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episode.63
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「新道千様、お迎えにあがりました」
着物を着た女性が俺の歩む道の先に現れる。
♦︎
山々に挟まれた場所。
誰も寄り付くこともない辺境。
そんな場所に静かに佇む一軒家。
そこに俺はいた。
「新道千様、急にお呼びたてして申し訳ないです」
俺を呼ぶために召使いとして寄越した従者が隣に座り、その斜め前に正座して座るシロクマ。
[対象:シロクマ
LV1(禁状態)
所属:反ジャバ武帝国派
推定脅威度:L]
シロクマだから全身が白いわけじゃない。全身に白とは違う色を少々混じらせている。でも割合で言えば、白が圧倒的に占めてる。だから俺は目の前に座るシロクマをシロクマと呼ぶ。
シロクマは顔を仮面で隠しているところから察するに、訳ありなのかもしれないな。
「失礼とは思うが、ワタシはシロクマの身。顔を隠したままの非礼をお許しいただきたい」
シロクマは頭を下げる。
「ええよ。そんなん気にせんで、話を続けてくれるか」
俺の左肩に乗っているグリムが、話の続きを促す。
「実は先日……我々と敵対する武軍人達が新道様と同じ境遇の異界人を捕えたという情報が入った。そして数刻前、異界人を捕らえて護送された拠点に別の異界人から襲撃を受けた」
「それは確かなのか?」
「兄貴以外に戦ってる奴がおったんかい!」
「確かな情報源から入手した情報だ。襲撃は成功し、武軍人の数多くが殉職した。追っ手に出された武軍人も、異界人の力に敵わなかったようで撤退する状況だったと聞いている。間違いないだろう」
「なるほどな」
「ってことは、なんや?救出に成功して、武軍人達からトンズラしたってことかいな?」
「そうなる。新道様は襲った武軍人たちの命までは取られていないが、襲撃した異界人は武軍人の命まで容赦なく奪っている現状だ」
まじかよ。何が起こっているんだ?
俺以外にこの世界に飛ばされた人間で、武軍人に太刀打ち出来る人間はいないはずだ。
「信じられない話だけど、本当なんだよな?」
「にわかに信じ難いだろうが、これは事実だ」
♦︎
「氷の武軍人が負けたそうですよ」
「その話は本当なんですか?」
「標的の1人と戦い、相手に負けて、命は取られずにいたそうですよ」
「戦った氷の武軍人は……なぜ負けたのですか?」
「スキル《氷装》を使用したと聞いてますけど、まああの武軍人のことですし、自爆したんじゃないですかね。あの武軍人は登場シーンにやけにこだわってありましたし、突然の飛来で相手を脅かしてる間にサクッとやられたのかもですよ」
「どこに行っても、登場シーンには凝ってましたからね」
「そう言うてやるな。氷の武軍人が負けたと聞かされ、はいわかりましたと信じれるはずもない」
「そもそも僕らは、この世界の人間じゃないですしね。まさか、あの熊さんに僕らのいた世界とは別の世界に飛ばす力があったとは……」
「ここが俺たちのいた世界ではない以上、仮の仲間達にも気取られるなよ。気取られれば、標的リストに載せられる。載せられれば、共に戦って生き残った仮の仲間達が俺たちの自由を奪いに押し寄せてくるのだから……」
着物を着た女性が俺の歩む道の先に現れる。
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山々に挟まれた場所。
誰も寄り付くこともない辺境。
そんな場所に静かに佇む一軒家。
そこに俺はいた。
「新道千様、急にお呼びたてして申し訳ないです」
俺を呼ぶために召使いとして寄越した従者が隣に座り、その斜め前に正座して座るシロクマ。
[対象:シロクマ
LV1(禁状態)
所属:反ジャバ武帝国派
推定脅威度:L]
シロクマだから全身が白いわけじゃない。全身に白とは違う色を少々混じらせている。でも割合で言えば、白が圧倒的に占めてる。だから俺は目の前に座るシロクマをシロクマと呼ぶ。
シロクマは顔を仮面で隠しているところから察するに、訳ありなのかもしれないな。
「失礼とは思うが、ワタシはシロクマの身。顔を隠したままの非礼をお許しいただきたい」
シロクマは頭を下げる。
「ええよ。そんなん気にせんで、話を続けてくれるか」
俺の左肩に乗っているグリムが、話の続きを促す。
「実は先日……我々と敵対する武軍人達が新道様と同じ境遇の異界人を捕えたという情報が入った。そして数刻前、異界人を捕らえて護送された拠点に別の異界人から襲撃を受けた」
「それは確かなのか?」
「兄貴以外に戦ってる奴がおったんかい!」
「確かな情報源から入手した情報だ。襲撃は成功し、武軍人の数多くが殉職した。追っ手に出された武軍人も、異界人の力に敵わなかったようで撤退する状況だったと聞いている。間違いないだろう」
「なるほどな」
「ってことは、なんや?救出に成功して、武軍人達からトンズラしたってことかいな?」
「そうなる。新道様は襲った武軍人たちの命までは取られていないが、襲撃した異界人は武軍人の命まで容赦なく奪っている現状だ」
まじかよ。何が起こっているんだ?
俺以外にこの世界に飛ばされた人間で、武軍人に太刀打ち出来る人間はいないはずだ。
「信じられない話だけど、本当なんだよな?」
「にわかに信じ難いだろうが、これは事実だ」
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「氷の武軍人が負けたそうですよ」
「その話は本当なんですか?」
「標的の1人と戦い、相手に負けて、命は取られずにいたそうですよ」
「戦った氷の武軍人は……なぜ負けたのですか?」
「スキル《氷装》を使用したと聞いてますけど、まああの武軍人のことですし、自爆したんじゃないですかね。あの武軍人は登場シーンにやけにこだわってありましたし、突然の飛来で相手を脅かしてる間にサクッとやられたのかもですよ」
「どこに行っても、登場シーンには凝ってましたからね」
「そう言うてやるな。氷の武軍人が負けたと聞かされ、はいわかりましたと信じれるはずもない」
「そもそも僕らは、この世界の人間じゃないですしね。まさか、あの熊さんに僕らのいた世界とは別の世界に飛ばす力があったとは……」
「ここが俺たちのいた世界ではない以上、仮の仲間達にも気取られるなよ。気取られれば、標的リストに載せられる。載せられれば、共に戦って生き残った仮の仲間達が俺たちの自由を奪いに押し寄せてくるのだから……」
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