【本編完結済】底辺αは箱庭で溺愛される

認認家族

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体調がおかしい。少し熱っぽい。
考えたくはないが、おそらくはヒートが近いのだろう。
怖い。

コンちゃんはこんな時間を三か月に一度過ごしていたのか。か弱いとずっと思っていたΩへの認識が変わった。

『違うの、陸。あなたはずっとαとしてやってきたから余計につらいと思う。はじめからΩであることを受け入れた私たちとは違う。』
『コンちゃん、でも君もΩという姓に絶望していたじゃない?』
『そうだね。でも……女だったから。まだね。陸……大丈夫?』
無理、なんて言えなかった。守りたいと思った女性がこなしてきた試練を、俺が耐えられないなんて、言えやしない。
『大丈夫。ありがとう。』
…………誰か、誰か。
俺が俺じゃなくなる!助けてくれ!


最近猪瀬が俺を抱きしめてくる。俺のヒートフェロモンが漏れているのだろう、そう思っていたのだが。
『来週からアメリカ出張に行ってくる予定だ。』
何を馬鹿なことを、自分だけ逃げるのか。安全なところから俺のヒートが終わるのをやり過ごすつもりなのか!
そう思って睨んだけど何の効果もなかった。というより、猪瀬は俺のヒートが近いことに気が付いていない。
本当に俺たちは事故番……なんだな。

だとすれば、急なアメリカ出張は京極が企んだことなのだろう。今まで京極も猪瀬も長期出張などに行ったことはなかったはずだ。

京極はどうやって俺のヒートが近いことを知ったのだろうか?医者か?奴ならば俺の通っているバース科からカルテを入手する事など簡単なだろう。

何故
何故京極なのか。
本来なら最初に気付くべきは番なのに
……当然か
レイプ被害者が加害者を慮るわけがない。わかってる、俺のこれは単なる甘えだ。
けれど……と思ってしまう。お前は俺の番だろう!と。なんで気が付いてくれないんだと責めたくなってしまう。

俺を気にしてくれるのは京極だけ……。

首をふる。
ヤツが気にするのは当たり前だ。ビッチングするほど俺を欲していたのだから。
俺のα性を殺してまで番にしようとしたのだから。

猪瀬の出張は10日程。完全に俺のヒートが終わってから帰ってくるのか。

一人のヒート。
また抑制剤すらも奪われるのか?
番がいない。
番契約を済ませておきながら、番がいないヒートは未契約の前回よりも辛くなることが予測できる。さらに抑制剤が処方されなかったら、俺はどうなってしまうのか?
体がカタカタと震える。
青島。そう言って、猪瀬が俺を抱き寄せた。猪瀬のフェロモン。
番のフェロモンが俺を包み込み、ささくれ立っている俺の心を少しではあるが、穏やかにしてくれる。ヒートの間こいつのフェロモンは必要だ。

猪瀬が気が付いていないというのであれば俺が直接京極の元へ行きこいつを引き止めるしかないのだ。こいつの休みをもぎ取るしかないのだ。

翌朝、会社へと向かう猪瀬を見送る。病院に行きヒートの日程を確認してきた。少なくとも医者は京極の手先ではなさそうだ。薬ももらった。ただ、ここに書かれてる薬の名前が中身と一致してるかは不明だ
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