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チャプタ―87
チャプタ―87
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まことに都合がよい――マルコは微笑を渠に向けながらも、内心は嘲りをおぼえている。
夫人が息子の入信に反対する、家臣が宣教師と対立するなどの問題に見舞われた末に“逃げる”ために切支丹に帰依した宗麟――なんと、弱い男なのだろう。
だが、弱いからこそ利用できるのだ。
マルコはただ、死霊、悪魔、そしてこれらにかかわる人間を退治できればそれでいい。母国では、死霊や悪魔はともかく、それにかかわった者を“斃す”にはそれなりの手続きが必要で面倒臭かった。だが、遠い異国のこの地は違う――組織に籍を置く億劫さに悩まされることもなく、“迅速”に邪悪な者共を始末することができた。
なぜ、これだけ渠は闇に属する者たちを憎むのか? それは、錬金術師だった父が富を欲して悪魔を召喚し、制御に失敗して妻共々殺されたことに起因する。
ある種、自業自得ではあった――だが、息子であるマルコはそれでは得心がいかない。
やがて黒い感情は澱となって心の底に溜まっていき、ついには切支丹において祓除の術をおぼえたことで爆発した。凶暴な死霊や悪魔を狩る快感というのは、ただの獣を相手にする狩猟とは比べものにならない充足感をマルコにもたらした。最初は復讐のためだった――しかし、今の渠が祓魔師(エクソシスト)として戦うのは、ただ己が心地よい感覚にひたるためだ。
――そんな渠の鋭敏な第六感に引っかかるものがある。
目線の届く範囲ではない。それどころか、大友家の支配下の領域でさえない。
夫人が息子の入信に反対する、家臣が宣教師と対立するなどの問題に見舞われた末に“逃げる”ために切支丹に帰依した宗麟――なんと、弱い男なのだろう。
だが、弱いからこそ利用できるのだ。
マルコはただ、死霊、悪魔、そしてこれらにかかわる人間を退治できればそれでいい。母国では、死霊や悪魔はともかく、それにかかわった者を“斃す”にはそれなりの手続きが必要で面倒臭かった。だが、遠い異国のこの地は違う――組織に籍を置く億劫さに悩まされることもなく、“迅速”に邪悪な者共を始末することができた。
なぜ、これだけ渠は闇に属する者たちを憎むのか? それは、錬金術師だった父が富を欲して悪魔を召喚し、制御に失敗して妻共々殺されたことに起因する。
ある種、自業自得ではあった――だが、息子であるマルコはそれでは得心がいかない。
やがて黒い感情は澱となって心の底に溜まっていき、ついには切支丹において祓除の術をおぼえたことで爆発した。凶暴な死霊や悪魔を狩る快感というのは、ただの獣を相手にする狩猟とは比べものにならない充足感をマルコにもたらした。最初は復讐のためだった――しかし、今の渠が祓魔師(エクソシスト)として戦うのは、ただ己が心地よい感覚にひたるためだ。
――そんな渠の鋭敏な第六感に引っかかるものがある。
目線の届く範囲ではない。それどころか、大友家の支配下の領域でさえない。
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