアイドルグッズなんかも買い取りを始め、お店にもアイドルグッズが陳列されている。
「行く!絶対行く!一度でいいから行ってみたかったんだよね…」
ヲタクなら誰しもが憧れるまんがだらけ。一度でいいからという気持ち、とてもよく分かる。
「一度なんて言わずに、これから何度でも一緒に行こうよ?まだまだこれから先も買いたい物がたくさんあると思うから、美咲くんと一緒に行けたら嬉しいな…」
もっと美咲くんとヲタ活を一緒にしたいという思いが溢れ出てしまった。
重いって思われちゃったかな?たかが友達なのに、縛るみたいな言い方はよくなかったなと反省した。
「いや、その…もちろん、これからも茜ちゃんと一緒に行くつもりでいるよ?
上手く言えないんだけど、言葉の綾というか、俺さ腐男子であることを受け入れて貰えなかったことが長いから、つい一人で楽しむ癖?みたいなのがあって…」
今まで美咲くんの身に降りかかったことを考えてみれば、極当然の楽しみ方である。
それに男性が一人で女性向けのショップに行くのは、玄人でもかなりハードルが高いことだと思う。
私がもし、逆の立場であったら、絶対にお店に足を運べないと思うので、通販でなんとかしようと考えるはず…。
美咲くんも今まで通販で頑張ってきたからこそ、出た言葉だったのだと思う。
それにマジレスする必要なんてなかったのかもしれない。
それでも、美咲くんとはずっと一緒にヲタ活をやっていきたいという思いが上手く止められなかった。
「なんかごめんね。思わず呟いた心の叫びみたいなものを遮ちゃって…」
私ってどうしていつもこう間が悪いのだろうか。
こういうことをもう繰り返したくはないはずなのに、どうもなかなか上手くいかないことが多い。
もしかして、私って空気が読めないのかな?仮にそうだとしたら、そんな自分にとても落ち込みそうになった。
「ううん。嬉しいよ。俺のことを友達だと思ってくれていることが…」
当たり前な幸せとは、近くにありそうでなかなか手に入れることができない。
美咲くんはやっと手にすることができた。
だからこそ、この言葉をもらえたことがとても嬉しかったのかもしれない。
「だからありがとう。そう言って貰えてすげー嬉しい」
美咲くんが言葉にして伝えてくれたのだから、私もちゃんと自分の気持ちを伝えてみようと思う。
「当たり前じゃん。私にとって美咲くんはもう大切なお友達だからね」
一瞬、美咲くんが悲しい表情を浮かべた。私はそれが気になって仕方がなかったが、この場は触れないでおく方がいいと思い、見なかったことにした。
「俺も茜ちゃんはとても大切なお友達だよ」
「私もそう言ってもらえて凄く嬉しいよ。ありがとう美咲くん」
なんだか胸が少しモヤモヤした。大切なお友達だと言われて嬉しいはずなのに、元カノの綾香さんとつい比べてしまう自分がいた。
元カノと比べたって仕方がないのに…。もう既に終わっていることだ。それでももし、二人の間にある誤解が解けたら、元サヤに戻ってしまうのではないかという焦りも少しある。
もう美咲くんには一切、元カノさんへの想いは見受けられないが、元カノさんには見え隠れする。
これは女の勘だ。いくら恋愛事から遠ざかっている私でも、見ていれば彼女の気持ちくらい分かる。
分かっていないのは多分、美咲くんだけだと思う。それが私のモヤモヤを加速させるのであった。
「…なんか照れるな。恥ずかしい……」
恥ずかしがる美咲くんにイライラしてしまう。なんでこんなにさっきからイライラいしているのだろうか。
たかが最近仲良くなった友達の元カノが現れただけなのに。自分より友達のことを知っていることがそんなにも嫌だと感じる自分がいるなんて思いもしなかった。
「とりあえず、まんがだらけにまずは行こうか」
「そうだな。早速行こう」
いつまでもイライラしていたくはないので、気分を変えてみることにした。
好きなものに触れれば、きっと嫌なことも吹き飛ばしてくれそうな気がした。
*
「ここがまんがだらけなのか…。すげー。同人誌がたくさんある」
美咲くんは初めてのまんがだらけにとても感動していた。確かにまんがだらけは同人誌がたくさんある。
中古商品をたくさん扱っているため、手に入りづらい商品もここならあることが多い。
しかし、プレミアム価値がつけられているものに関してはショーケースに飾られているため、値段を確認せずともお高いのだと察しがつく。
「そこまで値段が高くない奴は棚に陳列されている方だから、こっちは手頃な価格だよ」
