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第二章 第五節 もう一人のマユリア
18 一休み
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トーヤは鼻腔をくすぐるいい匂いで目を覚ました。
「重いなあ、この……」
半分自分に乗っかっているダルを押しのけて顔を上げると、テーブルの上にはきちんと2人分の食事が並んでいる。
テーブルの上から昨夜の食器がなくなっているのに気づき、見渡してみて目立たないところに置かれているのを見つけた。ミーヤがリルに気を使ってのことだとすぐに分かった。
ダルを起こして遅い朝食をとることにした。
「だからな、あのパンのことは内緒にな」
「うん、分かったよ、リルさんに申し訳ないもんな」
「だな」
それから、リルに何か聞かれた時のために色々と何をやったかとかの話を決めた。
「半分はキノスでのことを入れりゃいいな。海を渡ったことさえ言わなけりゃ大丈夫だろう」
「町をうろうろして飯食って、そんで俺がちょっと飲みすぎたってことでもいいよ」
「あ、そりゃいいかもな。そんで俺が肩貸してそのまま戻って、そんで力尽きてここで寝ちまったってことでいいか」
「だな」
食べ終わって2人を呼ぶ。
「昨日は遅かったんですね。何をなさってたんでしょう?」
食器を片付け終わったら、思った通りにこにこしながらリルが聞いてきた。
「あのー……まあ色々です。最後に俺がちょっと飲み過ぎちゃって、そんで休んでたりしたので遅くなりました」
「まあ、お体にさわりますよ、お気をつけてくださいね」
そうして「昨日出かけたままのお姿ですから」と、身支度を整えるためにリルに引っ張られるようにダルは自分の部屋へ帰っていき、それを見送ったトーヤが涙を流すほど笑った。
「いやあ、ダルのやつ、どんだけリルに惚れ込まれてんだよ。昨日俺のこといじめるからそんな目に合うんだよ」
「ダルさんがですか? 珍しいですね、どうしました?」
「え、いや、なんか、まあ話の成り行きだよ」
(言えねえ……お姉ちゃんのいるお店に行きたがってそれをミーヤに言いつけられそうになってたなんて……)
「そ、それよりな、昨日は思ったより遠出になっちまったんだ」
急いで話を変える。
洞窟を海まで行ったこと、船を確実に確保したくて思いつきのようにキノスまで行ったこと、キノスから西の情報を仕入れてきたこと、船を手に入れて戻り、また歩いて宮まで戻ってきたこと。
「まあ、それは大変でしたね。疲れたでしょう」
思いもしない遠出の話に、さすがにミーヤが驚いた顔になる。
「ほんとだよ、めちゃくちゃ疲れた」
「では今日はどうなさいます? お疲れでしょうし、部屋でお休みになってますか?」
「いや、キリエさんに会いに行きたい」
「キリエ様に?」
「昨日のことを報告したいし、そんで経費もちょこっとな」
指で少しだけ、と作って見せる。
「さすがに小船とはいえ船を買うとは思わなかったからなあ」
「そうですね、それではさすがに足りなくなりますね。ではお伺いしてきます」
「ああ、頼んだ。あんたが戻ってくるまでちっと寝るわ。あ、それとな、これ……」
ミーヤが隅に寄せていた食器を取り出す。
「ごちそうさま、助かったよ。何しろ腹ペコで帰ってきたもんでな」
「お役に立ててよかったです。あとでお湯の準備をしておきますね」
ミーヤはにっこり笑い、受け取った食器を他の食器とひとまとめにして持って部屋を出た。
言っていたように一眠りして目を覚ますとお湯の準備ができていた。疲れを流してさっぱりとして部屋に戻る。
「潮のにおいがしていましたよ」
「あ、そうか、そりゃやばいなあ……」
「どうしました?」
「いや、リルが海に行ったのに気がついてたら」
「ああ、それなら大丈夫です。リルが先に気がついてダルさんに伺ったら、酔っ払って夜の海に入ってしまったっておっしゃってました」
「冬の海にか?」
「ええ、それでリルが風邪をひいてらっしゃらないかと心配して、お湯を使った後でベッドから出ることを許してもらってません」
それを聞いてまたトーヤが大笑いをする。
「今日は一日見張られるな」
「ええ、多分」
2人で笑い合う。
「しかしなあ、ダルとリル、案外お似合いなんじゃねえか?」
「え?」
「ダルはしっかりしてるようでどっか抜けてるから、ああやって世話焼いてもらうのも悪くねえのかもな。アミちゃんも悪くねえが、いっそリルんちに婿に入ったりしたら、案外うまくやってけるかも知れないぜ」
「それは……」
ミーヤは複雑な顔をした。
昨日、リルが語っていた未来の夢、それが叶う可能性、もしかしたらになる可能性、それを思うとなぜか苦しかった。
「どうした?」
「え、いえ……」
一瞬、いっそ笑い話にしてしまうためにトーヤに昨日の話をしようかと考えたが、リルの真剣な思いを考えると結局話せなかった。
「ああ、そうでした。キリエ様が夕方近くにお部屋においでください、とのことでした」
「そうか、じゃあそれまでちょっと一休みする」
「そうですね、また夕方に起こしに来ます。それまでごゆっくり」
「ああ、助かる。多分ダルも寝かし付けられてるだろうしな」
