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歌い手の旅
第57話 それぞれの、夜です
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ポロローン……
「~~♪」
歌い終わった僕がお辞儀をすると、大きな拍手を貰う事が出来た。
今は夜。街の広場にオフェリアとアルバスタの兵が集まり、街の女性達が作ってくれた料理を皆で頂いている。
夜の空に染みて行くように、いくつもの大きな鍋や鉄板から煙が昇っている。
両国の人達が交流しながら様々な料理を食べたり歌ったりしている様子は、まるで祭りの夜みたいに見える。
「お兄ちゃん、はい!」
「こっちのも美味しいよ!」
「ありがとう、頂くね」
僕の元へ色々な料理を届けてくれる子供達は、あの南の集落で出会った子供達だ。
怪我をしてしまった親と共に、一時的に王都へ避難してきているそうだ。
あの夜と比べて随分と元気が戻ったようで、駆け回っている子供もいる。
(小さい頃、デュランやエメラダと収穫祭を回った時のことを思い出すなぁ……)
幼い頃は3人でよくお祭りを回ったりした。
幼年学校を出た後くらいから、デュランは王子としての勉強のため一緒に過ごせる時間が減ってしまったのだ。
それでも、こちらから訪ねて行けば会えたし……親友として付き合っていたつもりだった。
(今頃は何をしてるんだろう。エメラダと仲良くしているんだろうか)
今でも複雑な気持ちは当然ある。
目の前で燃えるあの火のように、全て焦がしてしまいたくなる時が無いとは言えない。
でも、旅を続けてきて……僕はあの日を後悔しているのだろうという自覚も出てきた。
次に会ったなら、冷静に話が出来るだろうか。
走り回る子供達を見て、もう1度楽器を持ち出した。
「~~♪」
子供達が駆け寄ってくる。
大きな瞳が篝火を映して星みたいに見えた。
「~~♪」
叶うなら、この歌が届けば良いと思う。
今は遠い、故郷の街まで。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
大陸の北西、ローア王国。
その城ではそれぞれの思惑が交差していた。
自国の覇権を画策する者。
自分の意思を貫こうとする者。
自分の欲望に飲まれた者。
3者はそれぞれの思惑を胸に手を取り合う。
他者を拒絶し、己のために。
「~~♪」
歌い終わった僕がお辞儀をすると、大きな拍手を貰う事が出来た。
今は夜。街の広場にオフェリアとアルバスタの兵が集まり、街の女性達が作ってくれた料理を皆で頂いている。
夜の空に染みて行くように、いくつもの大きな鍋や鉄板から煙が昇っている。
両国の人達が交流しながら様々な料理を食べたり歌ったりしている様子は、まるで祭りの夜みたいに見える。
「お兄ちゃん、はい!」
「こっちのも美味しいよ!」
「ありがとう、頂くね」
僕の元へ色々な料理を届けてくれる子供達は、あの南の集落で出会った子供達だ。
怪我をしてしまった親と共に、一時的に王都へ避難してきているそうだ。
あの夜と比べて随分と元気が戻ったようで、駆け回っている子供もいる。
(小さい頃、デュランやエメラダと収穫祭を回った時のことを思い出すなぁ……)
幼い頃は3人でよくお祭りを回ったりした。
幼年学校を出た後くらいから、デュランは王子としての勉強のため一緒に過ごせる時間が減ってしまったのだ。
それでも、こちらから訪ねて行けば会えたし……親友として付き合っていたつもりだった。
(今頃は何をしてるんだろう。エメラダと仲良くしているんだろうか)
今でも複雑な気持ちは当然ある。
目の前で燃えるあの火のように、全て焦がしてしまいたくなる時が無いとは言えない。
でも、旅を続けてきて……僕はあの日を後悔しているのだろうという自覚も出てきた。
次に会ったなら、冷静に話が出来るだろうか。
走り回る子供達を見て、もう1度楽器を持ち出した。
「~~♪」
子供達が駆け寄ってくる。
大きな瞳が篝火を映して星みたいに見えた。
「~~♪」
叶うなら、この歌が届けば良いと思う。
今は遠い、故郷の街まで。
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大陸の北西、ローア王国。
その城ではそれぞれの思惑が交差していた。
自国の覇権を画策する者。
自分の意思を貫こうとする者。
自分の欲望に飲まれた者。
3者はそれぞれの思惑を胸に手を取り合う。
他者を拒絶し、己のために。
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