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「この役立たずが」
『何だと若造、わしのどこが役立たずなのだ』
「俺の力を借りずにことを成し遂げたら訂正してやるよ」
光脩の言葉に、むう、と犬家康は唸った。それから、しばらくひとりと一匹で無言で歩いた。
『ここはあれだ、ここは各々の結束を確かめることにして手を合わさんか』
「一匹じゃあ、何もできないのでどうぞ手を貸してくださいって言えば、貸さんでもないぞ」
犬家康の喉が締め上げられたような息を漏らす。が、やがてふるえながらも犬家康の口から声が押し出された。
『一匹じゃあ、何もできないのでどうぞ手を貸してください』
そのせりふを聞いて光脩は声を押し殺して笑う。
「いいだろ」光脩は上機嫌になって応じる。
『それで、城へと忍び込む手立てはあるのだろうな』
「特にないな」
『おまえ、わしの頼みの意味はなんだったのだ』
犬家康が噛みついてくるのを光脩は何度かかわす。そこに、
「家康様、伊賀者の私が協力いたしましょう」
告げたのは、忍び装束でどこからともなく現れた豊だった。声で正体がわかる。
『何だと若造、わしのどこが役立たずなのだ』
「俺の力を借りずにことを成し遂げたら訂正してやるよ」
光脩の言葉に、むう、と犬家康は唸った。それから、しばらくひとりと一匹で無言で歩いた。
『ここはあれだ、ここは各々の結束を確かめることにして手を合わさんか』
「一匹じゃあ、何もできないのでどうぞ手を貸してくださいって言えば、貸さんでもないぞ」
犬家康の喉が締め上げられたような息を漏らす。が、やがてふるえながらも犬家康の口から声が押し出された。
『一匹じゃあ、何もできないのでどうぞ手を貸してください』
そのせりふを聞いて光脩は声を押し殺して笑う。
「いいだろ」光脩は上機嫌になって応じる。
『それで、城へと忍び込む手立てはあるのだろうな』
「特にないな」
『おまえ、わしの頼みの意味はなんだったのだ』
犬家康が噛みついてくるのを光脩は何度かかわす。そこに、
「家康様、伊賀者の私が協力いたしましょう」
告げたのは、忍び装束でどこからともなく現れた豊だった。声で正体がわかる。
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