26 / 67
episode.25
しおりを挟む
青い空。
真っ直ぐ見た先には山がある。
離れた先には白いガードレールが左右に伸び、道路がある。
後ろを振り返り、辺りを見渡す。
辺り一帯に広がる大地。
遠くには湖が広大に広がる。
大地の向こう側――湖側――から、ゆっくりと湖の波が押し寄せてきてる。
そして俺の目の前に鎮座した大鳥居。
俺以外の全員も、目を惹く大鳥居。
全員が大鳥居に視線を集中する。
「……この鳥居って……」
「……これあれじゃん……」
「……おじさん、この鳥居に見覚えあるよ……」
「……僕も覚えてるよ……」
「……あの鳥居じゃないっすか⁉︎……」
「すごーい。おおきいねー」
千葉達が大鳥居を指差し、それぞれの今思った言葉を口にした。
俺の隣にいた遠山は大鳥居へ一歩二歩と前進し、右手で触れる。
「……私も覚えてるぞ。これは私達が目を覚ました際、最初にいた……白い世界。そこにあった大鳥居じゃないか⁉︎」
触れた瞬間、何か確認したのか?遠山が声を大にして、叫んだ。
「……やっぱり……」
「……美紅人が言うなら……ガチやん……」
「……え?何で現実にあるの⁉︎……」
「……モリケン、僕に聞いても僕も分からないよ……」
「……どうなってるんすか⁉︎……」
千葉達は遠山の発言で、自分達が思っていた事と一致したらしく驚きを隠せずにいる。そおいう俺も、大鳥居を見つめたまま驚いてる。
「お兄ちゃん達、お姉ちゃん達、どうしたの?」
夏奈華は頭にクエスチョンマークが浮かんでるようで、俺たちが何故驚いてるのか?夏奈華だけが理解してないようだ。
「おい、グリムこれはどうなってんだ⁉︎」
俺は左肩で静かに黙ってるグリムに問いかける。だが、返事は返ってこない。
「グリム?」
左肩へ視線を向ける。
「すーはーすーはー」と空気を吸っては息を吐き、グリムはぐったり眠ってる。
こんな時に何で寝てんだよ⁈
俺はグリムを右手で掴み、
「グリム、起きてくれ!」
顔の真正面に持ってきて、起こす。
グリムは目を薄っすら開ける。
その目を見ただけで分かる。
凄い眠いんだろうなってことが。
「……兄貴、すんまへん……わい、力使た反動で……眠らなあかん……の……すまんま……へん……」
グリムは力を振り絞って、俺にそう言うと再び深い眠りについた。
「まじかよ⁉︎そんな事あるなら、最初に教えてくれよ!」
俺は心の中で叫んだ言葉が、そのまんま口から自然と出ていた。
俺の言葉を聞いた遠山を除いた全員が振り返り、グリムの状況を察する。
大鳥居の謎が分からない。
時間が経つ毎に湖の波が、俺たちのいる方向へ近づいてくる。
そんな中、遠山が確信を持って言う。
「この大鳥居はそうに違いない。私は大鳥居を白い世界で見る前から知っていた。この風景、遠くから押し寄せる波、広大な湖……間違いない。大鳥居は、湖中鳥居だ!」
湖中鳥居?
遠山の言った言葉に聞き覚えがある。
遠山は話を続ける。
「ここは私達がいた白い世界ではない。ここは正真正銘の私達がいた日本!今立っている場所は、日本の滋賀県だ!その証に広大な湖、あれは琵琶湖だ!」
遠山は湖を指差す。
「……まじかよ」
「帰ってきたって……ことじゃん」
「美紅人が言うなら……ガチの日本ってことやん」
「……よしっ!日本帰還確定だこれ」
「日本に帰ってきたわけだ。それも滋賀県って……」
「遠山さん、すげーっす!」
「しがけん?」
「夏奈華ちゃんの住んでた日本ってこと」
「そーなの!やったー!」
全員が喜ぶ。
「元々は今立っている#位置#__ここ__#も、琵琶湖に入るんだが……どおいうわけか?湖の水源が遥か向こうまで押し出されてるようだ。私の推測では琵琶湖自体の反動は大きいはずだ。ここも時期に波が押し寄せ、琵琶湖に戻るだろう。さぁ、陸に上がるとしよう」
遠山はその場から走る。
俺も遠山の後を追う。
全員が岸に上り終え、
「白い世界になぜ湖中鳥居があったかは原理は分からない。だが、白い世界にあった大鳥居はまぎれもない湖中鳥居だった!」
顎に手を当てた遠山は大鳥居を一点に見つめ、断言した。
「謎の多い迷宮界に新たな謎が増えた事に変わりないが、今は日本に戻ってこれたことを喜ぼうではないか!」
琵琶湖の波が俺たちのいた場所を飲み込むのを目撃しながら、歓喜に包まれる。全員が全員、喜び合う。
真っ直ぐ見た先には山がある。
離れた先には白いガードレールが左右に伸び、道路がある。
