【本編完結済】底辺αは箱庭で溺愛される

認認家族

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蛇足話25…猪瀬

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架向が体調を崩したらしい。
心配になって家を訪ねた。
陸様への想いが消滅した俺に対しての貴嗣様の信頼は厚く、家を行き来することに何ら支障はない。陸様と話すことに対しても寛容になられた。陸様と俺が談笑する…ことにはまだ不満はある様だが。例の一件以来、陸様と貴嗣様の間では信頼が失われているままだから、陸様が貴嗣様に笑顔を見せることは以前ほどにはないらしい。逆に陸様は想いが消滅した俺とは気安くなったようでよく笑う。
今もケラケラと笑っている。
「架向は体力テストで本気になりすぎたらしいよ」
上位のαがその程度で体調崩すわけがないだろう、バカ島が。

コトン、リビングに小さな音が響く。振り返ると架向がいた。
「架向、目が覚めたのか。具合は?」
体調の悪そうな架向に陸様が呼びかける。
「うん、大丈夫」
笑って応えるその姿が痛々しい。体はグラついているし息も上がっている。
「架向、余り無理はするな。お前はまだ若い。いづれは……」
いずれ…、いずれ?
俺はなんて続けようとしたのか。
「猪瀬さん、俺は貴方が好きです」
架向が俺の目を見てはっきりと言った。
「……架向、俺は……」
「貴方の側にいられる様に、その資格を得る為に何でもする。返事はその時に下さい」
それだけ言って、また二階に戻っていった。
逃げないで、Ωになった俺の想いを真っ正面で受け止めて、目がそう懇願していた。

「どうするよ、猪瀬?」
陸様がからかうように俺を見る
「年の差、考えてくださいよ」
「俺は気にしないよ。架向が望むならさ。で、あの男も今のお前なら気にしないだろう」
「そう、でしょうね…」
拓也風情では架向はΩになれないだろう。
ビッチング可能な架向のそばにいれば、架向の無意識が俺をΩにする可能性もある。それを知りながら架向のそばにいるという事は、仮に俺がΩになったとしても覚悟の上という事になる。陸様と心情が被ることもないから貴嗣様も不問にするだろう
……
陸様がため息をついた
「?」
不思議に思い、目で問う
「架向が次に何をするかなんてわかっている」
俺も想像はついている。貴嗣様がひた隠しにしてきたビッチングの真実に。そして陸様も…
「……俺も、向き合わないと、なんだろうな…」
陸様が虚空を見つめながらそう呟いた。
陸様が目を逸らしてきた事実、貴嗣様は直接陸様にフェロモンを摂取させていた…。貴嗣様は意図的に陸様を……。
手段を認めないとこの先架向を守れない
……相変わらず、自分が傷つく事より大切な者を守る事を優先する奴だな。いつまでも経ってもこいつはバカ島だ。
そして俺も…
「俺も、向き合わないと、なんだろうな…」
架向はあきらめない。
俺をΩに書き換えて無理矢理繋ぎ止めたりはしない。
けれど、おれが振り向くように最大限の努力をする。
近いうちに架向は拓也に抱かれようとする。
間接的に拓也の精を受け止めても、架向ほどのαでは効果がないと分かっているから、監視の幸人を撒いてでも直に受け止めようとする。
…それは、嫌だ。架向が拓也に抱かれるのは嫌だ
「俺も…覚悟を決めないと、だな…」
バカ島が淡く笑った…。
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