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獣人の町
不穏な運営のターン
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数え切れない程の運営宛のメールに目を通し、修正するべき部分をチェックしていきながら、男は周囲の者に声をかける。
「へ~……おい、お前ら!可愛子ちゃんがプレイヤーと合流したぞ!」
珍しい、どうしたどうした、と一部手が空いている者がモニター前に集結する。
男自身も興味はあるのだが、とりあえず放置していてはまずい案件だけはピックアップしながら、周囲の反応に軽く耳をそばだてる。
それなりに騒いではいるものの、そこまで大きな動きは無さそうなのでそのまま画面に意識を向けて仕事の続きを行っていた。そんな光景がまた少し動きを見せるのはそれからしばらく経ってからだった。
「可愛子ちゃんがビッグスパイダーの所に大人数で行ったぞ~!」
「へぇ……あの子以外に可愛子ちゃん、増えるのかしらぁ……?」
「今チェックしてるが、その子らもカルマ値どっちかといえば低いぞ」
「可愛子ちゃん候補キターーー!!」
最後の一言で、わらわらとモニター前に人集りが出来る。
「お。本当だ。でも一人だけもう難しそうなのがいるな~あの背の高い奴」
「他の子はまぁまぁってとこねぇ……」
「おーい!カルマの増減ってどうなってるんだ?変更とかあったっけか?」
カルマ値の設定を担当していた別の男が、かけていた眼鏡のフレームを弄りながら呟く。
「そう……ですね。当初の予定と変更はありませんよ。襲ってこない子を倒せばカルマ値はUPしますが、襲い掛かる子を倒すのはノーカウント、あとは正しい手順を踏んだ採取法や戦い方をするのはノーカウント、うちの子たち……NPCや生き物たちと順調に好感度を上げればカルマ値はDOWN、といったところでしょうか」
「ボーナスとかってねぇんだっけ?」
モニター横の男から声をかけられ、忘れていたとぼやいて続ける。
「自分から一度も襲い掛からなかった場合には全体的に好感度が上がりやすい仕様となってますね。……それくらいでしょうか」
ああ、あと……私達を倒せば、カルマ値の大幅ダウンが可能ってのもありましたね。
そう続けられた言葉に一同が不穏な笑みを浮かべる。
「そういえば、もうそろそろかしらねぇ……」
ちらりと赤い唇を舐めながら美女がうっすらと笑む。
「そういや、次の町から課金対象だっけかぁ?」
「そうですよ先輩、先に言っておきますがあまり無茶しないで下さいよ!」
「わ~ってるよ、つか、俺より先にあっちに言えあっちに!!」
指先で妙に恐ろしい笑みを浮かべている美女を指し示され、注意していた青年が無言になる。
「……ムリムリムリ、僕にはあの人は止められません」
小声で必死に首を振る青年は、自己保身という言葉が大好きだ。
先日起きた可愛子ちゃん争奪戦において、精神的にも肉体的にも圧勝したこの美女には逆らってはいけないというのは誰もが知っている。
「腕が鳴るわぁ……テストプレイで磨き上げたこの腕、早く試したくてたまらなぁい……誰か、早く呼んでくれないかしら」
「そういえば表示どうなるんですっけ」
あえて美女から視線を逸らしながら続ける青年に誰もつっこむことは無い。
「あん?そりゃあ俺らを呼ぶんだからGMコールに決まってんだろぉ?」
「……そのこころは」
「Gamer Murderer Callってとこかぁ?ゲーマー殺人者呼び出しってか?」
「そっ、んな無理やりなこじつけしてどーすんですか!!勘違いして呼び出されたらどうすんですか!第一そんな言葉無いですよ!!」