後ろを振り返り、辺りを見渡す。
辺り一帯に広がる大地。
遠くには湖が広大に広がる。
大地の向こう側――湖側――から、ゆっくりと湖の波が押し寄せてきてる。
そして俺の目の前に鎮座した大鳥居。
俺以外の全員も、目を惹く大鳥居。
全員が大鳥居に視線を集中する。
「……この鳥居って……」
「……これあれじゃん……」
「……おじさん、この鳥居に見覚えあるよ……」
「……僕も覚えてるよ……」
「……あの鳥居じゃないっすか⁉︎……」
「すごーい。おおきいねー」
千葉達が大鳥居を指差し、それぞれの今思った言葉を口にした。
俺の隣にいた遠山は大鳥居へ一歩二歩と前進し、右手で触れる。
「……私も覚えてるぞ。これは私達が目を覚ました際、最初にいた……白い世界。そこにあった大鳥居じゃないか⁉︎」
触れた瞬間、何か確認したのか?遠山が声を大にして、叫んだ。
「……やっぱり……」
「……美紅人が言うなら……ガチやん……」
「……え?何で現実にあるの⁉︎……」
「……モリケン、僕に聞いても僕も分からないよ……」
「……どうなってるんすか⁉︎……」
千葉達は遠山の発言で、自分達が思っていた事と一致したらしく驚きを隠せずにいる。そおいう俺も、大鳥居を見つめたまま驚いてる。
「お兄ちゃん達、お姉ちゃん達、どうしたの?」
夏奈華は頭にクエスチョンマークが浮かんでるようで、俺たちが何故驚いてるのか?夏奈華だけが理解してないようだ。
「おい、グリムこれはどうなってんだ⁉︎」
俺は左肩で静かに黙ってるグリムに問いかける。だが、返事は返ってこない。
「グリム?」
左肩へ視線を向ける。
「すーはーすーはー」と空気を吸っては息を吐き、グリムはぐったり眠ってる。
こんな時に何で寝てんだよ⁈
俺はグリムを右手で掴み、
「グリム、起きてくれ!」
顔の真正面に持ってきて、起こす。
グリムは目を薄っすら開ける。
その目を見ただけで分かる。
凄い眠いんだろうなってことが。
「……兄貴、すんまへん……わい、力使た反動で……眠らなあかん……の……すまんま……へん……」
グリムは力を振り絞って、俺にそう言うと再び深い眠りについた。
「まじかよ⁉︎そんな事あるなら、最初に教えてくれよ!」
俺は心の中で叫んだ言葉が、そのまんま口から自然と出ていた。
俺の言葉を聞いた遠山を除いた全員が振り返り、グリムの状況を察する。
大鳥居の謎が分からない。
時間が経つ毎に湖の波が、俺たちのいる方向へ近づいてくる。
そんな中、遠山が確信を持って言う。
「この大鳥居はそうに違いない。私は大鳥居を白い世界で見る前から知っていた。この風景、遠くから押し寄せる波、広大な湖……間違いない。大鳥居は、湖中鳥居だ!」
湖中鳥居?
遠山の言った言葉に聞き覚えがある。
遠山は話を続ける。
「ここは私達がいた白い世界ではない。ここは正真正銘の私達がいた日本!今立っている場所は、日本の滋賀県だ!その証に広大な湖、あれは琵琶湖だ!」
遠山は湖を指差す。
「……まじかよ」
「帰ってきたって……ことじゃん」
「美紅人が言うなら……ガチの日本ってことやん」
「……よしっ!日本帰還確定だこれ」
「日本に帰ってきたわけだ。それも滋賀県って……」
「遠山さん、すげーっす!」
「しがけん?」
「夏奈華ちゃんの住んでた日本ってこと」
「そーなの!やったー!」
全員が喜ぶ。
「元々は今立っている#位置#__ここ__#も、琵琶湖に入るんだが……どおいうわけか?湖の水源が遥か向こうまで押し出されてるようだ。私の推測では琵琶湖自体の反動は大きいはずだ。ここも時期に波が押し寄せ、琵琶湖に戻るだろう。さぁ、陸に上がるとしよう」
遠山はその場から走る。
俺も遠山の後を追う。
全員が岸に上り終え、
「白い世界になぜ湖中鳥居があったかは原理は分からない。だが、白い世界にあった大鳥居はまぎれもない湖中鳥居だった!」
顎に手を当てた遠山は大鳥居を一点に見つめ、断言した。
「謎の多い迷宮界に新たな謎が増えた事に変わりないが、今は日本に戻ってこれたことを喜ぼうではないか!」
琵琶湖の波が俺たちのいた場所を飲み込むのを目撃しながら、歓喜に包まれる。全員が全員、喜び合う。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
236
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる