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架向29
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「行ってきます~」
「行ってらっしゃーい」
父さんがニコニコと笑って言う。
俺も笑って返す。
『死んでも京極の番にはならない』
ねぇ、番契約ってそんなに強烈なの。
門をでると、猪瀬さんも出てきた所だった。
凄く久しぶりに感じる
「おう、今日は早いな」
俺の髪をぐしゃぐしゃした。父さん譲りの髪。
『番さえすれば、青島は文句も言わない。このまま放置しろ。今止めれば、青島が大学を訴える可能性がある』
ねぇ、そんな風に言って父さんを見捨ててたよね。父さんがレイプされていようと気にしてなかった。
なのに……今や父さんの隣に親父が立っている、たったそれだけで傷ついている。
ねぇ、番契約ってそんなに強烈なの。
「うん!今日はやっておきたい事があって!」
笑え笑え。
俺に落ち込む権利など無いのだから。
「感心だな」
にっと笑う猪瀬さん。大人の男って感じ。
グッドエイジャ◯賞とか殿堂入りできそう。……芸能人じゃないからノミネートされたりはしないだろうけど。
そんな大人のオス感を漂わせてる人を俺は……
「どうした?」
首をふる。
「何でもないよ」
この人はどこまで気がついていたのだろう。
毎日のように特製ドリンクと共に猪瀬さんの所に行っていたのをやめても何も言われなかった。
俺が一方的に押しかけていただけだから。
「久しぶりだし、どうせだから、車で学校まで送ってやろうか?」
「ありがとう!」
反省はしたよ、反省はしているけれど……でも、やっぱり一緒にいたいと思うし2人っきりは幸せを感じる
なんて罪深いんだろう……
「あ…」
「どうした?」
「忘れ物した…」
一瞬、言うか迷ったけれど、猪瀬さんに促されて仕方なく申告する。だって、そしたら俺はこの車から降りなきゃならない。車内の狭い空間に2人でいる、その事実だけでもこんなに気分が上がっているのに。
忘れ物ぐらいでこの機会を失いたくない
「架向にしては珍しいな。」
「あはは。俺でもミスはします」
平静を装っていたけれど、やっぱり心の中はぐちゃぐちゃな一ヶ月で、普段はしないようなミスが続いている
大好きで大好きで大事な猪瀬さんを父さんみたいな目に合わせたくないという思いと、でもΩにしてしまえばずっと一緒いられると言う甘い甘い毒がせめぎあっていて。だって、父さんだって結局、親父といる
夢をみるんだ。
親父を怨嗟する父さんの声が猪瀬さんになっていて、そして憎しみの対象は……。
ウインカーの音でハッとする
「戻るぞ」
猪瀬さんがUターンをしてくれた。
優しい優しい猪瀬さん。
運転も上手くて……いったい何人位助手席に乗せたのかな
「待っているから、取ってこい」
猪瀬さんが家の前に車を止めてくれた
「わかった」
家に入ると父さんが怒鳴っているのが聞こえた。相手は父さんだろう。……珍しい。親父は大抵の事には折れて怒鳴り合いなどに発展する事はない。
「だから!猪瀬を転勤させてくれって何度も頼んでるじゃないか!お前が不採算の支社をよみがえらせて欲しいと言えば!それなら猪瀬だって大丈夫だろう!」
「猪瀬は私の右腕だ。アイツを支社に送る事は出来ない」
「何で!お前なら猪瀬が居なくても何とかやってけるだろう!ずっとなんて言わない、架向が!架向に運命が現れるまでだ!」
「陸、猪瀬の能力は高い。私にそれなりの犠牲を強いる君は私に何をくれるの?」
「支えるから!」
「君に猪瀬のような補佐ができると?寧ろ君なら私のポテンシャル自体をあげる事ができるだろう。わかってるよね」
「…………それは、もう、しない…。」
「じゃあ、無理だ。会社の方も結構色々あって大変なんだよ。私一人では立ち行かなくなるからね」
「………」
親父がため息をついた
「陸……君も架向も、猪瀬を信頼しすぎだ」
そっと、リビングの前から立ち去った。
αのポテンシャルをあげる方法?そんなの……番とのセックスだ。
……父さん達は、ヒートの時しかしていない。そんな気がする。父さんはヘテロだから。
だから、三ヶ月に一度しか父さんを抱けないから、親父は俺を追い出して父さんを堪能する。けれど……前に追い出されたのはいつだ?随分経つ気がする…
玄関を出て、猪瀬さんの車に乗り込む。
「どうした?何かあったか?」
「何も……」
親父に転勤を命じられれば、猪瀬さんは従う。俺が行かないでと頼んでも無駄だろう。想像するだけでも心臓がキュッとなる
。
「そうか…」
猪瀬さんが滑らかに車を出す。
あの親父だ。いづれ父さんに負けて猪瀬さんを海外に移動させるだろう。
そう思ったら、一日でも多く一緒にいたい。一緒にいれる時間を大切にしたい。そう思った
