腐女子がオフ会で知り合ったのは腐男子でした

和泉 花奈

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episode7.クリスマスデート

7話-③

「それじゃ、今日は奢られてみようかな。ありがとう。頂きます」

「どういたしまして。それじゃ、一口飲もっか」

同時に一緒に一口飲んだ。美味しい。さすが人気チェーン店だ。

「美味しいね…」

「あぁ、美味しいな」

味だけじゃなく、匂いまで良い。匂いまで堪能できるのが、お店で飲む醍醐味である。

「そういえば、美咲くんは何を飲んでるの?」

「俺はホットコーヒー。コーヒーが好きなんだ」

コーヒーもお店で飲むと美味しい。家で飲むのとは匂いも味も全然違う。

「コーヒーも美味しいよね。今度、来る時はコーヒー飲もうかな」

「いいよ。コーヒーおすすめ。今度、また一緒にデートで来ようよ」

さり気なくデートに誘われてしまった。また一緒に…か。
今はまだデートという甘い雰囲気には慣れないが、いつしか慣れる日が訪れるかもしれない。
そんな日がいつか訪れる未来を想像しながら、一緒にコーヒーを飲む姿が頭に思い浮かんだ。

「うん、そうだね。またデートで来ようっか」

すると、美咲くんの顔は一気に真っ赤になり、照れた表情を浮かべていた。

「話変わるけど、もうすぐ冬コミだな」

美咲くんから話題を振ってきたくせに、恥ずかしくなり、さり気なく話題をすり替えた。
そんな美咲くんを微笑ましく思いつつ、話題をコミケへと転向させた。

「そうだね。あと数日後にもう冬コミが始まるね。今回も楽しみだな。
そういえば、冬コミも綾香が誘ってくれたね」

「そういえば、そうだったな。アイツのそういうところは見習いたいところだな」

確かに綾香のそういうところは、見習いたいところである。

「うん、本当見習いたいところだよ」

「俺は前回の夏コミがコミケ初参加だったから、今回の冬コミでコミケ自体は二度目の参加になるけど、冬コミ自体は初めてだな…」

美咲くんは私達と一緒に参加するまで、コミケに参加したことがなかった。
だからこそ、私達の中で誰よりもコミケに対する想いが熱い。
またこうして、美咲くんと綾香と一緒に参加できて嬉しい。これからもずっと参加し続けられるといいなと思った。

「冬は夏より気候的には楽だけど、参加者の熱量は夏に劣らないよ」

「マジか。激アツじゃねーか」

「激アツだよ。やばいよ。冬もなめたらアカンで」

「何故、急に関西弁?まぁ、ええけど」

「美咲くんも関西弁になってるよ?」

「あ…本当だ。俺らおかしいよな。参加するのコミケだから、大阪じゃないのにな…」

コミケはビックサイトで開催されるため、東京で行われている。
しかし、大阪にもコミケに負けないくらい大きな同人イベントが開催されている。

「確かに。そういえば、大阪にも大きな同人イベントがあるよね」

「あー…大阪でもやってるよな」

「たまにさ、大阪は参加するけど、東京には参加しませんって方もいてさ、欲しいのに買えないってことない?」

「ある!俺はあなたの同人誌が欲しいんですって、何度思ったことか…」

「そういう場合、通販だよね」

「通販だな。通販があるお陰で、すげー助けられてるよな」

「分かる。通販にめちゃくちゃ助けられてるよね。
ねぇ、美咲くんはもう冬コミ何買うか決めてる?」

なんとなく目星は既に付けているが、ギリギリまで粘ろうと思い、まだ買い物リストを作成できていない。
というのも、ギリギリで情報を発表する人もいるため、できるだけ最後の最後まで待機しているようにしている。これも長年の経験から学んだことである。

「ある程度は決めてるかな。また欲しい同人誌とサークルさん、被るかもね」

「そうかもね。私達、好みが似てるから」

「なぁなぁ、被ったらまた一緒に並ぼうぜ」

前回のコミケの時とは違う。自分に好意がある男性に、自分の性癖を暴露しているようなものだ。
この女、破廉恥な女とか思われていないだろうか。
そもそも美咲くんはそんなこと思わないと思うが、そう思われているのではないかと想像してしまう自分が恥ずかしい。
もう…。せっかく意識しないようにしてくれているというのに、私が意識してどうすんのよ。

「うん、いいよ…」

恥ずかしさを隠すかのように返事をした。きっと意識していることがバレバレだったと思う。
寧ろ意識しない方が難しい。嫌いな人ならまだしも、人として、友達として、好きな人だから。
だからこそ、今の関係が変わってしまうことをずっと恐れていた。

でも、綾香に彼氏ができて、少しずつ私達の関係の在り方が変わってきた。
ずっと変わらないままでいる方が難しい。いつか変わる時がやってくる。
だから、私も変わることへの覚悟を持たなくてはならない。
少しずつだけど、今の現状を受け入れて、前へ進もうと思う。

「なぁ、茜はもう買い物リスト作った?」

気づいてはいるだろうけど、敢えて気づいていないふりを続けてくれた。
美咲くんの優しさに胸がドキドキしている。

「ぼちぼちかな。これからまだ増えそうだし…」

「そっか。ある程度のところで落ち着いたら教えて。どれぐらい被ってるのか気になるから」

実際、私もどれぐらい被っているのか気になる。
しかし、今、この状況で言われてしまうと、変に意識してしまうのであった。

「分かった。写真に撮って送ればいい?」

「文章でも、写真でも、どちらでも大丈夫。茜の送りやすいやり方でいいので」

そう言ってもらえると、こちらとしては助かる。
そうなると、写真かスマホ内のメモ帳機能があり、それにもメモする予定なので、そちらのメモのスクショでも送ろうと思う。

「分かった。その時の自分のやりたいやり方で送るね」

「お願いします。あとあのさ、また幸子先生のサークルに足を運びたいんだけど、一緒に行かないか?」

きっと慎重に聞いてくれるのは、私がこれまで先輩に対して感じていた問題があったから。
今はもう大丈夫なことももちろん、美咲くんは知ってはいるが、一応、年のために確認してくれたのであろう。
こういう優しいところが美咲くんらしくて、好きなところだなと改めて思い知らされた。

「もちろん。私も先輩に会いたいから、先輩のサークルに行きたいなって思ってたところ」

「それじゃ、一緒に行こう。今から楽しみだな」

「うん、楽しみだね」

それから暫くの間、君贈の話や色んなアニメの話で盛り上がった。
たくさん語ったので、今度は某アニメショップで買い物することになった。
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