公爵令嬢に婚約破棄されましたが『歌』とチートスキルで無双して見返してやりたいと思います!

花月風流

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東の国

第25話 失敗、しました

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 (何か……変だ)

 コウゾウの後を追いながら、僕は吐き気に襲われていた。
 [具現]なら何でも出来ると思っていたが、拳闘士のダナンさんを重ねてから……身体がおかしい。

 (ダメだ……このままだと倒れそうだ……)

[神技・具現の効果を解除します]

 やっぱり楽になった! 相性が悪かったのか、僕の身体が耐えられないだけなのか、理由ははっきりしない。
 それでも確実なのは演じる事は出来ても、同じ事ができる訳じゃないんだという事。

 (初めて……失敗した。過信しすぎていたんだ!)

 唇を噛むが、状況は待ってくれない。

 街の騒ぎは今も続いているのだ。
 事情は判らないけど、武器を持って人を襲ってる方を何とかしないと。

「~~♪」

[神技・具現を使用します]

 (僕が戦えないなら、魔竜にお願いするしか)

 僕の歌に応えるように、魔竜が現れる。
 そして……そのまま近くの建物を破壊した。
 突如現れた魔竜の行動に、争っていた人達の動きまで止まる。
 魔竜は吠えながら、近くにある物を手当たり次第に壊そうとする。

「や、やめてくれ! 僕はそんなこと……」

 (……僕は歌った時にどんな気持ちを込めていた? 何を思って、何のために……)

[神技・具現を解除します]

 僕は膝をついてしまう。
 何かを間違えてる。
 でも、今は考えていられない。
 悩んでる場合じゃなくて、何かしなきゃ。

「何かって……なんだ……」

 半ば放心しかけた状態で肩を叩かれて、心臓が飛び出そうになる。

 「コウゾウ……」

 僕の肩を叩いたのはコウゾウだった。
 彼は僕の手を引き立たせてくれる。
 街は平気なのかと見回すと、どうやら魔竜が現れた事で動揺した襲撃者達は去って行ったようだ。

 燃えたり崩れたりした家を見て、俯いてしまう。街の人達の顔を直視出来ない。

 (何も出来なかった。それどころか被害を増やしただけじゃないのか……)

 僕にとっての唯一の救いは、今も降り続ける雨が街を燃やす火を消してくれたことだけだった。
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