最上位αの初恋

認認家族

文字の大きさ
15 / 30

14

しおりを挟む
 島が近づく
 陸が興奮して叫んだ
「うわぁ、空から見る景色がこんなに美しいなんて!志摩の離島って本当にすごい。」
「そうだろう?何度来てもこの景色には感動するよ。特にこの時間帯は光が柔らかくて最高なんだ。」
 猪瀬が以前にセフレに言っていた言葉が自然に出た。
 陸が大きく頷く。
 当時は光なんて単なる波長で柔らかいも何もないだろうと思って聞いていたが…陸といると何もかもが違う。
 モノトーンの世界が色とりどりの鮮やかな世界になった
「海の色がグラデーションになってる。あ、あれが目的地の島かな?」
 単なる色の濃淡ですら陸と見れば自然が織り成すグラデーションだ
「そうだよ。もう少しで着くよ。島の周りの珊瑚礁も見えるかな?」
「ほんとだ!三重でも珊瑚が生息しているんですね!なんだか冒険に出てる気分だ……」
 思わず笑みが溢れた。
 冒険、そうだね。この旅行は陸にとって冒険になるだろう。
「ヘリコプターならではの特権だね。普通の船じゃ味わえない景色を楽しめるから。」
 だから、今回のみだなんていわないで。
 …………いや、言えなくするから。



  離島に到着した。
 陸がストレッチをしている。
 …………体、柔らかいんだな。他のオスの前でそんなに胸を突き出さないで。
「やっと着いた!ヘリコプターの旅もすごく良かったけど、この島の空気も気持ちいい。」
  「そうだろう?この島の自然は本当に素晴らしいんだ。海風も心地よいし、ここでしか感じられないものがたくさんある。」
 猪瀬が胡乱げな表情で私をみた。
『俺のパクリですか』
 以前、猪瀬が先頭に立ってセフレどもとこの島にきた。性欲の処理など態々別荘に来なくても出来るのに連れ出されたあの時の対価くらい貰っても良かろう?
 何度もここに来ているのに感動もしなかったつまらないオスだと陸に思われたくない。

「あ、見て下さい!砂浜がすごくきれい。人も全くいないし、まるでプライベートビーチみたい。」
「この島自体が京極のものなんだ。観光客もいないから、静かに過ごせるのが魅力なんだ。あのビーチは特におすすめだ」
陸と二人っきりだったら…生まれたままの姿で…
猪瀬がコホン「と咳払いする。
…うるさいぞ、猪瀬




「うわぁ、凄いなぁ」
陸が目をキラキラさせて別荘を見る。
 上気した頬
 あぁ、愛おしい。
 陸がスマホを取り出してパシャパシャと写真を撮る
 皆の視線が青島のスマホに向かう。千葉以外は皆寝落ちしていたから、陸の機種変に初めて気が付いたのだ。
「え?あれ?写真取ったら駄目でした?」
「あ、いや、青島スマホ……」
 宮下のつぶやきに、陸がまた警戒心をもった。
 バカかこのαは
 無防備だった陸がササッと携帯を隠した。また、私との間に距離ができる。ヘリの中での笑顔が…

「宮下、君が眠っていたから伝えそびれたのだけど、親御さんから連絡あって、直ぐに帰ってこいと。今ならまだ……」
 この男はクビだ。
 直ぐにここから出て行けと。直ぐに出るなら、家族には手を出さない、他言無用だと暗に伝える。
「は、はい…。」
 宮下がガクガクと震えながら、返事をした。私の怒りが伝わったのだろう。
 事態を理解していない陸以外、皆青褪めた。そうだ、これくらいの緊張感は持て。
 上位αの番との関係構築を邪魔すればどうなるか分からない愚か者など不要だ。
 ゴクリ。
 誰が唾を飲み込んだ音がした。

