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東の国
第30話 興味、ひかれます
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「君を保護したい、と言っている方がいる」
「僕を? 保護ですか?」
僕を保護とは……どういう事だろう。
ただの旅人になった僕を、誰が? 何から?
「うむ。保護の理由はラミレア王国の害意から君を守るため。あとはラミレア王国が気に食わないから嫌がらせを含む、とのことだ」
「い……嫌がらせって……」
「手配文の中身は私も教えてもらった。君を実際に見た感じだと理由も無く無茶をするようには見えないが?」
「……ええ、それなりに嫌な思い出は」
「君の思い出に及ぶかは計りかねるが、少なくともここ数年のあの国は、他国に対して友好的とは言い難い事をしている、そこは間違い無い」
正直、以前知ったやり方ひとつでもラミレア王国は悪辣だった。人の気持ちを踏みにじるようなやり口は知った者なら褒めたりはしないだろう。
『気に食わないから嫌がらせ』は気持ちの上では解らなくも無い。僕だってそのくらいしてやりたくなるんだから。
でも……
「その方は解っていらっしゃるんですか? 僕を捕まえたがっているのはラミレア王国ですよ? 国です。個人じゃ無くて。そんな危険なこと」
嫌がらせで済む規模じゃ無くなる可能性がある。当然だけど、僕を理由に恨みを買うかも知れないのだ。
ほぼ間違い無く友好的ではいられない。
「うむ。よくよく解っておられるよ。その上でだ。ご本人の言葉をお借りするなら『品位の足りない国ひとつより価値ある人間ひとり」だそうだ」
「それは……随分極端な方なんですね」
まるで僕を知っているような言葉だと思う反面、知っていたら価値あるなんて言葉は出てこないだろうとも思う。
自慢にもならないけど、非力なただの旅人なのだから。
でも、僕はその人に興味が湧いてきた。
考え方は極端過ぎるかも知れないが、その思い切りには憧れるものがある。
「保護して頂けるというお言葉はとてもありがたいのですが、僕が原因で何かご迷惑をおかけするのは望みません。でも、お話を聞いている内にその方にお会いしてみたい気持ちが……いえ、言葉を飾らずに言うと、凄く興味を惹かれています」
ムリョウさんはまた面白そうな顔をする。
「……君とあの方はどこか似ているのかも知れんな。それでは、私の顔を立てるつもりで一度お会いしてみて貰えんかな? あの方も方々に声をかけていたから、こんなに近くで見つかったとなれば喜ばれるだろう」
「……解りました」
「そうか、それはありがたい。あの方にはこの国も世話になっているのでな」
僕はどうやら『国を相手に嫌がらせ』したり『国を相手に世話をやく』ような人物に会うことになったようだ。
「僕を? 保護ですか?」
僕を保護とは……どういう事だろう。
ただの旅人になった僕を、誰が? 何から?
「うむ。保護の理由はラミレア王国の害意から君を守るため。あとはラミレア王国が気に食わないから嫌がらせを含む、とのことだ」
「い……嫌がらせって……」
「手配文の中身は私も教えてもらった。君を実際に見た感じだと理由も無く無茶をするようには見えないが?」
「……ええ、それなりに嫌な思い出は」
「君の思い出に及ぶかは計りかねるが、少なくともここ数年のあの国は、他国に対して友好的とは言い難い事をしている、そこは間違い無い」
正直、以前知ったやり方ひとつでもラミレア王国は悪辣だった。人の気持ちを踏みにじるようなやり口は知った者なら褒めたりはしないだろう。
『気に食わないから嫌がらせ』は気持ちの上では解らなくも無い。僕だってそのくらいしてやりたくなるんだから。
でも……
「その方は解っていらっしゃるんですか? 僕を捕まえたがっているのはラミレア王国ですよ? 国です。個人じゃ無くて。そんな危険なこと」
嫌がらせで済む規模じゃ無くなる可能性がある。当然だけど、僕を理由に恨みを買うかも知れないのだ。
ほぼ間違い無く友好的ではいられない。
「うむ。よくよく解っておられるよ。その上でだ。ご本人の言葉をお借りするなら『品位の足りない国ひとつより価値ある人間ひとり」だそうだ」
「それは……随分極端な方なんですね」
まるで僕を知っているような言葉だと思う反面、知っていたら価値あるなんて言葉は出てこないだろうとも思う。
自慢にもならないけど、非力なただの旅人なのだから。
でも、僕はその人に興味が湧いてきた。
考え方は極端過ぎるかも知れないが、その思い切りには憧れるものがある。
「保護して頂けるというお言葉はとてもありがたいのですが、僕が原因で何かご迷惑をおかけするのは望みません。でも、お話を聞いている内にその方にお会いしてみたい気持ちが……いえ、言葉を飾らずに言うと、凄く興味を惹かれています」
ムリョウさんはまた面白そうな顔をする。
「……君とあの方はどこか似ているのかも知れんな。それでは、私の顔を立てるつもりで一度お会いしてみて貰えんかな? あの方も方々に声をかけていたから、こんなに近くで見つかったとなれば喜ばれるだろう」
「……解りました」
「そうか、それはありがたい。あの方にはこの国も世話になっているのでな」
僕はどうやら『国を相手に嫌がらせ』したり『国を相手に世話をやく』ような人物に会うことになったようだ。
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