ある日突然、背中に天使の羽が生えて世界を救う使命を負った俺が、光と闇の力で新たな秩序を創り出す

城崎ベル

文字の大きさ
21 / 37
第4章 試練と覚悟の時

21話 新たなる脅威と新生の誓い

しおりを挟む


カオスとの戦いが終わり、世界は一時的に静寂を取り戻した。虚無の渓谷が崩壊する寸前に、翔太は光と闇の力を統合し、世界の均衡を再び安定させた。しかし、彼がその場に膝をつき、息を整えると、賢者の声が再び響いた。

「お前が守護者としての力を得た今、この世界の新たな局面が始まる。しかし、それに伴い、新たな脅威も近づいている」

翔太はその言葉に緊張を覚えた。「新たな脅威…?カオスが消えたのに、まだ何か問題が残っているのか?」

賢者は静かに頷いた。「カオスは、世界の均衡を支える重要な存在だった。だが、彼がいなくなった今、世界の深淵に潜んでいたさらなる危険が目を覚まし始めているのだ」

翔太は顔を上げ、賢者に問いかけた。「それは一体、どんな存在なんだ?」

賢者は沈黙を少し保った後、低く重い声で告げた。「その存在は『無の領主』と呼ばれる者たちだ。彼らは虚無そのものであり、あらゆるものを無に帰そうとする力を持っている。カオスとは異なり、彼らは破壊ではなく、消滅そのものを目的としている」

「無に帰す…?」翔太はその言葉の意味を噛みしめた。「つまり、すべてを消し去るってことか?」

賢者は再び頷いた。「そうだ。彼らは、この世界の存在そのものを否定し、全てを虚無へと戻す力を持っている。彼らの脅威は、カオスよりもさらに深刻なものだ」

翔太は握り拳を作り、決意を新たにした。「俺が新たな守護者として、その脅威を止めなければならないんだな。俺がやるべきことはまだ終わっていない」

その時、駿が口を開いた。「でも翔太、俺たちにそんな力があるのか?カオスを倒したばかりだし、今度の敵はそれ以上に強大だって言うんだろ?」

瑠衣も不安そうにうなずいた。「カオスとの戦いで私たちの力も限界に近いし、次の戦いに向けてどう準備すればいいかも分からない…」

翔太は一瞬考え込んだが、すぐに力強く答えた。「大丈夫だ。俺たちは今までだって、無理だと思えるような状況でも乗り越えてきた。俺たちなら、必ずこの新たな脅威にも立ち向かえる」

彼の言葉に駿と瑠衣は少しだけ安心したような表情を浮かべたが、不安は完全には拭い去れなかった。

---

その夜、翔太は焚火の前で一人静かに考え込んでいた。光と闇の力を得た自分だが、それでも「無の領主」という存在に対する恐怖はぬぐいきれなかった。彼らはただ破壊するだけではなく、存在そのものを消し去るという圧倒的な力を持つ。自分の力で果たしてそんな敵に立ち向かえるのか――その疑問が頭から離れない。

「……翔太?」

背後から聞こえた瑠衣の声に、翔太は顔を上げた。瑠衣は心配そうな顔をして、翔太の隣に座った。

「どうしたの?いつもならもっと元気なのに、今日は少し様子が違うね」

翔太は少し苦笑して答えた。「うん…まあ、少し考えてただけさ。無の領主のこととか、これからどうすればいいのかとか…」

「そっか…」瑠衣は静かに焚火を見つめた。「確かに、これからのことを考えると不安だよね。私も少し怖いな。でも、翔太がいるから大丈夫だって思ってる」

その言葉に翔太は驚き、瑠衣の顔を見つめた。「俺がいるから…?」

「うん。翔太はいつも、どんな時も前を向いて、私たちを引っ張ってくれてる。だから、翔太がいるなら私も頑張れる。だから…自分を信じて」

瑠衣の言葉は、翔太にとって大きな力となった。彼女が自分を信じてくれている以上、彼もまた自分の力を信じなければならない。

「ありがとう、瑠衣」翔太は微笑み、決意を新たにした。「俺、やっぱりもう一度頑張ってみるよ。無の領主がどんな存在でも、俺たちならきっと乗り越えられる」

瑠衣も微笑み返し、焚火の温もりが二人を包んだ。

---

翌朝、賢者から無の領主に関するさらなる情報がもたらされた。

「無の領主は、現実世界の境界を超えて出現する。その現象を抑えるためには、特定の場所にある封印を強化しなければならない。その場所は、この世界の四大元素が集まる『封印の祭壇』だ」

翔太はその言葉に耳を傾け、封印の祭壇が存在する場所を聞いた。「そこに行けば、無の領主の出現を防ぐことができるのか?」

賢者は頷きながらも、慎重な態度を見せた。「そうだ。だが、祭壇の封印はかなり弱まっており、強化するには特別な儀式が必要だ。その儀式を行うためには、四つの元素の力を集めなければならない」

「四つの元素…つまり、火、水、風、土の力か」駿が口を挟んだ。

「そうだ。そしてそれぞれの力は、四つの神殿に宿っている。それぞれの神殿に向かい、元素の守護者たちから力を授かる必要がある」

翔太たちはこれからの旅路がどれだけ困難なものになるかを理解し、気を引き締めた。

「分かった。まずはその神殿に向かおう」と翔太は賢者に向き直った。「それが無の領主の出現を止めるための第一歩だな」

賢者は静かに頷いた。「そうだ。時間は少ないが、焦りすぎるな。各神殿には強力な守護者たちが待ち受けている。それぞれの試練を乗り越え、力を手に入れるのだ」

---

翔太たちは新たな冒険に出発した。四つの神殿で待ち受ける試練と守護者たち、そしてその先に控える無の領主の脅威。カオスを打倒したとはいえ、彼らの旅はまだ終わっていない。

しかし、翔太は心の中で新たな誓いを立てていた。自分がこの世界の守護者として、どんな脅威が現れようとも決して屈しないという誓いを。

---

新たな敵「無の領主」の存在が明らかになり、翔太たちは再び戦いに身を投じることになる。四つの元素の力を集め、封印を強化するための新たな冒険が幕を開けた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~

さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。 全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。 ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。 これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...