「宮下、帰るのか?ご両親なんて?一息つく時間もないのか?宮下の好きな茶葉も持ってきてるんだし、ちょっと休んでからじゃ間に合わないのか?」

 陸、何故君は宮下を庇うの。
 私より優先される者がこの世に存在してはならない。
 私の怒気に宮下は虫の息だ。

「皆の好きな茶葉をもってきたんだよ。」
 柔らかい笑みを浮かべて陸が言う。
 皆……
「…………私にもか?」
「はい。いちごジャムも持ってきてます。俺のお気に入りの農園から取り寄せたいちごで作ったジャムですよ。宮下が持って来てくれって……」
 何故か不明だが、陸は私がイチゴジャムを好きとだと認識している。
 そして、私の為にお気に入りの農園からイチゴを取り寄せて手作りしてしてくれたのだ。私の為に!私への手づくりプレゼントだ。私に食べてと言っているのだ!
「そうか。宮下。ご両親に確認しろ。もしかしたら、状況が変わって旅行後でも間に合うかもしれないし」
「わ、わかりました。」
 首の皮一枚で繋がった宮下が、コクコクと頷く。





 ~~~~~~~~~
 15,16歳の頃は少しヤンチャ(?)だった猪瀬さん。
 後腐れ無いお姉さん達と共に別荘で楽しんでました。
 京極は単なる処理って感じですね
 ~~~~~~~~~~~
~~~~~~~
エール、ありがとうございます♪
~~~~~~~~~~~
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

美形な幼馴染のヤンデレ過ぎる執着愛

月夜の晩に
BL
愛が過ぎてヤンデレになった攻めくんの話。 ※ホラーです

ネガティブなΩがスパダリαから逃げる

ミカン
BL
オメガバース

こわがりオメガは溺愛アルファ様と毎日おいかけっこ♡

なお
BL
政略結婚(?)したアルファの旦那様をこわがってるオメガ。 あまり近付かないようにしようと逃げ回っている。発情期も結婚してから来ないし、番になってない。このままじゃ離婚になるかもしれない…。 ♡♡♡ 恐いけど、きっと旦那様のことは好いてるのかな?なオメガ受けちゃん。ちゃんとアルファ旦那攻め様に甘々どろどろに溺愛されて、たまに垣間見えるアルファの執着も楽しめるように書きたいところだけ書くみたいになるかもしれないのでストーリーは面白くないかもです!!!ごめんなさい!!!

巣作りΩと優しいα

伊達きよ
BL
αとΩの結婚が国によって推奨されている時代。Ωの進は自分の夢を叶えるために、流行りの「愛なしお見合い結婚」をする事にした。相手は、穏やかで優しい杵崎というαの男。好きになるつもりなんてなかったのに、気が付けば杵崎に惹かれていた進。しかし「愛なし結婚」ゆえにその気持ちを伝えられない。 そんなある日、Ωの本能行為である「巣作り」を杵崎に見られてしまい……

ヒートより厄介な恋をα後輩に教え込まれる

雪兎
BL
大学三年のΩ・篠宮湊は、何事も理屈で考えるタイプ。 ヒート管理も完璧で、恋愛とは距離を置いてきた。 「フェロモンに振り回されるのは非合理的」 そう思っていたのに――。 新学期、同じゼミに入ってきた後輩は、やたら距離の近いα・高瀬蒼。 人懐っこくて優秀、なのに湊にだけ妙に構ってくる。 「先輩って、恋したことないでしょ」 「……必要ないからな」 「じゃあ俺が教えますよ。ヒートより面倒なやつ」 余裕のあるα後輩と、恋に不慣れなΩ先輩。 からかわれているはずなのに、気づけば湊の心は少しずつ乱されていく。 これは、理屈ではどうにもならない “ヒートより厄介な恋”を教え込まれる物語。

アルファのアイツが勃起不全だって言ったの誰だよ!?

モト
BL
中学の頃から一緒のアルファが勃起不全だと噂が流れた。おいおい。それって本当かよ。あんな完璧なアルファが勃起不全とかありえねぇって。 平凡モブのオメガが油断して美味しくいただかれる話。ラブコメ。 ムーンライトノベルズにも掲載しております。

被虐趣味のオメガはドSなアルファ様にいじめられたい。

かとらり。
BL
 セシリオ・ド・ジューンはこの国で一番尊いとされる公爵家の末っ子だ。  オメガなのもあり、蝶よ花よと育てられ、何不自由なく育ったセシリオには悩みがあった。  それは……重度の被虐趣味だ。  虐げられたい、手ひどく抱かれたい…そう思うのに、自分の身分が高いのといつのまにかついてしまった高潔なイメージのせいで、被虐心を満たすことができない。  だれか、だれか僕を虐げてくれるドSはいないの…?  そう悩んでいたある日、セシリオは学舎の隅で見つけてしまった。  ご主人様と呼ぶべき、最高のドSを…

処理中です...