この店に何度も足を運んでいるが、今までショーケースの商品をお買い上げしたお客さんは見たことがない。
今日もきっと見ないことであろう。結局、いくら貢ぐヲタクでも値段によっては手を伸ばせないのであった。
「…本当だ。さっき入口の近くにあったショーケースとは大違いだな」
あれは特別だ。こっちは庶民向けである。
「まぁ、基本中古ショップだからね。近くに新刊もあるから、あとで店内を探ってみて」
一応、美咲くんのリベンジではあるが、今日の私はただの付き添いではない。
目的のモノがちゃんとある。それを今日は探しに来たのであった。
「分かった。あとで探してみるよ。ここまで案内してくれてありがとう。俺も探したい同人誌があるから、お互いに会計が終わったら合流しよう」
店内はそこまで広くはないので、店内で別々になる分には問題ない。
というか、その方がこちらとしては助かる。今更どんな本を読んでいるのかとかバレても支障はないが、せっかく美咲くんもやってきたので、ゆっくりしてほしいという気持ちもある。
しかし、美咲くんは大丈夫なのだろうか。確か一人で来られないから、私と一緒に来てほしかったはず…。
「でも大丈夫なの?一人で店内うろついても…」
「今はなんか大丈夫な気がする。お宝探しという名目があるから」
人はほしいものがあると、目が眩むのだと知った。
「それに俺も乙女ロードは二回目だから、少し慣れてきたところもあるかもしれない」
人間慣れればこんなものと思えてくる瞬間がある。どうやら、美咲君が慣れてくれたみたいで嬉しかった。同時に少し寂しくもあった。
「分かった。じゃ、居づらくなったら私を探してくれればいいから」
ここは一旦、一人にしてみようと思う。
あまり過保護すぎても美咲くんに嫌われてしまうかもしれないので、そこは適度な距離を保つことにした。
「そうなった時はそうさせてもらうよ。それじゃまた後で」
早速、別行動開始。私はまず、アイスマ関連の同人誌を探すことにした。
実はずっとアイスマのキャラクターというより、声優さんで掛け算をしていた。
私が声優さんでかけ算をするようになったきっかけは、最近和真様と翔くんがセットになることが多いからである…。
ちなみに翔くんは私が大好きな瑞輝様を演じている漣 千秋くんと同期だということが最近発覚し、千秋くんとの組み合わせも少しずつ増えてきている…。
それにしても、やはり和真様と翔くんの組み合わせの数は多すぎるのではないかと思う程である。
さすが事務所はよく分かっていらっしゃる。慧斗様と理人様を演じている和真様と翔くんをセット売りにすれば、どれだけファンが沼に落ちていくかということを…。
もはやこれは……青井プロダクション(翔くんと和真様と千秋くんが所属している事務所)の罠という名の策略なのではないかと私は考えている。
私がこの罠に落ちてしまったそもそもの原因は、アイスマにはラジオがあり、各グループ毎に担当パーソナリティがいて、KINGの担当パーソナリティが和真様と翔くんなのである。
そのラジオ内で翔くんはやたらと和真様を褒める。あれは完全に和真様に惚れているに違いない。
なんて腐女子に勘違いさせるほど、異常な愛を感じてしまったのであった。
それからアイスマファンの間ではもう…慧斗様×理人様という構図が浮かんでいる。
ちなみに中の人になると何故か逆転する。私は中の人ならどちらが受けでも攻めでも可なので、リバでもオッケーだ。
私の話なんてこの際、どうでもいい。今、大事なのは翔くんの気持ちがこの先、成就されるかどうかである。
和真様には女性との噂もある。まぁ、噂に過ぎないといえば、噂に過ぎないわけだが…。
とある少女漫画原作の作品がアニメ化した際、お相手役の森 麗華様とお付き合いしているのではないかという噂があった。
正確には付き合っていてほしいという方が正しいが…。それでもそういった噂があったので、翔くんの恋は実らない可能性もあるということだ。
可哀想な翔くん…。叶わない恋と知りながらも、めげずに彼を想い続けるなんて…。
ちなみに私的にも和真様は森 麗華様とお似合いだと思っている。もし、本当に付き合っていたとしたら…なんて、少し考え過ぎか。
話を元に戻そう。とりあえず、慧斗様×理人様の同人誌があればいいなと思って探しに来たのであった。ついでに中の人のもあればいいなと思う。
大事なことなのでもう一度ちゃんと言おう。あくまでついでにあればという程度である。
店内は狭いが、同人誌の数が半端ないのが乙女ロードにあるまんがだらけ。探すのに一苦労である。
