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第一章 船出
1、僕と執筆とダダ
しおりを挟む僕の名前は望月何某。え?どうして苗字だけで、下の名前を名乗らないかって?僕にとってその親から頂いた大層な名前はここで言わなくてもいいと思うんだ。
よく僕は変人扱いされる。しかし、僕の周りはそういった意味では変人の集まりかもしれない。僕なんて、普通の中の普通さ。
僕は旧制中学の時に結婚して、大学の時に子供が産まれれた。まあ、大正という時代だからね、そんなこと当たり前だったかもしれないけどね。
さてさて、僕が話したいのは僕自体のことじゃなくて、友人や妻のどれだけ変わっているとこうことを書いていこうと思う。
世間ではその人たちをもてはやして、尊敬させていたりするけれども、どうしても僕は変な気持ちになるんだよ。
「おーい。望月!」
話しかけてきたのは辻何某。
彼の下の名前もあえて書かない。
「辻くんは大学中に響きそうな声をしているね。」
「褒められているんだよね。」
「いや、騒音の一つと捉えてもいいよ。」
素直に褒めるなんてことは僕はしないよ。
「ねえ、このまま大学を出たら、辻くんは商売をするのかい?」
「それはつまらないね。僕は今夢を見つけたんだ。」
「それは何?」
「ダダだよ。」
ダダ?駄々?てんでわからない。
「ダダイズムっていうのはフランスで始まった自由主義さ。僕は自由を満喫して生きていこうともう。」
辻が晴れ晴れというので僕だって言い返した。
「僕だって子供や妻がいたって、堂々と大学生をしているよ。」
「そういう意味じゃない。」
「どういうこと?」
「心の中で自由であることを自由主義というだ。」
「でも、周りの人が自分をどうにかしようとするよ。」
「それをすり抜けて、自分の自由を手にするのがダダだよ。君にもきっと」
「じゃあ、僕もそのダダイズムというのに参加仕様じゃないか。」
「ん?参加とは?」
「同人を集めて本を出すのさ。」
こう見えて、僕は中学の時から執筆していた。だから先輩ということだ。
「ああ、いいね。じゃあ、僕と君で書いてみようか。」
「いいだろう!執筆では負けないよ!」
「勝ち負けじゃないよ。望月、自由を書くんだよ。」
俄然やる気が出てきた。僕は筆が遅いことで界隈では有名だが、今回は辻より早く書いてやる。
早速授業がおわったら帰宅して書いてみることにした。
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