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第二章 第五節 もう一人のマユリア
6 先々代
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「奥宮に入れる人間ってのは侍女と衛士と、それから?」
「衛士でも一部だな。それから侍医と神官長ぐらいか」
「あんたは奥宮に入れるのか?」
「一応はな」
「すげえやつだったんだな、隊長」
「その隊長と言うのはやめろ」
ルギが眉間に皺を寄せる。
「隊長じゃねえか」
「おまえにはなんとなく呼ばれたくない」
「じゃあなんだよ」
「ルギでいい」
「呼び捨てもなあ、なんか、あんたの部下にぶっ殺されそうな気がするんだが」
「ぶっ殺されるような玉じゃないだろう」
「まあな」
あっさりと認める。
「うぬぼれてるな」
「あんたほどじゃねえよ」
洞窟でのやり取りを引き合いに出す。
「まあ、揉めるような話はやめとこうぜ」
「そうだな」
どちらもそのあたりのことは弁えている。
「まあじゃあ、ルギでいいか」
「構わん」
「ルギは入れるんだな」
「入れると言っても警備に必要な場所だけだ」
「シャンタルの自室なんてのには」
「入れるわけがない」
「そうか。入れるのって誰だよ」
「奥宮は女性の領域だ、俺も実際に誰とかまでは分からんが、マユリアとキリエ様、それから選ばれた侍女だろう」
「選ばれた侍女ってのは?」
「誓いを立てた侍女のうち特に信用をおけるもの、だな」
「誓いを立てた、か」
一瞬トーヤの顔が曇る。
「なんだ?」
「いや、なんでもない。誓いを立てるってのはそこそこ年季の入った侍女なんだろ?」
「そうだな、大部分が役付きの方だ」
「ってことはおばはんか」
「失礼な言い方はよせ」
「いや、すまん、じゃあ熟女か」
「おまえのものの言い方はいちいち下品だ」
ルギがため息をつく。
「生まれと育ちがあれだからしゃあねえ」
トーヤが両肩をすくめる。
「まあいい。そうだな年経る方が多いな」
「ベテランさんだな。ってことはやっぱりミーヤが連れ出すってのは無理か」
「おい、ミーヤにそんなことをやらせるつもりだったのか!」
ルギが驚いて声をあげる。
「だから無理だなって言ってる。可能性の一つだよ」
「驚いた」
「それなりに腕がないと無理だからな。あんたがいけりゃあいいんだが」
「おい」
「わあってるって」
ルギがほっと息をつく。
「悪い冗談だ」
「冗談でもなかったんだけどなーまあ無理ならしょうがない」
「無茶を言う」
「うーん、誰か、シャンタルの近くにいてシャンタルの秘密を知っててシャンタルを助けたくてシャンタルを連れ出してくれるような人、いねえのかよ」
「いるわけが……」
ルギが言葉を止める。
「なんか、心当たりありそうだな」
「…………」
「なんだよ、もったいぶるなよ」
「もったいぶってるわけではないが、だが……」
「誰なんだよ」
ルギが下から見上げるようにトーヤを見る。
「まずはおまえも言っていたマユリアとキリエ様だ」
「ああ!」
あまりに近すぎて思い浮かばなかった。
「確かにあの2人ならやれるな」
「だがお立場上むずかしいだろう」
「だよな~」
何しろマユリアは当日の主役の一人、そしてキリエはその主役を一番近くで支える役目だ。2人ともシャンタルと一緒にいても不思議ではないが、連れ出すとなると目立ち過ぎる。
「そんじゃ結局無理じゃねえかよたいちょ~」
「だからその呼び方はするなと言っている」
「だってよ」
「そのお二人と同じような立場であまり表に出てこられない方がいらっしゃる」
「誰だよそれ」
「ラーラ様だ。先代マユリア、つまり先々代のシャンタルだ」
「え、先々代だ?そんな人がいるのかよ!」
「もちろんいらっしゃる。マユリアの座を降りられた後、そのまま侍女として宮に残られた」
「え、マユリアって人間に戻ったら後宮に入るんじゃねえのかよ?」
「そんなはずがあるか」
「だって今のマユリアはそうだって」
「それは後宮がそう望まれたからだ」
ルギの表情がわずかばかり曇る。
「そんじゃそれまでのマユリアってか、シャンタルか?まあどっちでもいいけど、人間に戻った後どうしてるんだ?」
「それは色々らしいが、俺もそう存じ上げているわけではないからな」
「そうか、あんたもなんだかんだ言ってまだ若いわな」
「俺が存じ上げるのは当代と先代、それからそのラーラ様だけだ」
「ミーヤもなんかそんなこと言ってたな。宮に侍女としているならそりゃ知ってるか」
「とはいっても、ほぼ表には出てこれらない方だからな。俺も3回ほどお見かけしただけだ」
「……なあ、やっぱりべっぴんか?」
「何だと?」
「いや、だってマユリアもシャンタルも違いはあるがどっちもすげえべっぴんじゃねえかよ」
「その基準で言うのならごく普通の方だと思う」
「え、そうなの?」
「何を期待しているんだ」
「だってなあ、先々代ってことは今は30歳ぐらいか?う~ん、ある意味女盛り……」
「おまえは何を言っている……」