それを聞いてミーヤが笑ってから部屋を出ていき、トーヤも昼寝の時間に入った。
「重いなあ、この……」
半分自分に乗っかっているダルを押しのけて顔を上げると、テーブルの上にはきちんと2人分の食事が並んでいる。
テーブルの上から昨夜の食器がなくなっているのに気づき、見渡してみて目立たないところに置かれているのを見つけた。ミーヤがリルに気を使ってのことだとすぐに分かった。
ダルを起こして遅い朝食をとることにした。
「だからな、あのパンのことは内緒にな」
「うん、分かったよ、リルさんに申し訳ないもんな」
「だな」
それから、リルに何か聞かれた時のために色々と何をやったかとかの話を決めた。
「半分はキノスでのことを入れりゃいいな。海を渡ったことさえ言わなけりゃ大丈夫だろう」
「町をうろうろして飯食って、そんで俺がちょっと飲みすぎたってことでもいいよ」
「あ、そりゃいいかもな。そんで俺が肩貸してそのまま戻って、そんで力尽きてここで寝ちまったってことでいいか」
「だな」
食べ終わって2人を呼ぶ。
「昨日は遅かったんですね。何をなさってたんでしょう?」
食器を片付け終わったら、思った通りにこにこしながらリルが聞いてきた。
「あのー……まあ色々です。最後に俺がちょっと飲み過ぎちゃって、そんで休んでたりしたので遅くなりました」
「まあ、お体にさわりますよ、お気をつけてくださいね」
そうして「昨日出かけたままのお姿ですから」と、身支度を整えるためにリルに引っ張られるようにダルは自分の部屋へ帰っていき、それを見送ったトーヤが涙を流すほど笑った。
「いやあ、ダルのやつ、どんだけリルに惚れ込まれてんだよ。昨日俺のこといじめるからそんな目に合うんだよ」
「ダルさんがですか? 珍しいですね、どうしました?」
「え、いや、なんか、まあ話の成り行きだよ」
(言えねえ……お姉ちゃんのいるお店に行きたがってそれをミーヤに言いつけられそうになってたなんて……)
「そ、それよりな、昨日は思ったより遠出になっちまったんだ」
急いで話を変える。
洞窟を海まで行ったこと、船を確実に確保したくて思いつきのようにキノスまで行ったこと、キノスから西の情報を仕入れてきたこと、船を手に入れて戻り、また歩いて宮まで戻ってきたこと。
「まあ、それは大変でしたね。疲れたでしょう」
思いもしない遠出の話に、さすがにミーヤが驚いた顔になる。
「ほんとだよ、めちゃくちゃ疲れた」
「では今日はどうなさいます? お疲れでしょうし、部屋でお休みになってますか?」
「いや、キリエさんに会いに行きたい」
「キリエ様に?」
「昨日のことを報告したいし、そんで経費もちょこっとな」
指で少しだけ、と作って見せる。
「さすがに小船とはいえ船を買うとは思わなかったからなあ」
「そうですね、それではさすがに足りなくなりますね。ではお伺いしてきます」
「ああ、頼んだ。あんたが戻ってくるまでちっと寝るわ。あ、それとな、これ……」
ミーヤが隅に寄せていた食器を取り出す。
「ごちそうさま、助かったよ。何しろ腹ペコで帰ってきたもんでな」
「お役に立ててよかったです。あとでお湯の準備をしておきますね」
ミーヤはにっこり笑い、受け取った食器を他の食器とひとまとめにして持って部屋を出た。
言っていたように一眠りして目を覚ますとお湯の準備ができていた。疲れを流してさっぱりとして部屋に戻る。
「潮のにおいがしていましたよ」
「あ、そうか、そりゃやばいなあ……」
「どうしました?」
「いや、リルが海に行ったのに気がついてたら」
「ああ、それなら大丈夫です。リルが先に気がついてダルさんに伺ったら、酔っ払って夜の海に入ってしまったっておっしゃってました」
「冬の海にか?」
「ええ、それでリルが風邪をひいてらっしゃらないかと心配して、お湯を使った後でベッドから出ることを許してもらってません」
それを聞いてまたトーヤが大笑いをする。
「今日は一日見張られるな」
「ええ、多分」
2人で笑い合う。
「しかしなあ、ダルとリル、案外お似合いなんじゃねえか?」
「え?」
「ダルはしっかりしてるようでどっか抜けてるから、ああやって世話焼いてもらうのも悪くねえのかもな。アミちゃんも悪くねえが、いっそリルんちに婿に入ったりしたら、案外うまくやってけるかも知れないぜ」
「それは……」
ミーヤは複雑な顔をした。
昨日、リルが語っていた未来の夢、それが叶う可能性、もしかしたらになる可能性、それを思うとなぜか苦しかった。
「どうした?」
「え、いえ……」
一瞬、いっそ笑い話にしてしまうためにトーヤに昨日の話をしようかと考えたが、リルの真剣な思いを考えると結局話せなかった。
「ああ、そうでした。キリエ様が夕方近くにお部屋においでください、とのことでした」
「そうか、じゃあそれまでちょっと一休みする」
「そうですね、また夕方に起こしに来ます。それまでごゆっくり」
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それを聞いてミーヤが笑ってから部屋を出ていき、トーヤも昼寝の時間に入った。
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