アイスマは最新コンテンツなため、比較的に新刊コーナーに多くあるはずだろう。
それでも既にもうたくさん出している人もいるため、もしかしたら…と思ってしまうのがヲタクなのである。
まずは新刊コーナーからチェックしてみようと思う。
昔は新刊コーナーが入り口の近くにあったのだが、最近奥の方に移動したので、奥の方まで足を進めてみた。
やっぱり私の読みは当たった。新刊コーナーにはたくさんのアイスマ関連の同人誌が入荷されていた。
何故、私がそう思ったのかというと、最近、同人誌即売会イベントが行われたばかりだった。
ちょうど偶然、そんな時期にゲーム内イベントと同人誌のイベントが重なった。
ということはつまり、アイスマ関連の同人誌を描いた作家様が多いのではないかと、予め予想することができたというわけだ。
ちょっぴり嬉しかった。少し前まではアイスマ関連の同人誌は少なかった。
今、こうしてたくさんの人に愛してもらえるコンテンツになったのだと思うと、アイスマも成長したなと考え深く思うのであった。
まだアニメ化はしていないが、最近では手頃にやりやすいアプリゲームが人気になることが多い。
それだけスマホの普及は凄いということである。今じゃスマホを持っていない人の方が少ないくらいなわけだが…。
でもまさか同人誌がここまでたくさんあるとは思ってもみなかったので驚いた。
こんなにたくさんあるのならば仕方ない。ここは思い切って奮発してみようと思う。
いっぱいある同人誌の中から、まずはお目当てのカップリングがないか探してみることにした。
……ん?確かアイスマってグループが六つあるはず。それなのにも関わらず、同人誌になるキャラクターは偏っていた。
しかも半分以上がKINGのキャラクターで、その殆どが慧斗様と理人様と颯斗様ばかりだった。
慧斗様×理人様が圧倒的に多いが、中には颯斗様×理人様派の人も多いみたいだ。
ぶっちゃけ私的にはどちらもアリだ。
しかし、翔くんの和真様に向ける愛情を目の当たりにしてしまった私にはもう、慧斗様×理人様でしか見られないのであった。
これはもはやKINGの圧倒的人気っぷりを見せつけられたような気持ちになった。
それもそうである。KINGには和真様だけではなく、もう一人人気声優の一ノ瀬 廉様がいるのだから。
ちなみに一ノ瀬 廉様はKINGの皇 健人様を演じている。
廉様の声はセクシーボイスなのが特徴で、そのセクシーボイスで世の女性を虜にする大人気声優様だ。
ちなみに健人様もセクシー系で、チャラ男担当という属性を持っている。
イケメンならチャラ男でも許せるのが女性の心情なのであった。
廉様だけではなく、他にも三千院 郁人様を演じる桐ケ谷 修司くんもいる。
修司くんは翔くんとほぼ同時期にデビューした声優さんで、彼も今、翔くんと同様、駆け出しの新人声優さんである。
アイスマに出ている声優さんはイケメン声優様が多い。それに実力もちゃんと兼ね備えている方々ばかりなので、本当に世の中は一体どうなっているのかよく分からない状態だ。
イケメンといえば、うちにもイケメンが一人いる。うちの腐男子イケメンくんは今、どんな同人誌を漁っているのか気になってしまった。
ここにいないということは、アイスマ関連ではないということであろう。
私だってアイスマだけではない。他にも欲しい同人誌の一つや二つくらいある。
ここで張り合っても仕方がないのだが、てっきり美咲くんもアイスマの同人誌が欲しいのかと思っていたのだが、どうやら違ったみたいだ。
これはこの後、カフェに行ってとっちめてやるしかない。イケメンの性癖が知りたくて仕方がない腐女子なのであった。
前回行ってみようとしていたお店だ。
ちなみにまんがだらけは、主に新品の同人誌から中古の同人誌や漫画、ドラマCD、グッズなどを取り扱っている。
また最近では三次元のアイドルグッズなんかも買い取りを始め、お店にもアイドルグッズが陳列されている。
「行く!絶対行く!一度でいいから行ってみたかったんだよね…」
ヲタクなら誰しもが憧れるまんがだらけ。一度でいいからという気持ち、とてもよく分かる。
「一度なんて言わずに、これから何度でも一緒に行こうよ?まだまだこれから先も買いたい物がたくさんあると思うから、美咲くんと一緒に行けたら嬉しいな…」
もっと美咲くんとヲタ活を一緒にしたいという思いが溢れ出てしまった。
重いって思われちゃったかな?たかが友達なのに、縛るみたいな言い方はよくなかったなと反省した。
「いや、その…もちろん、これからも茜ちゃんと一緒に行くつもりでいるよ?
