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V谷国とP摩国
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V谷人は
比較的温厚である
V谷国の南には
大国G牙がある
G牙国は
近年軍備を増強している
本来であればV谷国は
大国G牙に侵略されている
だが
G牙国とV谷国の間に
戸R国という不思議な国がある
戸R国は
高い台地(というにはあまりに異様な土地だが)にある
平らな原野に立つ巨大な塔
それが戸R国だ
戸R国の周りはすべて断崖絶壁だ
大国G牙といえども戸R国に侵攻することは困難である
戸R国人は道具を作るのが非常に得意である
この大陸で最も道具文化が発達している
戸R国は鎖国しているので
戸R国の発達した道具文化はなかなか他の国に広がらない
戸R国がなぜ鎖国しているのか
他国にはまったく解らない
この時代、それぞれの国は互いに相手国に無関心である
それはサンカクによる影響である
しかし、個人としてサンカクの影響を受けず、
他国に感心を持つ者はいる
G牙国王はそのひとりであり、 さらに稀なることにG牙国王は他国をことごとく征服する決意を持っている
しかし、戸R国がG牙国の侵攻を
地理的に防いでくれているので
V谷国人は温厚なのかもしれない
だが
なぜか突然
温厚なはずのV谷国が竜Q国に侵攻してきたのである
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竜Q国第二軍師フールモの部下に
アロンとヨロンがいる
双子の将軍だ
アロンは
細長いしなやかな棒を使ってV谷兵の拠点に飛び降りた
細長いしなやかな棒はキューロという植物で、丈夫な上にとても可塑性の高い植物である
フールモ軍師の住居周辺に
生えている
フールモはキューロや他の植物を多用する軍師である
キューロに限らず
あらゆる植物に精通しているので
あらゆる植物は
フールモ軍師にとっては
戦略的資源なのである
アロンはキューロを棒高跳びのように使い、V谷兵の拠点に軽々と舞い降りた
続いてヨロン将軍も舞い降りた
アロンとヨロンは
常に行動を共にする双子の将軍である
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竜Q国に突然侵攻してきたのはV谷国とP摩国である
P摩国は
古い大国T舵国の西にある小さな国だ
大国竜Q国の東にある
ディーナ湖やスィーナ湖など、多数の湖や池が点在する平らな土地にP摩国がある
竜Q国とT舵国は
友好関係にあるので
その大国に挟まれたP摩国ものんびりした国のはずである
治安維持に神経質ではないから盗賊が多いのだが、多くの盗賊は権力者を襲うこともなく
細々と地道に盗賊稼業を行っている
定期的に権力者に
盗賊から贈り物が届くという仕組みさえある
P摩人は
王族と盗賊に繋がりがあるのではないかと噂する
P摩の王族は噂を気にしたり規制したりしない
そのような体質の小国が
大国竜Qに侵攻するなど
誰も予想できなかった
だが
猿が予想していた
竜Q国第一軍師は
なんと……
猿であった
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