望月アグリと申します

有住葉月

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第1章 急な嫁入り

3、ご主人様って!!

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望月アグリと申します。もう名前は覚えていただけましたでしょうか?
まだ女学校時代は夢もなく、いつかお嫁に行くんだろうなと思っていた次第でして。
そんな私が、人より少し早い嫁入りをした日のことを今日はお話ししましょう。

どこまでお話ししましたでしょうか。
そう、祝言の準備が整っても中々始まりません。
この件に関しては、前回お話ししましたね。
それで、お冠になった舅は私だけでもと大きな客間に呼ばれたのでございます。

ああ、圧巻というのはこういうことですね。
すごい人数の方が部屋を埋め尽くしておりました。
関係各所の方というのでしょうか。

私が部屋に入った時は、
「おお」とおっしゃっていただいた方もいらっしゃいました。
初めてのお化粧でしたからね。よくしていただきました。

と言っても、それから上座の席に案内されてもまだ主役の一人がやってきません。
先ほどの弟さんは行ったり来たりしています。
望月さんの方でも大変な事態だということはうっすら私の方でもわかりました。

ああ、このままお隣の方が来なくて、弟さんと結婚できたらいいのに、なんて考えておりました。

1時間もたった頃だったでしょうか。
上座の横の襖が開きまして、紋付袴の青年が
「どうもどうも、皆さんお集まりで、へへ」
と言って、ニヤついて入ってきまして。

もう、怒った顔を見てやろう、席について、横を見て睨みました。
「ありゃ?君が?」

ありゃ君が?じゃないですよ。
一生の伴侶ですよ?

「あれ?僕のこと覚えてない?」
「え?初めましてですが。」
「忘れちゃったのー。僕はこんなにハンサムなのにー。」

軽薄な方だと思いました。
後悔、後悔、涙が出そうです。

「よ!御料人!」
下座の方から声がかかります。

何が、忘れちゃったのよですか。
私は悲しみの涙で暮れているのに、皆さん、私が嬉し涙をしているの思ったようですね。

「本当に忘れちゃったかな?」
「ううう、何がですか?」
「僕たち、10歳の時に会ってるから5年前だよ。」

私の記憶をどうにか思い出そうとしても中々思い出せません。

「まあ、いいや。よろしくね!」

うう。よろしくって、友達じゃないんですよ。
返事をするのも嫌でした。
でも、心の隅で、ちょっとハンサムだなって思いました。

ああ、時間が参りました。本日もお粗末様でした。
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