Ωにうまれて

認認家族

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僕は与えられた時間を堪能する。
無心で弓を引く。

新入生の時期になった。
他の部員は勧誘に行き、僕は一人で弓を引いていた。
何かが目の端に映る

突っ立ったまま、こちらを見つめと涙を流している姿勢の綺麗な男。
それが智則だった。

智則は、即入部を決めた。
胴着を切れるようになるまで暫くかかるよと、地味だよと伝えたけれど、それでも、入部すると言った

礼節も、体幹も出来上がっていた智則は直ぐに胴着を着ることが許された。

智則は、僕の事が好きだった。ただそれは欲を伴ってない、騎士が姫を守るようなそんな好きだったんだと思う。こんな汚れた僕のことを美しいと拝んで、、、
僕は、津守の存在は公表していなかった。後ろ盾のないΩというものはβやタチの悪いαに狙われる。ヒート誘発剤を打たれてレイプされてしまうことがあるのだ。
ナイトの如く、僕を送り迎えをし、まとわりついてくるα達をちぎっては投げちぎっては投げをしていた。
βなのに。
ただ、そんな智則にも、αを恐れるようだった。一瞬だけ体が強張る。
本人は気が付いて無いようだけど、智則に情欲を持ったαに怯えていた。智則もまた、過去に何かあったのかもしれない。それでも、彼はαに立ち向かい、のしてきた。

そんな智則に、靱やかな強さを持つ智則に僕はひかれた。智則の好きとは違う、欲を伴ったものだった。
けれど、彼は僕をまるで高貴な触れてはいけないものように扱った。
それでも良かった。一年をかけて少しずつ少しずつ智則も僕も変化していった。
僕らは、淡い淡い初恋をしていた。

一年後、智則はインハイに出場することになった。
会場は四国で、公立の僕らは応援にも行けない。
智則単品で行くことになっていた。
けれど、智則が
「先輩にきてほしい」と言ってホテルも飛行機のチケットも手配してくれた。
ツインで一瞬期待したけれど、二部屋とっていた。
まぁ、智則だしね。それにインハイ前日だ。
ただ、智則にはインハイ終わったら、そのまま二人で旅行したいと言われていた。
決意が見られる瞳で、僕もまた緊張しながらうなずいた。
僕と智則の関係が変わる。


二人で飛行機に乗った。智則から差し出されたその手は緊張に震えていた。
ちょっと笑ってしまった。かわいいなぁ、こんなに良い男なのに、童貞感のギャップ
でも、握り返した僕の手も緊張のあまり汗で湿っていた。

二人でホテルで食事をしてそのまま別々の部屋に入った

もしかしたら、ドアをノックされるかも?そう思うと僕はドキドキして朝まで眠れなかった。
智則はというと、ちゃんと眠れたらしく思わずじっと睨んでしまった。僕ばっかり。。。
焦ったように智則が言う
「俺はそういう風に訓練してきたんでっ」
ふふ
かわいいなぁ。

僕はサディストジジイの元に行くことが確定している。智則も知っている。けれど智則の性格上、一夏のアバンチュール的な付き合い方は出来ないはずだ。それなりに覚悟を決めているのだろう。
サディストジジイに交渉するつもりだ。
ただ。。そんな事になったら、サディストジジイは智則にも食手を伸ばしてくるだろう
智則、無自覚なんだろうけど、君もまたオスの嗜虐心をくつぐるんだよ。。想像もしてないんだろうけど。
だから、この想いは卒業迄。君を巻き込んだりはしない。
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