笑う死霊家臣団 (別名義、別作品で時代小説新人賞最終選考落選歴あり)

牛馬走

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チャプタ―155

チャプタ―155

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 そこでは、死を恐れず――死んだとしても身体を“交換”して戦う平兵衛たちはこれ以上にないほどの戦力となる。
 ただ単に敵を屠る強さだけでなく、将兵を奮い立たせるのにもおおい役立つだろう。
 ……だが、それと引きかえに、平兵衛たちを狂わせていいのか?
 道明によると、一度狂ってしまえば輪廻の輪を外れてしまい、転生すらも叶わなくなるという。
 しかし、市右衛門は維新公に大きな恩義を感じるようになっていた。
 どこの馬の骨とも知れぬ己を家中に加えてくれ、幽霊の家臣を仕えさせているという事実を知っても恐れることなく、疎んじることなく、かといって無理な武働きを強いるでもなく、普通の将兵と変わらぬ扱いをしてくれたのだ。
 その恩に報いたい……――。
 複数の思いが交錯し、市右衛門は水面の下で凝っとしているような息苦しさをおぼえていた――。

   三

 維新公はふたつの不運にみまわれた。
 ひとつは、国許が軍兵を派遣しなかったことだ――“庄内の乱”の動揺は未だおさまらず、島津家は“外”に将兵を遣わすことが叶わなかった。
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