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それに、人の命を奪うことで金を得ているのは何も陣借り無宿だけではない。いざ、ことが起これば戦うことを前提に家禄を得ている武士だって立場では同じだ。ならば、陣借り無宿である自分を卑下する必要はないはずだった。
「わかったな、栄助」
「承知しました、親分」
猪助の言葉に、栄助は強い語気で応じる。
だが、胸に凝ったものがあるのは事実だ。一度抱いた生死への疑問はそう簡単に氷解しない。
すっきりしないものを抱えたまま旅籠で草鞋を脱いだあとのことだ。
部屋で振り分け荷物を何気なく整理しているとひとつの数珠が出てきた。村の寺の和尚から授けられたものだ。
あ、と栄助は思った。数珠を久しぶりに意識したのは何かの天啓のように感じられたのだ。
数珠を手にとり経を唱えてみた。和尚に手習いを受ける中で経もその一部として教えられていた。だから、自然と唱えることができた。
部屋には仲間たちの姿もあった。だが、辛気臭いから止めろとは言わない。どこか彼らも聞き入っているように思えた。
しばらくすると経を唱え終える。すると、おどろくほど心身が軽くなっていた。
「おめえ、経をとなえられるんだな」
「村の寺の和尚から習いました」
「へえ、立派なもんだ」
猪助が栄助の言葉に大きくうなずいた。
「今のは路傍で死んでた奴の供養か?」
「ええ、まあ」
自分でもはっきりと意識していた訳ではないので返答は曖昧になる。
「わかったな、栄助」
「承知しました、親分」
猪助の言葉に、栄助は強い語気で応じる。
だが、胸に凝ったものがあるのは事実だ。一度抱いた生死への疑問はそう簡単に氷解しない。
すっきりしないものを抱えたまま旅籠で草鞋を脱いだあとのことだ。
部屋で振り分け荷物を何気なく整理しているとひとつの数珠が出てきた。村の寺の和尚から授けられたものだ。
あ、と栄助は思った。数珠を久しぶりに意識したのは何かの天啓のように感じられたのだ。
数珠を手にとり経を唱えてみた。和尚に手習いを受ける中で経もその一部として教えられていた。だから、自然と唱えることができた。
部屋には仲間たちの姿もあった。だが、辛気臭いから止めろとは言わない。どこか彼らも聞き入っているように思えた。
しばらくすると経を唱え終える。すると、おどろくほど心身が軽くなっていた。
「おめえ、経をとなえられるんだな」
「村の寺の和尚から習いました」
「へえ、立派なもんだ」
猪助が栄助の言葉に大きくうなずいた。
「今のは路傍で死んでた奴の供養か?」
「ええ、まあ」
自分でもはっきりと意識していた訳ではないので返答は曖昧になる。
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