平安山岳冒険譚――平将門の死闘(時代小説新人賞最終選考落選歴あり、別名義、別作品)

牛馬走

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 そうやって登るうちに岩の大きさが小さくなる。一団は小幅で丁寧に歩く。特に、足裏の感覚は研ぎ澄まして進んだ。
 そうして登っていくと頭上に無数の岩と人影が見えた。
「岩で我らを押し潰す気だ」
 宰領の者が叫ぶや、一団は一斉に弓矢を構える。
「射よ」
 下知にしたがい矢が無数に飛んだ。
 時ならぬ凶器の驟雨に岩の側にたたずむ者たちがほとんど倒れた。
「二の矢、三の矢と放て」
 と告げながら宰領も矢を放つ。
 策に溺れおって――確かに矢に比べれば岩に当たるほうが致命的だ。しかし、敵を認めてから攻撃に移るまでの間は確実に弓のほうが早い。
 が、それでも大岩がひとつ、ふたつと転がってくる。
「岩が転がってくるぞ」
 忠告に対し機敏に一団は動いた。ひとりとして岩の下敷となる者は現れなかった。
 その上で、岩の列のほうを確認する。もう、それらが動き出す気配はなかった。が、小さな影、犬が斜面を猛烈な速さで登りだしたのを認める。刹那、無数の矢がそこに殺到した。的は小さかったが狙いは外れなかった。甲高い悲鳴をあげて犬は地面に倒れる。
「よし、進むぞ」
 宰領は手下に向かって声を張り上げた。
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