【本編完結済】底辺αは箱庭で溺愛される

認認家族

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『あれ以上、陸の中に挿入ない。処方薬だと思って私を使って。』
結局、そういってくれたこいつの手をとった。一度も二度も同じだろうとこいつの手をとった。
でも、そんなことはなかった。

ヒート近くなると京極か、どうしても予定が合わない場合には猪瀬が送り迎えをしてくる。一人で大丈夫なんだが、二人がかりの説得に負けて任せてる。
ある日
『貴嗣様は陸様のヒートの際、この薬を服用なさっています。貴嗣様は私にも秘密で服用されていました。ただ…いづれ陸様も知ることになると思います。ならば、少しでも早い方が陸様によいと判断しました。…貴方は過剰に自分のせいにするから…』
辛そうな表情で猪瀬が俺に薬を渡してきた。
調べてみたらとんでもない副作用があった。京極はこんなものを服用していたのか?
猪瀬の悲痛な顔が思い出される。俺に、この薬をやめさせろと言わせたいのか?それとも俺がヒート中に京極を頼るのをやめろという意味だったのか?
…泣きそうな顔だった。
どうしろと言うのか。

翌日、意図を聞き出そうとしたけれど、猪瀬は来なくて他のSPが臨時できた


ヤツが頓服している薬は一度や二度使用した程度ではおおきな副作用は出ない。けれどヒートの度にこれを常用していたら話は違ってくる。京極の内臓に重大な欠損が生じる。
京極の性格上、問いただせば覚悟の上だと答えるだけだろう。そしてまた、『これを言い訳に、ほかの人を頼らないで』そう言ってくるだろう。

京極と過ごすことで、俺の体調は一気に安定した。
今までは人のヒートの旅に体重を減らしてヨレヨレで出社していた俺が、変わったのだ。
当然、セクハラ野郎達にはいろいろ言われた。『楽しいヒート休暇だったんだろうね』『お肌がツヤツヤでとてもいい時間を過ごしたんだね。』『これとかどう?』『番はいないと言っていたよね。マッチングアプリで探すくらいだったら俺が一緒に過ごしてあげようか?』
……β相手だったら、完全にアウトな言動もΩ相手なら許されるとどうして思えるのだろう。ディルドを見せられた時は気色悪さに吐き気までした。取り敢えず『EDなんですね!これを持ち歩かなきゃなんないなんて大変ですね、早く直ると良いですねED』と大声で言ってやった。その後、ヤツがEDでディルドを持ち歩かないと不安になるらしいという噂が流れた…。ザマァ見ろ。もう一人はケツを触ってきたから、手を捻りあげるふりして小指の骨を折ってやった。ま、これくらいが妥当な仕返しだろう

肌がツヤツヤかは不明だけれど、体調が良いのは確かで……俺も目標へと近づいている。でも、これは京極の犠牲の上に成り立っている。

ちらりとハンドルを握る京極を見る
「どうかした?」
柔らかい笑み……。
でも、コイツは以前より痩せてきている。
…………なんで、なんでそこまで。
いや、分かっている。
コイツは……

「寝る」
「うん、お休み」

寝不足なのは事実だ。
京極は俺に言ってくるだろう、番になって欲しいと。
俺と過ごせるなら己の健康すらもいらないと言ってくる京極。
俺は、どう答えればいいのか……。




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