ルギが呆れたようにトーヤを見る。
「冗談だって……」
「とてもそうは聞こえん……」
「衛士でも一部だな。それから侍医と神官長ぐらいか」
「あんたは奥宮に入れるのか?」
「一応はな」
「すげえやつだったんだな、隊長」
「その隊長と言うのはやめろ」
ルギが眉間に皺を寄せる。
「隊長じゃねえか」
「おまえにはなんとなく呼ばれたくない」
「じゃあなんだよ」
「ルギでいい」
「呼び捨てもなあ、なんか、あんたの部下にぶっ殺されそうな気がするんだが」
「ぶっ殺されるような玉じゃないだろう」
「まあな」
あっさりと認める。
「うぬぼれてるな」
「あんたほどじゃねえよ」
洞窟でのやり取りを引き合いに出す。
「まあ、揉めるような話はやめとこうぜ」
「そうだな」
どちらもそのあたりのことは弁えている。
「まあじゃあ、ルギでいいか」
「構わん」
「ルギは入れるんだな」
「入れると言っても警備に必要な場所だけだ」
「シャンタルの自室なんてのには」
「入れるわけがない」
「そうか。入れるのって誰だよ」
「奥宮は女性の領域だ、俺も実際に誰とかまでは分からんが、マユリアとキリエ様、それから選ばれた侍女だろう」
「選ばれた侍女ってのは?」
「誓いを立てた侍女のうち特に信用をおけるもの、だな」
「誓いを立てた、か」
一瞬トーヤの顔が曇る。
「なんだ?」
「いや、なんでもない。誓いを立てるってのはそこそこ年季の入った侍女なんだろ?」
「そうだな、大部分が役付きの方だ」
「ってことはおばはんか」
「失礼な言い方はよせ」
「いや、すまん、じゃあ熟女か」
「おまえのものの言い方はいちいち下品だ」
ルギがため息をつく。
「生まれと育ちがあれだからしゃあねえ」
トーヤが両肩をすくめる。
「まあいい。そうだな年経る方が多いな」
「ベテランさんだな。ってことはやっぱりミーヤが連れ出すってのは無理か」
「おい、ミーヤにそんなことをやらせるつもりだったのか!」
ルギが驚いて声をあげる。
「だから無理だなって言ってる。可能性の一つだよ」
「驚いた」
「それなりに腕がないと無理だからな。あんたがいけりゃあいいんだが」
「おい」
「わあってるって」
ルギがほっと息をつく。
「悪い冗談だ」
「冗談でもなかったんだけどなーまあ無理ならしょうがない」
「無茶を言う」
「うーん、誰か、シャンタルの近くにいてシャンタルの秘密を知っててシャンタルを助けたくてシャンタルを連れ出してくれるような人、いねえのかよ」
「いるわけが……」
ルギが言葉を止める。
「なんか、心当たりありそうだな」
「…………」
「なんだよ、もったいぶるなよ」
「もったいぶってるわけではないが、だが……」
「誰なんだよ」
ルギが下から見上げるようにトーヤを見る。
「まずはおまえも言っていたマユリアとキリエ様だ」
「ああ!」
あまりに近すぎて思い浮かばなかった。
「確かにあの2人ならやれるな」
「だがお立場上むずかしいだろう」
「だよな~」
何しろマユリアは当日の主役の一人、そしてキリエはその主役を一番近くで支える役目だ。2人ともシャンタルと一緒にいても不思議ではないが、連れ出すとなると目立ち過ぎる。
「そんじゃ結局無理じゃねえかよたいちょ~」
「だからその呼び方はするなと言っている」
「だってよ」
「そのお二人と同じような立場であまり表に出てこられない方がいらっしゃる」
「誰だよそれ」
「ラーラ様だ。先代マユリア、つまり先々代のシャンタルだ」
「え、先々代だ?そんな人がいるのかよ!」
「もちろんいらっしゃる。マユリアの座を降りられた後、そのまま侍女として宮に残られた」
「え、マユリアって人間に戻ったら後宮に入るんじゃねえのかよ?」
「そんなはずがあるか」
「だって今のマユリアはそうだって」
「それは後宮がそう望まれたからだ」
ルギの表情がわずかばかり曇る。
「そんじゃそれまでのマユリアってか、シャンタルか?まあどっちでもいいけど、人間に戻った後どうしてるんだ?」
「それは色々らしいが、俺もそう存じ上げているわけではないからな」
「そうか、あんたもなんだかんだ言ってまだ若いわな」
「俺が存じ上げるのは当代と先代、それからそのラーラ様だけだ」
「ミーヤもなんかそんなこと言ってたな。宮に侍女としているならそりゃ知ってるか」
「とはいっても、ほぼ表には出てこれらない方だからな。俺も3回ほどお見かけしただけだ」
「……なあ、やっぱりべっぴんか?」
「何だと?」
「いや、だってマユリアもシャンタルも違いはあるがどっちもすげえべっぴんじゃねえかよ」
「その基準で言うのならごく普通の方だと思う」
「え、そうなの?」
「何を期待しているんだ」
「だってなあ、先々代ってことは今は30歳ぐらいか?う~ん、ある意味女盛り……」
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「冗談だって……」
「とてもそうは聞こえん……」
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