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グーブブ
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黒煙は広がり
大きな建物内部の
収納庫に向かった
やがて黒煙は収納庫に吸い込まれた
とたんに
広間に戸R兵が大挙して押し寄せた
先頭の大きな男
肥満体かと思えるような丸い身体
困ったような表情
実際に男は困っている
戸R国に似つかわしくない己に困っているが
戸R人として
それはゴハットであり
当然
男はそれを隠している
しかし
困ったような表情を隠すことができない男であった
「わたくしは戸R国戦闘長官グーブブ だ
鳳O国海軍提督アラコルト 殿、会えて光栄だ
お手合わせ願おう 」
「嫌だよグーブブ殿
おまえさんあまりに強すぎだ
ここは…
逃がしてくれ 」
「残念ながら、この建物から脱出することは不可能だ
その空飛ぶ御座に乗って逃 げたら
網を四方から発射して捕らえる
どうする
アラコルト殿 」
116
竜Q国とV谷国の国境近く
V谷兵に囲まれ苦戦する双竜隊
「思い出した!」
アロンが叫んだ
「思い出した!」
ヨロンも同時に叫んでいた
「あの時
フールモ第二軍師は
あの二人を戸R国から救出 した!
なぜ
忘れてたんだろう?」
「決まってるだろヨロン
フールモが植物から抽出した妖しい薬で
俺たちの記憶の一部を消したからに
決まっている 」
ヨロン
「フールモ軍師なら
やるだろう 」
アロン
「フールモ軍師なら
やるだろう 」
アロンとヨロン
双子の
双竜隊長は同時に言った
だから今も
「フールモ軍師なら
救出に来るだろう 」
あの夜
フールモ軍師はアロンとヨロンを伴い
戸R国に侵入した
ポタポタンという植物
その綿に籠をぶら下げ
籠に三人が乗り
上昇気流にポタポタンの綿を乗せ
戸R国に上空から潜入した
117
妖しいサンカクが上空にあった
月はサンカクに隠れていた
巨大な塔のような戸R国
その上空
ポタポタンの綿に籠をぶら下げ
籠の中にはフールモ軍師とアロンとヨロン
ひときわ大きな建物の上空に来ると
フールモ第二軍師は
「アロンはわしと一緒に
戸R国に潜入
ヨロンはポタポタンの綿をなるべく今のままの位置に保ちながら待機
マージナンを投下する時を
間違えるなよ 」
短く言って
フールモは飛び降りる
あわてて
アロンも飛び降りる
空中でフールモはマージナンの豆の殻に入る
アロンも繭のようなマージナンに入る
マージナンの豆の殻の内部は柔らかい綿毛がびっしり生えている
マージナンは内部に乗る人を衝撃からある程度保護する
籠に残ったヨロンは時を計り
マージナンをあと二個投下する
フールモは内部からマージナンの豆の殻を少し開いた
マージナンの殻を内部から開くのは難しい
熟練の盗賊であろうと
最初からマージナンの殻を内部から開くのは不可能である
フールモ軍師と
アロンとヨロンは
特別な方法で殻を開く
竜Q国第二軍師フールモは
マージナン内部から
幾つかの実を地上に蒔いた
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