望月アグリと申します

有住葉月

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第2章 通学の困難

3、許しませんからね

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望月アグリと申します。
何度も名乗って申し訳ありません。ここから知った方もいらっしゃるかと思いまして。

さて、恋人?と一緒にいる夫を連れ帰ることもなく、1人家に帰ってむしゃくしゃした私です。。

恋人がいるなら、その方と結婚なさればよろしかったじゃないですか。
どうして、私と結婚するなんて仰ったんでしょう。

トントン
部屋の襖がノックされました。
「姉さん、おられるか?」
「あ、どうぞ。」
夕食の後、弟さん(勇蔵さんと聞きました)お見えになりました。

「姉さん、兄貴のこと悪く思わないでくれな。」
「どうして?」
「兄貴は結婚式のこと、知らなかったんだよ。」
「え?どうして?」
「この家に戻ってくるように、何かの催しが合うことを口実に実家に呼んだんだよ。」
「ああ、それで。」
「今日、女の人おったんだろ?」
「はい。」
「でも、その人も兄貴の本気の人ではないと思うよ。」
「どうしてそう言えるんですか?」
「兄貴は根っこがなくてね。ふらりふらりとしているんだよ。」

ああ、どうして、この勇蔵さんと結婚できなかったのか本当に悔やまれます。
私、本当に真面目な人と結婚したかったのに。

「勇蔵さんは継がないんですか?」
「俺は次男だし、勉強して工学を研究したんだ。」
「工学?」
「まあ、理科を難しくしたやつだよ。兄貴には本当は俺も帰ってきてほしい。」
「それって、私にどうにかしろってことですか?」
「姉さんにそこまで求めないよ。でも、この家のことからずっと避けてきた兄貴を抑えられるのは姉さんしかおらんと思ってね。」

うーん。そんなこと言われても困ります。
ましてや、本当に腹を割って話したこともない相手ですし。
主人といっても形だけ。
今も、恋人やらと楽しんでいるのでしょう。

「勇蔵さん、物事はなるようになれです。」
「それはどういう?」
「私は私の道を生きます。だから、私に頼らなくてもどうにかなりますって。」

まあ、この時腹が決まりました。
私はヨウスケさんをどうにかしようなんて思わないでおこうと。

次の日帰ってくるなんて知らずに。。。

ということで今日はこの辺で。お粗末さまでした。
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