先生、運営が仕事してくれません!

紫堂 涼

文字の大きさ
23 / 29
獣人の町

第十六話

しおりを挟む
『サクヤ、ヘ~~~ルプ!!』

 ……耳が痛い。
 ログインすると同時の救援要請に、佐久弥はきょろきょろと辺りを見回すが拓也の影一つない。
『あ~wisウィス知んねぇかな……ステータスウインドウ開いて右の方見てみ。whisperって意味。それ押して相手指定したら話し出来んだよ』
 ふむふむ、と一人頷くと佐久弥は久々にステータスウインドウに指を滑らせる。


 * * *

 サクヤ LV38

 【スキル】
  ・テイム
  ・採取

 ……ここで見るのを止めた。異常な数値など見てはいない。

 とりあえずLVの端の方にあったwisを選択し、話しかけられているせいか『リリィ』の名が光っているのを見てそこを押す。
「あ~聞こえるか?何かあったか」
『お、聞こえる聞こえる!サクヤ、ヘルプ!』
「何を助けろってんだよ。あとうるせー」
 どれだけ大きな声を出しているのか、佐久弥の耳が今も痛い。
『あー……その、嫌だと思うんだが……』
 急に声が小さくなり、言いよどみ始める拓也を佐久弥は一刀両断する。
「しおらしいお前がろくなこと言わないのは知ってる。言うんならとっとと言え」
 今まで拓也がこんな声を出すたびに面倒ごとに巻き込まれていた佐久弥は、どの道巻き込むこと決定なんならとっとと言えと促す。
『うちのメンバーと採取一緒に行ってくれ!!』
 キーンと痛む耳と、それ以上に痛む頭に佐久弥は不本意だと教えるために深く溜め息をつく。
『マジ、マジお願い!糸取りに行ったんだけど、ジャイアントスパイダー出てきてくんねぇのよ!』
「こないだお前順調に採取できてたじゃないか」
『俺一人で行った時は、何とか数匹出てきてくれてちょっとは採取出来たんだけど、他の奴らが一緒だともうアウト。他の奴らだけで行かせてみたら下手すりゃ戦闘』
 弱りきった声で続ける拓也に、しばし迷う。
「俺が行ったからって何が変わるわけでも無いと思うがな」
『そんときゃそん時で、他の理由あるのか探すだけだ。とりあえず可能性一個ずつ潰していきてェんだよ……無理にってんじゃないけどさぁ……』
 ぼそぼそと続ける拓也が、どんな顔をしているのかまでわかる付き合いってのも問題有りだと思う。
 どうせあのいつもはしかめられている眉を情け無さそうに垂れさせ、リリィの姿でやってたように拗ねたような口をして……そこまで考えて、気持ち悪くなり却下したくなるのを意思の力でねじ伏せる。
「何人」
『本当は五人って言いたいところだが……三人』
 佐久弥の許容ギリギリラインをきっちり狙ってくるところが気に食わない。
「……了解」
『マジすまねー!今度飯奢る!』
「ばぁか。万年金欠野郎が大きく出るんじゃない」
 拓也の謝罪を聞き流し、そのまま合流地点を話し合う。あんな風に返しはしたものの、どうせ後日酒の一本でも持ってくるのを知っているからだ。


「ごめんねぇ~さっくん。無理言っちゃって☆」
 町の入り口で佐久弥が門番と雑談を交わしながら待っていると、久々の寒気のする声が投げかけられる。
(帰ろう、よしそうしよう)
「待って待ってさっくん~っっ!!」
 反射的に背を向けた佐久弥のフードの裾はがっちり拓也に掴まれる。
「わかっちゃいるが……気持ちわりぃ」
 ぼそ、と拓也にだけ聞こえる程度の小さな声で呟く。
 佐久弥にしてもわかってはいるのだ。今ここに居るのは普段リリィとして行動している拓也の仲間なのだと。ならば……この面子でいる間中、拓也はあの寒気のする口調のままという事だ。浮かぶ鳥肌を擦ることで少しでも抑えようとしながら、佐久弥は他の面子に向き合う。