上手く言えないんだけど、言葉の綾というか、俺さ腐男子であることを受け入れて貰えなかったことが長いから、つい一人で楽しむ癖?みたいなのがあって…」
今まで美咲くんの身に降りかかったことを考えてみれば、極当然の楽しみ方である。
それに男性が一人で女性向けのショップに行くのは、玄人でもかなりハードルが高いことだと思う。
私がもし、逆の立場であったら、絶対にお店に足を運べないと思うので、通販でなんとかしようと考えるはず…。
美咲くんも今まで通販で頑張ってきたからこそ、出た言葉だったのだと思う。
それにマジレスする必要なんてなかったのかもしれない。
それでも、美咲くんとはずっと一緒にヲタ活をやっていきたいという思いが上手く止められなかった。
「なんかごめんね。思わず呟いた心の叫びみたいなものを遮ちゃって…」
私ってどうしていつもこう間が悪いのだろうか。
こういうことをもう繰り返したくはないはずなのに、どうもなかなか上手くいかないことが多い。
もしかして、私って空気が読めないのかな?仮にそうだとしたら、そんな自分にとても落ち込みそうになった。
「ううん。嬉しいよ。俺のことを友達だと思ってくれていることが…」
当たり前な幸せとは、近くにありそうでなかなか手に入れることができない。
美咲くんはやっと手にすることができた。
だからこそ、この言葉をもらえたことがとても嬉しかったのかもしれない。
「だからありがとう。そう言って貰えてすげー嬉しい」
美咲くんが言葉にして伝えてくれたのだから、私もちゃんと自分の気持ちを伝えてみようと思う。
「当たり前じゃん。私にとって美咲くんはもう大切なお友達だからね」
一瞬、美咲くんが悲しい表情を浮かべた。私はそれが気になって仕方がなかったが、この場は触れないでおく方がいいと思い、見なかったことにした。
「俺も茜ちゃんはとても大切なお友達だよ」
「私もそう言ってもらえて凄く嬉しいよ。ありがとう美咲くん」
なんだか胸が少しモヤモヤした。大切なお友達だと言われて嬉しいはずなのに、元カノの綾香さんとつい比べてしまう自分がいた。
元カノと比べたって仕方がないのに…。もう既に終わっていることだ。それでももし、二人の間にある誤解が解けたら、元サヤに戻ってしまうのではないかという焦りも少しある。
もう美咲くんには一切、元カノさんへの想いは見受けられないが、元カノさんには見え隠れする。
これは女の勘だ。いくら恋愛事から遠ざかっている私でも、見ていれば彼女の気持ちくらい分かる。
分かっていないのは多分、美咲くんだけだと思う。それが私のモヤモヤを加速させるのであった。
「…なんか照れるな。恥ずかしい……」
恥ずかしがる美咲くんにイライラしてしまう。なんでこんなにさっきからイライラいしているのだろうか。
たかが最近仲良くなった友達の元カノが現れただけなのに。自分より友達のことを知っていることがそんなにも嫌だと感じる自分がいるなんて思いもしなかった。
「とりあえず、まんがだらけにまずは行こうか」
「そうだな。早速行こう」
いつまでもイライラしていたくはないので、気分を変えてみることにした。
好きなものに触れれば、きっと嫌なことも吹き飛ばしてくれそうな気がした。
*
「ここがまんがだらけなのか…。すげー。同人誌がたくさんある」
美咲くんは初めてのまんがだらけにとても感動していた。確かにまんがだらけは同人誌がたくさんある。
中古商品をたくさん扱っているため、手に入りづらい商品もここならあることが多い。
しかし、プレミアム価値がつけられているものに関してはショーケースに飾られているため、値段を確認せずともお高いのだと察しがつく。
「そこまで値段が高くない奴は棚に陳列されている方だから、こっちは手頃な価格だよ」
この店に何度も足を運んでいるが、今までショーケースの商品をお買い上げしたお客さんは見たことがない。
今日もきっと見ないことであろう。結局、いくら貢ぐヲタクでも値段によっては手を伸ばせないのであった。
「…本当だ。さっき入口の近くにあったショーケースとは大違いだな」
あれは特別だ。こっちは庶民向けである。
「まぁ、基本中古ショップだからね。近くに新刊もあるから、あとで店内を探ってみて」