そんな俺達を家の中から父さんが覗いていた事に、俺は気が付かなかった。
「行ってらっしゃーい」
父さんがニコニコと笑って言う。
俺も笑って返す。
『死んでも京極の番にはならない』
ねぇ、番契約ってそんなに強烈なの。
門をでると、猪瀬さんも出てきた所だった。
凄く久しぶりに感じる
「おう、今日は早いな」
俺の髪をぐしゃぐしゃした。父さん譲りの髪。
『番さえすれば、青島は文句も言わない。このまま放置しろ。今止めれば、青島が大学を訴える可能性がある』
ねぇ、そんな風に言って父さんを見捨ててたよね。父さんがレイプされていようと気にしてなかった。
なのに……今や父さんの隣に親父が立っている、たったそれだけで傷ついている。
ねぇ、番契約ってそんなに強烈なの。
「うん!今日はやっておきたい事があって!」
笑え笑え。
俺に落ち込む権利など無いのだから。
「感心だな」
にっと笑う猪瀬さん。大人の男って感じ。
グッドエイジャ◯賞とか殿堂入りできそう。……芸能人じゃないからノミネートされたりはしないだろうけど。
そんな大人のオス感を漂わせてる人を俺は……
「どうした?」
首をふる。
「何でもないよ」
この人はどこまで気がついていたのだろう。
毎日のように特製ドリンクと共に猪瀬さんの所に行っていたのをやめても何も言われなかった。
俺が一方的に押しかけていただけだから。
「久しぶりだし、どうせだから、車で学校まで送ってやろうか?」
「ありがとう!」
反省はしたよ、反省はしているけれど……でも、やっぱり一緒にいたいと思うし2人っきりは幸せを感じる
なんて罪深いんだろう……
「あ…」
「どうした?」
「忘れ物した…」
一瞬、言うか迷ったけれど、猪瀬さんに促されて仕方なく申告する。だって、そしたら俺はこの車から降りなきゃならない。車内の狭い空間に2人でいる、その事実だけでもこんなに気分が上がっているのに。
忘れ物ぐらいでこの機会を失いたくない
「架向にしては珍しいな。」
「あはは。俺でもミスはします」
平静を装っていたけれど、やっぱり心の中はぐちゃぐちゃな一ヶ月で、普段はしないようなミスが続いている
大好きで大好きで大事な猪瀬さんを父さんみたいな目に合わせたくないという思いと、でもΩにしてしまえばずっと一緒いられると言う甘い甘い毒がせめぎあっていて。だって、父さんだって結局、親父といる
夢をみるんだ。
親父を怨嗟する父さんの声が猪瀬さんになっていて、そして憎しみの対象は……。
ウインカーの音でハッとする
「戻るぞ」
猪瀬さんがUターンをしてくれた。
優しい優しい猪瀬さん。
運転も上手くて……いったい何人位助手席に乗せたのかな
「待っているから、取ってこい」
猪瀬さんが家の前に車を止めてくれた
「わかった」
家に入ると父さんが怒鳴っているのが聞こえた。相手は父さんだろう。……珍しい。親父は大抵の事には折れて怒鳴り合いなどに発展する事はない。
「だから!猪瀬を転勤させてくれって何度も頼んでるじゃないか!お前が不採算の支社をよみがえらせて欲しいと言えば!それなら猪瀬だって大丈夫だろう!」
「猪瀬は私の右腕だ。アイツを支社に送る事は出来ない」
「何で!お前なら猪瀬が居なくても何とかやってけるだろう!ずっとなんて言わない、架向が!架向に運命が現れるまでだ!」
「陸、猪瀬の能力は高い。私にそれなりの犠牲を強いる君は私に何をくれるの?」
「支えるから!」
「君に猪瀬のような補佐ができると?寧ろ君なら私のポテンシャル自体をあげる事ができるだろう。わかってるよね」
「…………それは、もう、しない…。」
「じゃあ、無理だ。会社の方も結構色々あって大変なんだよ。私一人では立ち行かなくなるからね」
「………」
親父がため息をついた
「陸……君も架向も、猪瀬を信頼しすぎだ」
そっと、リビングの前から立ち去った。
αのポテンシャルをあげる方法?そんなの……番とのセックスだ。
……父さん達は、ヒートの時しかしていない。そんな気がする。父さんはヘテロだから。
だから、三ヶ月に一度しか父さんを抱けないから、親父は俺を追い出して父さんを堪能する。けれど……前に追い出されたのはいつだ?随分経つ気がする…
玄関を出て、猪瀬さんの車に乗り込む。
「どうした?何かあったか?」
「何も……」
親父に転勤を命じられれば、猪瀬さんは従う。俺が行かないでと頼んでも無駄だろう。想像するだけでも心臓がキュッとなる
。
「そうか…」
猪瀬さんが滑らかに車を出す。
あの親父だ。いづれ父さんに負けて猪瀬さんを海外に移動させるだろう。
そう思ったら、一日でも多く一緒にいたい。一緒にいれる時間を大切にしたい。そう思った
そんな俺達を家の中から父さんが覗いていた事に、俺は気が付かなかった。
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