「ごめんね、突然無茶言っちゃって。私はケイ。今日はよろしくね」
 さらりとした長い茶髪を背に流した女性が控えめに告げると、続いて他の二人も申し訳無さそうに名乗りはじめる。
「ちょっと手詰まりでさ。悪いな~とは思ったけど付き合ってもらえて嬉しいよ。あたしは弥生。よろしくね」
 首までの長さの赤毛を揺らしながら弥生は軽く手を上げる。
「面倒をかけるがよろしく。シュウだ」
 最後は強くウェーブがかった髪を後ろで一つにまとめている男が簡潔に告げる。
「こちらこそよろしく。サクヤだ。……普段一人で動いているから、失礼な事をしたらすまない」
「そ~し~て~、みんなのアイドルリリィちゃんでっす☆」
「うざい」
 ゴツリと頭に拳を入れ、痛い痛いと文句を言う拓也を全員で置き去りにしつつ、洞窟へと向かう。


「これは……すごいな」
 ざわりと巣の奥から出てくる大量の蜘蛛に、シュウの顔が少し白い。
「う~この量はちょっと……」
 頬を引き攣らせながら弥生は一歩後ろに下がる。
「あら、いっぱいね。これは大漁?」
 一番繊細そうなケイは嬉しそうに手をわきわきさせている。
 またもや円陣を組んだかと思うと、大半は佐久弥の周りに集い、次いで拓也の周り。残りは数匹ずつ様子を見るようにケイ達の前に近付いて行く。
 来たついでだしと、しゅるしゅる糸を佐久弥が巻き始めると、残りの皆も戸惑いながらも糸巻きを始める。

「きゃ~っ大漁!!さいっこー!!これで色々作れるわ!!」
 採取が進めば進むほどケイは元気一杯だ。
「なんで頭に乗るのぉ……?」
 本体に頭の上に居座られ、涙目で呟く弥生だが……その手は見事な動きを見せている。
「…………」
 シュウは最早無心だ。青ざめていたはずの顔も元に戻り、黙々と糸を巻いてゆく。
 順調に糸巻きが進む光景に、佐久弥は傍にいた蜘蛛に声をかける。
「今日は人数多いからな~糸抜いてもらうなら狙い目だぞ」
 考えるように一度動きを止めた蜘蛛が、さかさかと洞窟の奥へと向かって行き――大量に引き連れて戻ってきた。
「呼びすぎだ!」
 佐久弥が叫ぶが、すでに足の踏み場もないほどの蜘蛛に囲まれる。
「ふ、ふぐ……っ、糸、糸のためなら……っ」
 とうとう弥生は鼻声だ。何がそこまで彼女を駆り立てているのか佐久弥にはわからない。

「おいでおいで、痛いことないからね~」
 語尾にハートマークが付きそうなほど浮かれているケイに、一瞬その周りの蜘蛛が空間を作る。ちょっと怖かったらしい。
 たすけて~と数匹が佐久弥に向かってわっしゃわっしゃと足を振っているが、助けられそうにないと、佐久弥はそっと視線をらした。

 逆に怯える姿が楽しいのか、糸を抜いてもらっている間の本体が何匹も弥生に密集する。全身を蜘蛛に覆われ、もう弥生の目は虚ろだ。それなのに手の動きは変わらないのが不思議でならない。

 一番平和なのはシュウのところだ。もう蜘蛛もシュウの事を一切気にしてない。本体が弥生のところへ行くときなど、近道とばかりにシュウの身体を乗り越えて行く。


「なにが違うのかなぁ~毎回さっくんに頼むわけにもいかないしぃ」
 むーんと口を尖らせる拓也に、以前コボルドにされた話を思い出す。
「俺が戦闘ゼロだからじゃね?何かこないだすんげー渋いコボルドにのんびりするか戦い続けるか選べとか言われたし」
 しゅるしゅると糸を巻きながらの会話だ。完成している糸玉の数は比較にならないが、今のところ使う予定のない佐久弥は少なくても問題ない。
「へ?なにそれ」
「リリィ、戻ってる戻ってる」
 注意しながら、先日の会話を教えると、拓也の目がキラキラし始める。
「うおー何それ、すっげぇかっけー!酒場だよな!俺も会いにいこ!」
「だから戻ってるって!!」
 ぼそぼそと片隅でしている会話だからいいが……こんなすぐに襤褸ぼろを出すようなら、とうにパーティーメンバーにばれてるんじゃなかろうかと佐久弥は思う。そして気にするべきところは会話の内容だ、そこじゃない。
「あ~だったら、リリィ達はぁ、もう戦っちゃってるから、採取難しいってことぉ?」
「コボルドのように戦闘で得る素材もあるだろうし、そうとも限らないんじゃないか。それに、簡単じゃないかもしれないが、後戻りもできるようだし」
 組み分けするかな~とぶつぶつ呟いている拓也に、まあ他の原因があるかもしれないけどなと釘を刺すことだけは忘れない。
「もちろん、ちゃんと検証するよぉ~大丈夫☆さっくんってばぁ心配性なんだから。リリィう・れ・し・い☆」
 ……いつになったらこの鳥肌はおさまるのだろうか。佐久弥がそんな事を思いながら腕を擦ると、その手が花子に触れる。