一応、美咲くんのリベンジではあるが、今日の私はただの付き添いではない。
目的のモノがちゃんとある。それを今日は探しに来たのであった。
「分かった。あとで探してみるよ。ここまで案内してくれてありがとう。俺も探したい同人誌があるから、お互いに会計が終わったら合流しよう」
店内はそこまで広くはないので、店内で別々になる分には問題ない。
というか、その方がこちらとしては助かる。今更どんな本を読んでいるのかとかバレても支障はないが、せっかく美咲くんもやってきたので、ゆっくりしてほしいという気持ちもある。
しかし、美咲くんは大丈夫なのだろうか。確か一人で来られないから、私と一緒に来てほしかったはず…。
「でも大丈夫なの?一人で店内うろついても…」
「今はなんか大丈夫な気がする。お宝探しという名目があるから」
人はほしいものがあると、目が眩むのだと知った。
「それに俺も乙女ロードは二回目だから、少し慣れてきたところもあるかもしれない」
人間慣れればこんなものと思えてくる瞬間がある。どうやら、美咲君が慣れてくれたみたいで嬉しかった。同時に少し寂しくもあった。
「分かった。じゃ、居づらくなったら私を探してくれればいいから」
ここは一旦、一人にしてみようと思う。
あまり過保護すぎても美咲くんに嫌われてしまうかもしれないので、そこは適度な距離を保つことにした。
「そうなった時はそうさせてもらうよ。それじゃまた後で」
早速、別行動開始。私はまず、アイスマ関連の同人誌を探すことにした。
実はずっとアイスマのキャラクターというより、声優さんで掛け算をしていた。
私が声優さんでかけ算をするようになったきっかけは、最近和真様と翔くんがセットになることが多いからである…。
ちなみに翔くんは私が大好きな瑞輝様を演じている漣 千秋くんと同期だということが最近発覚し、千秋くんとの組み合わせも少しずつ増えてきている…。
それにしても、やはり和真様と翔くんの組み合わせの数は多すぎるのではないかと思う程である。
さすが事務所はよく分かっていらっしゃる。慧斗様と理人様を演じている和真様と翔くんをセット売りにすれば、どれだけファンが沼に落ちていくかということを…。
もはやこれは……青井プロダクション(翔くんと和真様と千秋くんが所属している事務所)の罠という名の策略なのではないかと私は考えている。
私がこの罠に落ちてしまったそもそもの原因は、アイスマにはラジオがあり、各グループ毎に担当パーソナリティがいて、KINGの担当パーソナリティが和真様と翔くんなのである。
そのラジオ内で翔くんはやたらと和真様を褒める。あれは完全に和真様に惚れているに違いない。
なんて腐女子に勘違いさせるほど、異常な愛を感じてしまったのであった。
それからアイスマファンの間ではもう…慧斗様×理人様という構図が浮かんでいる。
ちなみに中の人になると何故か逆転する。私は中の人ならどちらが受けでも攻めでも可なので、リバでもオッケーだ。
私の話なんてこの際、どうでもいい。今、大事なのは翔くんの気持ちがこの先、成就されるかどうかである。
和真様には女性との噂もある。まぁ、噂に過ぎないといえば、噂に過ぎないわけだが…。
とある少女漫画原作の作品がアニメ化した際、お相手役の森 麗華様とお付き合いしているのではないかという噂があった。
正確には付き合っていてほしいという方が正しいが…。それでもそういった噂があったので、翔くんの恋は実らない可能性もあるということだ。
可哀想な翔くん…。叶わない恋と知りながらも、めげずに彼を想い続けるなんて…。
ちなみに私的にも和真様は森 麗華様とお似合いだと思っている。もし、本当に付き合っていたとしたら…なんて、少し考え過ぎか。
話を元に戻そう。とりあえず、慧斗様×理人様の同人誌があればいいなと思って探しに来たのであった。ついでに中の人のもあればいいなと思う。
大事なことなのでもう一度ちゃんと言おう。あくまでついでにあればという程度である。
店内は狭いが、同人誌の数が半端ないのが乙女ロードにあるまんがだらけ。探すのに一苦労である。
アイスマは最新コンテンツなため、比較的に新刊コーナーに多くあるはずだろう。