無理やり適当な単語をくっつける男に噛み付く青年だったが、この先輩のテキトーさは今に始まった事じゃない。
まあ、実際のところゲームが滞るようなバグや不具合の場合は真面目に動く連中であるのも知っているが、きっとプレイヤーの問題行動とかだった場合、呼び出した当人もろともに制裁とかやりそうだ。
普通GMコールといったら単なるサポート要員だろう。特殊な姿でゲーム内に現れたりすることもあるが、それはよほどの事態が起きた時や、イベント時くらいというのが常識だ。
「え?だいじょーぶだいじょーぶ!カルマ値低い奴らにゃ、俺ら天使だから。そん時ゃ普通にGMコールってな」
頑張って問題解決に勤しむに決まってんだろうがと笑う男に、青年は低い声で問いかける。
「カルマ値高い人には?」
「え?そりゃもう。うちの子可愛がってくれたお礼はこの手でしねぇとな!!」
笑顔が怖い。
ダメだ、この人たちやる気だ、いや、殺る気だ。
「本当ならねぇ……もうちょっと先に実装する予定だったんだけどぉ……カルマ値の上がりが早いから救済措置の一貫として課金と同時になったのよねぇ」
獣人の町、妖精の町、そしてその次のエルフの町での実装予定だったはずのGMコール。早まったところでそれは果たして救済措置に成り得るのだろうか。
いっそGMのMは魔王の略で良いんじゃないだろうか。というかプレイヤーにとっての最大の敵はこの人達じゃないんだろうか。
楽しそうに、得意の武器は何だとか、何人かで大魔法炸裂ってのも良いよな~などと会話している面々を見ながら、青年は肩を落とす。
「普通に戦闘を楽しんでいたプレイヤーさん達が可哀想だ……っっ!!」
だが、このプレイヤー達を思い流された涙は、良くも悪くもこの世界に馴染んだプレイヤー達によって無駄にされる。
GMコール=レイドボス召喚と認識され、何か問題が起きGMコールが発生すれば、即座に多数のパーティーがレイドを組み、派手な戦闘を繰り広げるという一種のお祭り騒ぎと化す光景に、青年があの時の涙を返せとばかりに叫ぶのは、そう遠い未来のことではなかった。
「へ~……おい、お前ら!可愛子ちゃんがプレイヤーと合流したぞ!」
珍しい、どうしたどうした、と一部手が空いている者がモニター前に集結する。
男自身も興味はあるのだが、とりあえず放置していてはまずい案件だけはピックアップしながら、周囲の反応に軽く耳をそばだてる。
それなりに騒いではいるものの、そこまで大きな動きは無さそうなのでそのまま画面に意識を向けて仕事の続きを行っていた。そんな光景がまた少し動きを見せるのはそれからしばらく経ってからだった。
「可愛子ちゃんがビッグスパイダーの所に大人数で行ったぞ~!」
「へぇ……あの子以外に可愛子ちゃん、増えるのかしらぁ……?」
「今チェックしてるが、その子らもカルマ値どっちかといえば低いぞ」
「可愛子ちゃん候補キターーー!!」
最後の一言で、わらわらとモニター前に人集りが出来る。
「お。本当だ。でも一人だけもう難しそうなのがいるな~あの背の高い奴」
「他の子はまぁまぁってとこねぇ……」
「おーい!カルマの増減ってどうなってるんだ?変更とかあったっけか?」
カルマ値の設定を担当していた別の男が、かけていた眼鏡のフレームを弄りながら呟く。
「そう……ですね。当初の予定と変更はありませんよ。襲ってこない子を倒せばカルマ値はUPしますが、襲い掛かる子を倒すのはノーカウント、あとは正しい手順を踏んだ採取法や戦い方をするのはノーカウント、うちの子たち……NPCや生き物たちと順調に好感度を上げればカルマ値はDOWN、といったところでしょうか」
「ボーナスとかってねぇんだっけ?」
モニター横の男から声をかけられ、忘れていたとぼやいて続ける。
「自分から一度も襲い掛からなかった場合には全体的に好感度が上がりやすい仕様となってますね。……それくらいでしょうか」