 シャキン

「「え……?」」
 宙に浮いた剣の切っ先が外からの微かな光を反射……せず、光を吸収しながらドス黒いオーラを放つ。
「…………待て花子!」
 呆然とした拓也と二人、ぼんやりと刀身を見ていた佐久弥だが、不穏な気配を察しその柄を掴むと『マスター気持ち悪がってる!倒す、倒すの!』とヒュンヒュン音を立てて拓也に襲いかかる。
(ハウス!!)
 佐久弥がそう叱責すると、しおしおとした花子は自ら鞘におさまる。
『叱られた……マスターに叱られた……』
 ぼたぼたと涙を零す花子に佐久弥も微妙な顔になる。
(あー……気持ちは、嬉しい)
『ホント!?』
 ぱぁあああ~っと花を飛ばし始めた花子に、危険は去った事を知る。
「うちの花子がすまんかった。だがもうあんまり気持ち悪い事言わないでいてくれると嬉しい」
「りょーかい」
 冷や汗を流しながら、拓也も素直に頷く。
 他の連中が慌ててないかと二人首を巡らせてみるが、そんな心配は杞憂きゆうだった。
 ――誰一人こっちを気にしていなかったのだから。

「何を作ろっかなぁ~迷っちゃうなー」
 ほくほくしながら糸を巻き続けるケイ。
「糸……蜘蛛……糸……蜘蛛……」
 もうそろそろ止めてやった方が良いかもしれない弥生。
「…………」
 機械化しているシュウ。

「……そろそろ終わりにした方が良くね?」
「……俺もそう思う」
 終了を提案する佐久弥に、拓也も真顔で頷く。


「えーもうちょっとぉおおお!!」
 一人叫ぶケイの襟首を引きずりながら、彼等は洞窟を後にした。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

魔力ゼロの俺だけが、呪いの装備を『代償なし』で使い放題 ~命を削る魔剣も、俺が持てば『ただのよく切れる剣』~

仙道
ファンタジー
現代日本で天才研究者だった相模登(さがみ のぼる)は、ある日突然、異世界へ転移した。  そこは『スキル』と『魔力』が全てを決める世界。   しかし登には、ステータス画面もなければ、魔力も、スキルも一切存在しなかった。   ただの一般人として迷宮に放り出された彼は、瀕死の女騎士と出会う。彼女の前には、使う者の命を瞬時に吸い尽くす『呪いの魔剣』が落ちていた。   武器はそれしかない。女騎士は絶望していたが、登は平然と魔剣を握りしめる。 「なぜ……生きていられるの?」  登には、剣が対価として要求する魔力は存在しない。故に、魔剣はデメリットなしの『ただのよく切れる剣』として機能した。   これは、世界で唯一「対価」を支払う必要がない登が、呪われた武具を次々と使いこなし、その副作用に苦しむ女騎士やエルフ、聖女を救い出し、無自覚に溺愛されていく物語。

親がうるさいのでVRMMOでソロ成長します

miigumi
ファンタジー
VRが当たり前になった時代。大学生の瑞希は、親の干渉に息苦しさを感じながらも、特にやりたいことも見つからずにいた。 そんなある日、友人に誘われた話題のVRMMO《ルーンスフィア・オンライン》で目にしたのは――「あなたが求める自由を」という言葉。 軽い気持ちでログインしたはずが、気づけば彼女は“ソロ”で世界を駆けることになる。 誰にも縛られない場所で、瑞希は自分の力で強くなることを選んだ。これは、自由を求める彼女のソロ成長物語。 毎日22時投稿します。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

処理中です...