それでも既にもうたくさん出している人もいるため、もしかしたら…と思ってしまうのがヲタクなのである。
まずは新刊コーナーからチェックしてみようと思う。
昔は新刊コーナーが入り口の近くにあったのだが、最近奥の方に移動したので、奥の方まで足を進めてみた。
やっぱり私の読みは当たった。新刊コーナーにはたくさんのアイスマ関連の同人誌が入荷されていた。
何故、私がそう思ったのかというと、最近、同人誌即売会イベントが行われたばかりだった。
ちょうど偶然、そんな時期にゲーム内イベントと同人誌のイベントが重なった。
ということはつまり、アイスマ関連の同人誌を描いた作家様が多いのではないかと、予め予想することができたというわけだ。
ちょっぴり嬉しかった。少し前まではアイスマ関連の同人誌は少なかった。
今、こうしてたくさんの人に愛してもらえるコンテンツになったのだと思うと、アイスマも成長したなと考え深く思うのであった。
まだアニメ化はしていないが、最近では手頃にやりやすいアプリゲームが人気になることが多い。
それだけスマホの普及は凄いということである。今じゃスマホを持っていない人の方が少ないくらいなわけだが…。
でもまさか同人誌がここまでたくさんあるとは思ってもみなかったので驚いた。
こんなにたくさんあるのならば仕方ない。ここは思い切って奮発してみようと思う。
いっぱいある同人誌の中から、まずはお目当てのカップリングがないか探してみることにした。
……ん?確かアイスマってグループが六つあるはず。それなのにも関わらず、同人誌になるキャラクターは偏っていた。
しかも半分以上がKINGのキャラクターで、その殆どが慧斗様と理人様と颯斗様ばかりだった。
慧斗様×理人様が圧倒的に多いが、中には颯斗様×理人様派の人も多いみたいだ。
ぶっちゃけ私的にはどちらもアリだ。
しかし、翔くんの和真様に向ける愛情を目の当たりにしてしまった私にはもう、慧斗様×理人様でしか見られないのであった。
これはもはやKINGの圧倒的人気っぷりを見せつけられたような気持ちになった。
それもそうである。KINGには和真様だけではなく、もう一人人気声優の一ノ瀬 廉様がいるのだから。
ちなみに一ノ瀬 廉様はKINGの皇 健人様を演じている。
廉様の声はセクシーボイスなのが特徴で、そのセクシーボイスで世の女性を虜にする大人気声優様だ。
ちなみに健人様もセクシー系で、チャラ男担当という属性を持っている。
イケメンならチャラ男でも許せるのが女性の心情なのであった。
廉様だけではなく、他にも三千院 郁人様を演じる桐ケ谷 修司くんもいる。
修司くんは翔くんとほぼ同時期にデビューした声優さんで、彼も今、翔くんと同様、駆け出しの新人声優さんである。
アイスマに出ている声優さんはイケメン声優様が多い。それに実力もちゃんと兼ね備えている方々ばかりなので、本当に世の中は一体どうなっているのかよく分からない状態だ。
イケメンといえば、うちにもイケメンが一人いる。うちの腐男子イケメンくんは今、どんな同人誌を漁っているのか気になってしまった。
ここにいないということは、アイスマ関連ではないということであろう。
私だってアイスマだけではない。他にも欲しい同人誌の一つや二つくらいある。
ここで張り合っても仕方がないのだが、てっきり美咲くんもアイスマの同人誌が欲しいのかと思っていたのだが、どうやら違ったみたいだ。
これはこの後、カフェに行ってとっちめてやるしかない。イケメンの性癖が知りたくて仕方がない腐女子なのであった。
あなたにおすすめの小説
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
幼馴染みのメッセージに打ち間違い返信したらとんでもないことに
家紋武範
恋愛
となりに住む、幼馴染みの夕夏のことが好きだが、その思いを伝えられずにいた。
ある日、夕夏のメッセージに返信しようとしたら、間違ってとんでもない言葉を送ってしまったのだった。
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041