ああ、あと……私達を倒せば、カルマ値の大幅ダウンが可能ってのもありましたね。
そう続けられた言葉に一同が不穏な笑みを浮かべる。
「そういえば、もうそろそろかしらねぇ……」
ちらりと赤い唇を舐めながら美女がうっすらと笑む。
「そういや、次の町から課金対象だっけかぁ?」
「そうですよ先輩、先に言っておきますがあまり無茶しないで下さいよ!」
「わ~ってるよ、つか、俺より先にあっちに言えあっちに!!」
指先で妙に恐ろしい笑みを浮かべている美女を指し示され、注意していた青年が無言になる。
「……ムリムリムリ、僕にはあの人は止められません」
小声で必死に首を振る青年は、自己保身という言葉が大好きだ。
先日起きた可愛子ちゃん争奪戦において、精神的にも肉体的にも圧勝したこの美女には逆らってはいけないというのは誰もが知っている。
「腕が鳴るわぁ……テストプレイで磨き上げたこの腕、早く試したくてたまらなぁい……誰か、早く呼んでくれないかしら」
「そういえば表示どうなるんですっけ」
あえて美女から視線を逸らしながら続ける青年に誰もつっこむことは無い。
「あん?そりゃあ俺らを呼ぶんだからGMコールに決まってんだろぉ?」
「……そのこころは」
「Gamer Murderer Callってとこかぁ?ゲーマー殺人者呼び出しってか?」
「そっ、んな無理やりなこじつけしてどーすんですか!!勘違いして呼び出されたらどうすんですか!第一そんな言葉無いですよ!!」
無理やり適当な単語をくっつける男に噛み付く青年だったが、この先輩のテキトーさは今に始まった事じゃない。
まあ、実際のところゲームが滞るようなバグや不具合の場合は真面目に動く連中であるのも知っているが、きっとプレイヤーの問題行動とかだった場合、呼び出した当人もろともに制裁とかやりそうだ。
普通GMコールといったら単なるサポート要員だろう。特殊な姿でゲーム内に現れたりすることもあるが、それはよほどの事態が起きた時や、イベント時くらいというのが常識だ。
「え?だいじょーぶだいじょーぶ!カルマ値低い奴らにゃ、俺ら天使だから。そん時ゃ普通にGMコールってな」
頑張って問題解決に勤しむに決まってんだろうがと笑う男に、青年は低い声で問いかける。
「カルマ値高い人には?」
「え?そりゃもう。うちの子可愛がってくれたお礼はこの手でしねぇとな!!」
笑顔が怖い。
ダメだ、この人たちやる気だ、いや、殺る気だ。
「本当ならねぇ……もうちょっと先に実装する予定だったんだけどぉ……カルマ値の上がりが早いから救済措置の一貫として課金と同時になったのよねぇ」
獣人の町、妖精の町、そしてその次のエルフの町での実装予定だったはずのGMコール。早まったところでそれは果たして救済措置に成り得るのだろうか。
いっそGMのMは魔王の略で良いんじゃないだろうか。というかプレイヤーにとっての最大の敵はこの人達じゃないんだろうか。
楽しそうに、得意の武器は何だとか、何人かで大魔法炸裂ってのも良いよな~などと会話している面々を見ながら、青年は肩を落とす。
「普通に戦闘を楽しんでいたプレイヤーさん達が可哀想だ……っっ!!」
だが、このプレイヤー達を思い流された涙は、良くも悪くもこの世界に馴染んだプレイヤー達によって無駄にされる。
GMコール=レイドボス召喚と認識され、何か問題が起きGMコールが発生すれば、即座に多数のパーティーがレイドを組み、派手な戦闘を繰り広げるという一種のお祭り騒ぎと化す光景に、青年があの時の涙を返せとばかりに叫ぶのは、そう遠い未来のことではなかった。
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